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第22話 回想

僕は今絶賛ピンチです。 「桜井の迎えまではうちにいろ。」 そう葛木くんに言われ、葛木くんのお家にお邪魔してますが…。 「家、立派過ぎ。」 大正時代に立て直したらしく、和洋折衷のお家だ。 「どうした?」 玄関で靴を脱ぐとあまりの立派さに周りを見渡していると葛木くんが不思議そうにする。 「あ、いや。立派だなって。」 「こんなもんだろ?」 「そ、そうなんだ。」 葛木くんの質問にそう答えるしかなかった。 葛木くんの部屋に案内され、19時の桜井くんの迎えまで部屋にいるようにと言われた。 ご飯は桜井くんが一緒に食べたいとのことでご飯は遅くなるみたい。 「俺は今から弟子が来るから相手ができない。この部屋から出なければ何でも良い。」 そういうと葛木くんは出て行った。 「どうしたら良いんだろ?」 僕はそう呟いた。 今日は課題が出てるからそれをしよう。 そう思い、僕は課題の出ていた数学の教科書とノートを出す。 そして、部屋の中央にあるちゃぶ台にそれらを置き、筆記用具も出してシャーペンを握る。 しかし、そこで思考が課題とは違う方へ向く。 「伯父さん…どうなるだろ。百合子さんも…。僕はこのままどうしたら良いのかな?」 僕は急に不安になった。 その理由は今日の学校にあった。 「アイツ、このまま辞めそうだな」 廊下でどこのクラスかもわからない男子生徒が嬉しそうに言う。 「アイツって?」 「ばーか、時の人だよ!」 「椿だよ、桜井様にちやほやされた罰だよ!」 男子生徒達4、5人が噂話をしていた。 「あれじゃなぁ、しかし伯父さんに婚約者を取られるとか、マジウケるwww」 「でも噂によると婚約者って言っても名ばかりらしいぜ。」 別の男子生徒がその話を出した。 「いや、彼女がアイツの婚約者と同じ学校でさ、その界隈じゃ有名なアダ名がホステスってアダ名なんだって。椿とは一回しか会ってないって言ってたらしいよ。婚約者の桑名本人がそう言ってたって。アイツの伯父が何でも買ってくれる上にエッチが上手いとか言ってたってさ。」 「マジかよ!ってかお前彼女いたのかよ!」 「噂じゃ百合女だろ!女紹介しろ!」 男子生徒達がワイワイ楽しそうにしている中、僕は沈んだ気持ちで教室に戻った。

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