24 / 30
23話
「ノア様」
「何だ?」
ルイスは真面目な表情になって俺を見つめて来る
そのせいで、俺まで真顔になる
「もし、もしですけど・・・」
何だ?
肩を微動させながら両掌を握りしめている
「もし、ノア様に番が現れたら・・・」
どうしますか?と、不安そうに見られた
俺に?
「番ね・・・。俺に番なんて想像し難いな。この広い世界で番同士が結ばれる確率は50%もないと言われているだろ。正直、俺には現れないと思ってる。まあ、現れたら現れたで歓迎するがな。それがどうしたか?」
Ωにしか分かり得ないと言われている番の相手
そんな番か如何か見極められないαの男がΩから「あなたは俺の番です」なんて言われたって、信用できるか否か
殆どが後者だろう
結果的に、気持ちが結ばれた相手と結婚や子作りをすれば其れで良いと思う
「いえ、その・・・もし俺が「ノアあああああ!!!」」
バタンッと勢い良く書斎室が開き、俺とルイスの視線は其方に向かった
「ノアあああ!!久し振りです!ずっと会いたかった!」
「ヒノ?!」
「うん!」
扉が開き、猪の如く椅子に座ってる俺に突進して来た見慣れた奴
ヒノア・クレイス・リモンド。通称ヒノ
此奴の両親が俺の両親と旧知の仲で、生まれた時からずっと一緒に過ごしていた
此処1,2年は会っていなかったが、関係は崩れていない
ピンクの花柄のシフォンワンピースに身を包み、栗色のフワフワのロングヘアーに同じ色の瞳
身長は俺と20cmくらい違う。多分160前後だろう
色白で声も高く、女だと言ってしまえば誰もが信じるだろう華奢な身体
見た目通りのΩである
「あれ、従者が付いたの?」
ヒノは横で呆然としているルイスを見て言った
「あぁ、数ヶ月前にな。紹介する。ルイス・アルティアで、俺と同い歳だ。でルイス、こっちが俺の幼馴染のヒノア・クレイス・リモンドだ。まあ、よろしくしてやってくれ」
「はい。リモンド様、私ノア様の専属騎士のルイス・アルティアと申します。以後お見知り置きを」
ルイスはヒノに軽く頭を下げて言った
「ふーーん。従者・・・ね。うちのノアがお世話になってます」
誰もが見惚れるだろう笑顔でルイスに言う
何だようちのって
てか
「さっきルイス何か言い掛けたよな?」
もし俺が・・・って
「いえ、何でも御座いません。お気に為さらず」
「そうか?」
「はい」
何でもないなら良いか
ともだちにシェアしよう!