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13話*ルイスside END*
「リオ?!」
「どうして此処に?!お前、仕事は?!」
そう、部屋のドアの前にいたのは、先程紹介されたお城の騎士隊長を任されている人だった
「ユーリに呼ばれて来たんだ。仕事は終わらせて来た」
「ユーリが?!」
「ちょっユーリ!!」
父さんが大声で叫ぶと、母さんも中に入って来た
「うん、俺が呼んだ。折角見つけれたのに、番になれないなんて可哀想だから・・・。城に仕えてるリオなら何か切っ掛けになる事が分かるかもって」
ごめんと、眉を垂らして言った
「いや、責めてるワケじゃないんだが」
父さんは困った表情になる
俺の為に、三人とも・・・
「で、リオ、チャンスって何だ?」
冷静なジンさんがリオさんに尋ねた
「あぁ。話は大体聞いた。要するに、ノア様に会えて尚且つ、関係を深くしたいんだろ?」
「リオ、この事は・・・」
「分かってる、口外はしない」
「分かってるなら良いんだ。で、続きを教えてくれ」
ジンさんの言葉で、他の三人は真剣な表情になった
「今日から8年後のノア様の18歳の誕生日、今の騎士の中から専属護衛を一人選ぶ事になっている。まあ、ノア様本人は要らないとずっと言っているのだが、流石に第2王子の立場のノア様に護衛の一人も付けないってのは現国王も渋っててな・・・。今日見た通り、ノア様の力は本物だ。形だけの護衛騎士になるだろう」
「待て・・・。お前もしかして」
ジンさんが今の話で何かを察したようで、目を見開いてる
母さんと父さんも同様だ
「あぁ。騎士団に入れるのは15からだ。お前の息子は10歳だったな。今から5年間でみっちり鍛えて、15で騎士団に入団するんだ。それで、上手く行けば護衛騎士になってノア様の近くに行く事が出来る」
俺が、騎士に入団・・・?
そして、ノア様の護衛騎士になる?
そしたら一緒に居られるの?
「ちょっと待て!ルイはΩなんだぞ?!体力的にも身体的にもなれるワケねえだろ!」
父さんはリオさんに抗議する
「それを決めるのは、ルイス自身だ。Ωで騎士をしている者もいる。お前が決める事では無い。ルイス、お前がどうしたいかだ。此の儘何もしないで、ノア様が他のΩと婚姻するのを外野で眺めているか。それとも、必死にもがいて可能性を掴むか。選ぶのはお前自身だ。もし、後者を選ぶのであれば、この俺が直々に手解きしてやる。選べルイス」
リオさんの鋭い視線が俺を射抜く
俺、俺、もがいて良いの?
俺、Ωで体力も何も無い・・・
それでも、それでも、騎士団になって、ノア様の近くに行けるチャンスがあると言うのならば、俺は・・・
俺は、
「リオさん俺、王子の護衛騎士になりたいです。ご指導宜しくお願いします!!」
俺はベッドから立ち上がって、リオさんに近付いて頭を下げた
「良く言った。では、明日から特訓するとしよう。そうだな・・・、明日昼過ぎに城に来い。門番には話を付けておく。中に入って、適当な黒の軍服を着ている奴を捕まえて俺の所に来い」
「はいっ!」
「良い返事だ。では、俺は城に戻る」
「リオ!」
「何だ?」
父さん、反対するの?
何を言うのかと、ドキドキしながら父さんの方を見る
「息子を頼む」
「・・・。あぁ」
フッと微笑して、家を出て行った
「父さん!ありがとう」
許してくれたんだと、嬉しくて笑った
「あぁ。精一杯彼奴にシゴいて貰え。王子の側に行けるように頑張れよ」
「うん!!」
父さんは俺の頭を優しい笑顔で撫でてくれた
母さんも、良かったねと笑顔で言ってくれた
俺は今幸せだと思った
家族に応援して貰える事が、凄く嬉しい
それから俺は、ジンさんが作ってくれた新薬のホルモン抑制剤で、ノア様が視界に入っても発作を起こさない様にし、今迄のより強力な発情抑制剤で一瞬でも発情しないようにした
リオさんには5年間、体力・魔力・技力全てを叩き込まれ、入団する頃にはリオさんと負けはするが良い勝負が出来る迄となった
それを現国王に見込まれ、同い歳と言う事もあり、ノア様が18歳になったと同時に護衛騎士の命を与えられた
その日暫くは夢見心地だったが、リオさんに良くやったなと頭を撫でられて、漸く現実を理解した
父さんと母さんにその日に連絡すると、凄い喜ばれた
夜はなかなか眠れなかったし、嬉しすぎて泣いてしまった
俺は、ノア様の近くにずっと居たい
まだまだ力不足だろうが、一生懸命ノア様に尽くそうと誓った
そしてあわよくば・・・なんて妄想もしてしまったが、今はノア様の近くで過ごせる事を喜ぼう
興奮し過ぎて寝不足になり、ノア様との顔合わせで目に濃い隈を付け、心配されたのは良い思い出だ
俺がノア様の護衛騎士になって日が経つにつれ、どうしようもない程好きになってしまっている
どうか、俺の気持ちに気づいて下さい・・・
毎日毎日、朝起きるとそう祈ってしまうのだ
ベッドから降りて、白と金のノア様専属護衛騎士の証の軍服に着替え、カーテンを開ける
「今日も良い天気だ」
外を暫く眺め、胸を躍らせながらノア様の部屋に向かうのだった
「おう、お前が今日から専属のルイス・アルティアか。よろしくな」
ノア様に会って、初めて俺の名前を呼んで貰った日は、もう泣きそうになった
しかし、8年前に感じたあの膨大な魔力は感じ取れなかった
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