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9話*ルイスside*
「ルイ・・・大丈夫?」
母さんがベッドの横に座って、頭を撫でてくれた。気持ち良い
でも、止めて、触らないで!
パシンッとその手を払い除けてしまった
「・・・ルイ?」
困惑した表情の母さんを見て、我に戻った
「ゴメン、母さん。でも、彼が・・・ノアが触った場所を触って欲しくないんだ」
「え・・・、それって」
肯定する様に頷いた
「さっきの彼が、ノアが、俺の運命の番なんだ。・・・・・ごめん」
「なんで謝るの?良かったじゃないか。待ち望んだ番なんだろ?」
待ち望んでは・・・いなかった
運命なんて信じていなかった
でも、彼と出逢った時、無性に嬉しかったのは事実で
抱き抱えられた時は心臓がギュッとなって、幸せを感じた
でも、貴方は俺の運命です。なんて、行成言ったって信じて貰うどころが、頭可笑しいんじゃないかと思われそうで、怖くて怖くて・・・
そう言えば俺、自己紹介してなかった・・・
番以前の問題じゃん
名前すら認識して貰ってない
ノアって名前だろうけど、ラストネームが分からないと探しようもない
見惚れる程カッコ良かったな
眼帯してたけど、大丈夫なのかな?
あんなにかっこいいなら、男の子選び放題だよね
俺なんて眼中にないかも
てゆうか、もう忘れられてるかもしれない
ギュッと目を瞑ると、涙が流れた
「ルイ・・・」
「ただいまーーって、何だ?どした?二人して空気重いぞ?」
仕事から帰って来た父さんが、俺らを見て頭にハテナを浮かべている
「ルーカス・・・、お帰りなさい」
「何だ?どした?あ、そうだ、今日第2王子がお披露目されるらしいぞ」
「第2王子?そう言えば、今日買い物行ったら街がお祭りみたいだったな」
「あぁ。クラン様の時みたく大々的にするんだそうだ。街中が既にお祭り騒ぎだ」
王子様・・・か
この国では、王子は10歳まで顔見せせず、10歳の誕生日のその日に街中に公表される
王子についての噂は既に流れているが、尾鰭羽鰭、臀鰭までついて回る
何が本当で何が嘘なのか、既に分からない処迄来てしまっている
なので、やっとこの目で見れるという事で、街の人達は大騒ぎしているのだ
「よし、もう数時間したら式が始まる。俺等も見に行くぞ!」
「ルーカス?!」
「大丈夫大丈夫。ルイだって発情期過ぎたんだし。ほら、さっさと準備しろ。あっちでジンとリオと待ち合わせしてるんだから」
「リオも来るの?!アイツ、騎士団だろ?!」
「そうそう最近、第一騎士団隊長に昇進したらしいぞ」
「隊長?!抜けたらもっとダメな奴だろ!」
「ま、お前の顔見たら直ぐ戻るそうだ。妬けるぜ」
「なら良いけど・・・」
「ほら、ルイも出掛ける準備しろ!」
ほらほらっと急かして来る父さんに、俺は急いで出掛ける用の服に着替えた
この際、ノアの事は忘れ・・・れないけど、一旦頭から離れさせよう
そして、俺等家族は森を出て街に向かった
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