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第27話 無理

桜井くんの家では僕の件は筒抜けだったらしい。 伯母さんは相談していたし、事情は何もかも知っているといったところらしい。 だけど…。 桜井くんは知らなかったんだってさ。 「…。」 さっきから無言の桜井くんが怖い。 顔が腫れてるから冷やしてあげたいけど家の勝手がわからない。 僕はお手洗いに行くフリをして廊下で配給の人を捕まえて冷やしタオルをもらった。 そして、桜井くんの席に近づいた。 「あの…痛いでしょ?冷やさないと…。」 その行動に4人とも僕を見ている。 「あ、の…」 ダメだったのだろうか? 「かっ」 ゆきこさんが悶え始めた。 「可愛い~♪ヤバい!天使!うちの男共にはない可愛さね!あぁ、萌える♪」 もえる? 何が燃えるの? 火の気ってあったっけ? 僕は周りを見渡すが火の気はない。 「可愛い♪いっそうちの子になりましょう!」 名案と言わんばかりに彼女は手を叩く。 「あのね、百合子夫人から言われたでしょ。彼は百合子夫人の子供にするんだから駄目だよ。」 翼さんはため息をつく。 「どうせ、ゆーくんと結婚するんだから先だけどこの家に来るじゃん。」 ゆずくんはやれやれとため息をつく。 「あ、そうね。」 ゆきこさんもなぜか納得している。 え? 何の話? 濡れたタオルで桜井くんの頬を冷やしていた僕だが、話がわからず皆を見渡す。 「まぁそれは追々の話で。洋くんはどうしたいかを優先だよ。」 翼さんは二人の暴走が怖いのか話を遮るのに徹底している。 「まぁ、これからのことはこの屋敷にいる間に決めてね。それから豊。」 翼さんは落ち着いた様子で言う。 「洋くんに触れるところを見たら手がなくなるかもね。」 そういうと翼さんは部屋を出ていってしまった。 「ゆーくん、がんば!」 「あらあら♪」 桜井くんは机に突っ伏した。 「もー無理。」 何が無理なんだろうか? 僕だけが空気を読めてない。

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