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26話 *ルイスside*

ヒノア様がこの城に滞在して早くも1週間が経とうとして居たそんなある日、俺にとって大事件が起きた 「ねえ、アルティアだっけ?ノアの護衛騎士の」 ヒノア様とノア様がランチをし終え、ノア様は書斎室に行くと自室を出て行く事を見送ると、食器の後片付けをして居た俺に真顔で言って来た 今まで話し掛けられた事が無かった為、行成の事で反応が遅れた 「はい。ルイス・アルティアです」 一旦片付けを中断し、ヒノア様に向き合う 「ねえ、間違ってたらごめん。君ってさ、・・・・・Ωでしょ?」 ヒノア様の一言で俺は石のように固まってしまい、持っている食器を落としそうになった え、何で・・・バレた? 俺、何かバレる様な事したか?俺がΩだって事は、隊長と副隊長とノア様以外にはバレて居ないのに 背中に変な汗が垂れる 「僕、相手の性別が大体分かるんだよね。君、僕と同じ匂いがする。でも、Ωとは違う。基盤はΩだけど特殊な何か。ねえ、初めて会って間もないし僕の事信用出来ないとは思うけど、君の相談相手になれないかな?何か君、凄く悲しそう」 何で、何でヒノア様がそんな悲しい表情をするのですか・・・ 番相手で悩んでいる様ですが、あなたは貴族で相手は分かりませんがまだ希望はある しかし俺は、唯の一般市民出の護衛騎士 いくら出世してノア様を守れる立場に成れたと言っても、ノア様にとって護衛騎士は無用の長物。完全確率でαの子供を妊娠出来るからと言っても、一般市民の俺なんか用無しだ。王族はより強い血筋を残そうとするだろう。一般市民の血なんてその血筋を薄め途切れさせるだけだ。誰も求めてはくれない・・・ 俺がノア様をどれだけ求めたとしても、無駄なのだと目が覚め始めているのだ それが誰かに相談する事で、このノア様に対する積もりに積もった黒い感情を少しでも減らす事が出来るのであるならば、または何か状況変化があるならば私は・・・ 「・・・やっぱ「私は、ヒノア様の仰る通りΩです」え・・・?」 言うとは思って居なかったのだろう。ヒノア様は大きな目をさらに見開いた 「教えてくれるの?君の事情・・・」 「はい。正直、この想いが限界でしたので・・・」 「そっか・・・。僕もね、生まれた時から一緒にいる運命の番が、僕以外の事を見てて苦しいんだ」 本当に辛そうだ。 Ω同士なら分かるこの感情 言って信じて貰えるか分からない「運命の番」 そんな形の無いモノに俺らは縋らなければならない 一度相手を認識してしまえば地獄道・・・なんて、強ち嘘じゃ無いかもしれない 「話に水をさして申し訳ありませんが、先ずこれらを片付けて参ります。その後、ゆっくりとお話いたしましょう」 「分かった。じゃあ、僕の泊まってる部屋に来て」 「承知致しました」 一礼をして部屋を出る 俺は食器を片付け、紅茶とクッキーとマカロンを持ってヒノア様が寝泊まりしている部屋に向かった

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