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11話*ルイスside*
スクリーンが空中に現れた
【街の皆様、お集まり頂き誠に有難う御座います。これより、第2王子ノア・シェル-ミスリア様が御登場致します。では、ショーをお楽しみ下さい】
「街の者共、今日この日の一瞬一瞬を見逃さねえで、目に焼き付けて帰れよ!!」
少し高くて甘い耳に響く声が空から降る
それを皮切りに周りの声がより一層大きく街中に響き渡った
この声、どっかで・・・
いや、この一瞬で俺の運命の番であるノアは、この国の第2王子だと理解した
それと同時に絶望さえ浮かんだ
あぁ、俺の一生手の届かない人なのだと、目の前が暗くなるような感じがした
でも、この披露目を見たいと、俺は足に必死に力を入れて地面を踏んだ
横の人を見ると、目を輝かせていて俺の事は気付いて居なかった
「んじゃ行くぜ!!」
その声によって、俺たちの周りの建物は一瞬で消え真っ暗になり、代わりに何本もの火柱と火山が現れると同時に、身体が震え上がる程の強力な魔力を感じた
凄い・・・
ゴオオオオとかドガンと、周り一面に響く
「お前ら、そんな道なんて崩しちまえ!そんなもん不要だ!」
また空から声が響く
それにより、人の道が崩れ街の人達は魔法で高い場所を作って登ったり、召喚獣で王子を追う準備をしている
キュイイイイインと、甲高い鳴き声が響く
そして、空には巨大な鳥が金色の光を撒きながら飛んでいる
「うそ・・・だろ?」
今度はジンが震えた声を出しながら、巨大スクリーンを見上げた
俺もそのスクリーンを見ると、何かに乗って空を飛んでる朝見たノアが映っていた
何だろう・・・鳥?凄い大きい
真っ赤な体に大きな翼
しかし、5色に輝いている様にも見える
尻尾が数え切れない程多く細くて長い
首が長く頭に付いているとさかは金色
双眼も透き通る程の5色に煌る金色と赤色
見た事も無い、神々しい程の存在を放つ鳥だった
「何で、鳳凰が・・・」
鳳凰?
「ジンさん、鳳凰って?」
「え、あ、あぁ。鳥の長とも言われている伝説の鳥で、一心同体とされている。鳳 が雄で凰 が雌らしい。この二体を召喚出来るのは、二体共に認められた人間だけで、この二体を召喚出来たのは歴史の中でたったの一人と言われている。最も気高くて最も神に近いと言われているそんな存在の生物なんだ。そんな存在を召喚し、背中に乗ってる・・・。有り得ねえ」
ジンさんの握っている拳は震えて居て、目は羨望に包まれている
凄い・・・凄過ぎて、益々俺には届かない存在なのだと思い知った
ずっとスクリーンに映っている王子を見ていると、王子はこちらに意地悪そうな笑顔を向けた
瞬間、ドクンと心臓が重く高鳴った
「ッ・・・!?」
ドクンドクンと心臓の音が身体中に響く
それが痛いと感じる様になって、途端に其処からジワジワと熱が広がって行った
ダメだ・・・
熱くて甘くて、身体が蕩けそう・・・
「え、ルイ?!大丈夫か?!発情期か?いやでも、先週治ったばっかだし」
ジンさんは地面に膝を付いた俺に気付き、肩を支えてくれる
熱いよ、熱い・・・
息も段々荒くなって来る
欲しい、欲しい
「おい、ルイ!しっかりしろ!!おい!」
俺は、この熱に耐え切れなくて意識を失った
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