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27話 *ルイスside*

「先ずはさ、アルティ……ルイスって呼んで良い?僕の事はヒノって呼んで欲しいな……」 「はい。私の事はお好きにお呼び下さい。しかし、ヒノア様をその様にお呼びするのは……」 従者が主人のご友人を愛称で呼ぶなど御法度だ 「お願い。二人の時だけで良いから。後、敬語とか無くして欲しいな……」 上目遣いで目を潤ませながら手を合わせて言ってくるので、言葉が詰まった 此方を見てくる目と俺の目が見つめ合う ヒノア様は折れてくれないだろうと、今の状況で分かる 「分かり………分かった」 「やったあ!」 ぴょんぴょんと笑顔で飛び跳ねる姿はラビー(うさぎ)の様だ 結果、俺が折れたのだった それにしても、今迄はずっと俺の事無表情で睨んでたのにこの変わり様は一体…… 「あ、えっと……、俺の事、嫌いなんじゃ……」 「え?」 思い切って聞いてみると、キョトンと小首を傾げた 「え……、いや、さっきまで俺の事睨んで……」 「にら……?あぁ、ノアにもよく言われてたんだ。僕、人を観察してると無表情になって睨んでる様に見えるって」 ごめんと申し訳なさげに謝られた 嫌われていると思って居たからか、若干嬉しさがあった 「そっか……。良かった」 ただの観察か 流石ヒノア様。貴族として他人を観察し、相手を推察しているのでしょう 「ここからが本題だよ!お互いの番の話をしよう?愚痴も聞いて欲しいし」 お互い…… そっか。俺も俺の運命の番相手の相談をしたかったんだ て事は、俺がσだと言う事を告白しなければならないのかな…… 今更だが、何方も告白するのを躊躇ってしまう σについてはジンさんに口止めされているし、運命の番がノア様だと言ったら無謀だと言われてしまうかもしれない 自身ですら諦めかけているのに、他人に況してやノア様の幼馴染のヒノア様に否定されたら俺は・・・ 「俺の運命の番相手はね、幼馴染のクウハ・リカエナって言うんだ」 そんな俺の心情を知らないでヒノア様は話し続ける 「クウはね、ノアと同じく生まれた時から一緒だったの。物心ついた頃から薄々気づいて居たんだけど、完全に自覚したのが10歳の頃だったのかな」 俺もノア様と出逢って認識したのもその頃だ 「でもクウはね、軟派で家系性別に関わらず片っ端から侍らせているんだ。隣国に住んでて毎日会えないんだけど、偶に会いに行けばクウはハーレム作って歩いてたりするんだ。その度に僕はどうすれば分からなくなって、クウに強く当たっては逃げ帰ってくるんだ。多分本人は、なぜ僕が怒っているのか理解してないと思う。もう、ヤダよ・・・」 リカエナ…… 貴族の名前に疎い俺でも知っている 隣の国のヒューファル王国で最も名高い貴族の一つだ そして、ノア様とも仲が宜しいらしいと有名である 俺は鍛錬に必死で噂でしか聞いた事がない それにしても、貴族なのに不純交遊は宜しいのか 「今、貴族なのにって思ったでしょ?」 「・・・は、うん」 「クウはね、リカエナ家の三男で跡取り問題からは外れているんだ。でも、容姿頭脳は完璧で、兄弟の中で一番上だと思う。けど、立場は三男だから除外なんだ。番になれれば、僕の所に婿養子として来て欲しいと思ってる」 そうゆう事だったのか・・・ 跡取りとは関係ないから遊べるし、容姿が良いから周りは放って置かない 結果、軟派になってしまったと 「父上母上は運命同士で結ばれたらしくて、その事言ったら信じてくれた。けど、僕ももう成人して一人っ子だから、世継ぎを作る相手を探さないといけないんだ。だから、猶予は20歳になるまで。それまでにクウを僕に振り向かせられないと、他の奴と婚姻を結ばされるだ……。そんな現実から逃げたくて、ノアの所に来たんだ」 ヒノア様のご両親も俺の両親と同じ運命同士で結ばれたのか…… 俺の母さんが言っていた。運命同士結ばれるのは、冒険者が多いんだと 世界中を旅をする冒険者は、運命を見つける確率が最も高いと。まあそうだろうなと聞いていた。 運命の番だとαが分かる唯一の方法があるそうだ。 それは、体を合わせた時の相性の良さなんだと言う 番同士だと相手に飽きる事はなく、寧ろ潡々ハマって抜け出せなくなるのだとか 本当かどうかは俺には分からないが、父さんも同意してたのでそうなのだろう 「ノア様はその事を知っているの?」 俺がそう尋ねると、ヒノア様は首を横に振った 「まだ言ってない。言えるわけないよ……。今まで幼馴染として育ったのに、俺が言った瞬間、気まずくなって関係が壊れるに違いない」 そうか。今までの関係が邪魔をしているのか 「しかし、相手に意識して貰うには、告白した方が早いのでは・・・?」 「無理無理無理!!絶対ヘラヘラしながら適当に返事をするに違いない!!」 ブンブンと首が飛んで行きそうなくらいに振っている 他に方法が無いと思うのだが・・・ 「そうだ、次はルイスの話が聞きたい!!」 「え?!」 行成の話題転換に、声が見事に裏返ってしまった

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