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19話

馬に乗って、ヒューランの森の前まで来た エリオッド討伐に馬は足手纏いな為、近くの木に繋げ歩いて森に入る イーランのイルを召喚した 見た目は鷲と何ら変わりないが、大きさが1回りくらい大きい 森で探索する時に便利だ 魔力で出来た小型バールを首に付ける バールとは魔力の結晶で、使い方は多種多様だ。カメラにもなるし無線機にもなる 他にも、攻撃的魔法を組み込んだバールは、魔力量にもよるが爆弾にもなる 市場で売買されており、簡単に手に入る 「じゃあ、イル頼んだ」 ピィィィイと甲高く鳴き、空に飛び立った 「さてルイス、俺らも行くとしようか」 イルの付けてるバールの映像を、俺の持ってるバールに接続して飛行が高くなる様子を眺める 「本当に大丈夫なのですか?幾ら何でも、何百の兵隊でやっと倒せるエリオッドを・・・」 「俺をあまり見縊らない方が良いぞ。8年前の披露目会、お前見ただろ?」 9年前、鳳凰を召喚してから己の魔力を意識し理解すると、湧き水の様に溢れる魔力を感じ始めた。人間は他人の魔力量をある程度感知出来るらしい。俺の魔力量を聞いてみた時の周りの反応からして、俺の魔力量はバレてないと思う。憶測だが、神は俺の魔力量の感知にストッパーを掛けていたのだと思う。それを解除するのは、「意識」「理解」の2ワードだったのだろう。それからは毎日異空間結界を張り、鳳凰に魔法の特訓をして貰っていた そして8年前の披露目会で一瞬魔力を全開した 本当にほんの一瞬だったので、それを覚えているのは何人いるか・・・ 多分魔力量より、鳳凰登場の方が印象が強いと思う 「存じておりますがしかし、あの魔力は・・・」 え、あの一瞬を覚えてる奴がこんな身近に? 俺は目を見開いた 「どうしましたか?」 俺の表情の変化が不思議だったのか、首を傾げて聞いて来た 「あの時の一瞬の魔力を覚えていたのか?」 「はい、あの時は全身が震えました。ノア様の披露目会でのお姿は、忘れるワケが御座いません」 「そうか」 「はい」 ルイスが俺の事を見てて覚えてくれていた事に、何故か嬉しく思えた 「そろそろ立ち話も此処で終わらせて、森に行って討伐しちまうぞ」 俺がそう言って森に足を動かすと、ルイスは今日の目的を思い出したように顔面蒼白にした 話しながら俺は、イルが飛行している経路にエリオッドらしき影を見つけ、イルに魔力で近づくように指示した所、ビンゴだった しかも、3体もいた 2体じゃなかったのか兄貴よ 「だ、大丈夫ですか?!森に入った瞬間、尋常ではない魔力量を感じるのですが」 「大丈夫だ。エリオッドが3体いるだけだ」 「3体?!危険ですって!騎士を連れて来ましょう!!」 全力でルイスが顔を横に振るのが面白い エリオッド3体が国に侵入すれば、国一つが簡単に崩壊するだろう 騎士なんて絶対太刀打ち出来ない 「煩い黙れ。そんなに嫌なら帰れ邪魔だ」 いやいやと後ろで煩いので、何時もより低音の声で威圧した 「申し訳御座いません」 すると、ルイスはしゅんとした 今ルイスにウサギの耳があれば、垂れ下がっているだろう 此処から数10キロもしない所でエリオッド達は餌を食い荒らしているのだろう 斑点がある奴1体に無斑点2体。きっとオス1匹メス2匹の一夫多妻 交尾されて繁殖されても困るワケなので、オスを残してメスを叩き潰す さて、数キロ先まで近づいた 歩く所々では、木がポッキリ折れていたり魔獣の屍があったりと無残である 食い散らし方が流石動物。容赦ねえぜ 「ルイス、お前確か水属性だったよな」 「はい」 周りを見渡しながら眉間に皺を寄せていた 「エリオッド一匹を氷漬けに出来るか?」 「はい・・・え、エリオッドをですか?!」 流れで返事をしてしまったのだろう。信じられないと目を見開いた 「数分で良い。全魔力を使ってエリオッドのオスを氷漬けにして欲しいんだ」 氷漬けぐらいじゃエリオッドは死なない 足止め程度にしかならないだろう。寧ろ、足止めにすらなるかどうか・・・ 俺が聞くと、険しい表情になった 「出来ないなら別に構わない。足手纏いにならない内に森から出てくれ」 そうしてくれないと、俺の魔力の事が暴露る 「やります。やらせて下さい!ノア様のお役に立って見せます!」 覚悟を決めたルイスの表情は、一段と綺麗だった まあ、時間止めの結界で一瞬で片付ければ早いんだが、流石にルイスがいる状態で使える筈も無いので、一応形だけの協力はして貰おう 「じゃあ、頼む。エリオッド三匹が目の前に入った瞬間に斑点のオスを氷漬けてくれ」 「はい!!」 話は纏まったので、再びエリオッドに向かって足を進めた

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