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5話

「やっと仕事終わったぜ」 背筋と腕をグッと伸ばした 兄貴の書斎室に押しかけて、憎い書類を乱暴に置いて来た 「お疲れ様でした」 「おう」 窓を見ると明るいので、まだ昼頃だ 此れから何すっかな・・・ そういや、親父から縁談の写真を押し付けられてんだった 俺は書斎室に戻り、縁談の写真を眺める ルイスは冷めた紅茶を淹れ直すと言って、部屋を出て行った 数十冊あるそれらを、全て広げて机に並べる Ω+である彼らは貴族と言う事もあり、流石綺麗だ 女ですと言えば、信じてしまう様な者までいる しかし、どれもピンと来ないのが事実である 「紅茶をお持ち致しました」 ルイスが淹れて来てくれた紅茶を一口啜る 「ルイス」 「はい」 「お前は、運命の番と言うモノを信じるか?」 騎士であるルイスはαだろう 城で働く者は、騎士と魔術師に別れる 大体、騎士はα・魔術師はΩとなる 身体能力的に考え、それが妥当である αは運動神経に恵まれており、Ωは魔力が高い それに、発情期があるΩは、その間全くと言って良い程動けないらしい それならば、訓練は多少必要ではあるが、そこまで重要視されない魔術師が良いと言う事だ まあ、Ωで騎士をやっている者も少なからずいるし、逆にαで魔術師をやっている者もいる 結論から、人其々である 俺は、ルイスの方が一瞬跳ねたのを見逃さなかった これはどうゆう反応かな・・・ もうすでに番がいるとか、好きな奴がいるとか それはそれで、ちとショックだ 同い歳の友人が、自分より先に結婚してしまった時ってこんな感じなのか

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