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二人だけの秘密〜狂人と凡人〜【中編】
そして今成り行きとはいえその淡い憧がれを抱き、強く興味を持った相手である、その存在が自分の手中にあるのだ。
佐藤はそんな事を思って、ある悪戯を思い付いた。
礼二の想い人である相手の美空翼。
彼の事を引き合いに出した途端に礼二は大人しくなりこうして自分にされるがままになっている。
その事から考えれば、礼二を騙すのは簡単だろうと思った。
何しろ相手は全くの無知で純粋そのものだ。
「礼二様は自慰をする時、誰の事を考えながらしてるんですか?」
だから、そう聞いてみる。
どういった反応が返ってくるのか?
「自慰って……具体的にどういった行為の事を言うのかわからん」
と言う予想外の答えが返ってきた。
そこから教えてあげなければならないのか。
佐藤はそんな事を思いながらおもむろに礼二の下半身に手を延ばして、無防備に曝された状態でまだなんの反応も示していない、その部分を握り込んで上下に扱いて、様子を伺いながら、彼の疑問に答えてやる。
「ほら、こうやってココを握り込んで上下に扱いたりする時に誰のことを考えながらやってるんですか?って聞いたんですよ」
「なっ!何をするだァーーー!!!」
礼二は黙っていられなくなったのか身をよじって佐藤の質問には答えずにそう叫んだ。
「俺のちんこは翼のものだ! 気安く握ってんじゃねぇっ!」
と続けてそう言った。
そう言われた方の佐藤は目が点になる。
そして数秒間、固まっていたがしばらくして、堪えきれずに、さもおかしげにクスクスと笑い始めた。
その間も礼二のアレを握り込んだままであったのだが……
「礼二様って本当に翼君の事が大好きなんですね」
「当たり前だ! 頭のてっぺんに生えてるアホ毛から足の爪先まで俺は翼のものだ」
「でも翼君以外の男にこうされて、乳首固くなってるし、まったく感じないってわけじゃないみたいですけど……」
佐藤がそう言って外気に曝されて、つんと勃ち上がり、芯を持ち固くなっている胸の突起を、空いているほうの指先で摘んで、親指と人差し指に挟んでくりくりと弄び始めた。
肌が白く色素自体が薄い、礼二の乳首は淡い桜色をしていて綺麗だった。
そういえば瞳の色も赤みがかっているし、全体的に色素が薄いのかもしれない。
佐藤はそんな事を考えながらも、礼二の胸を弄り、先走りの液を零し始めた茎を手の平を輪にして握り込んで、親指が裏筋にあたるようにしながら、上下に擦り上げた。
「あうあーー!」
礼二が得に意味を為さない声を上げながら身をよじって佐藤の手淫から逃れようと緩い抵抗をしている。
「すごい、ビショビショになってきてるの、わかりますよね? 僕なんかにされても結局、礼二様は気持ちいいんですね」
「うっ、あうっ! ち、違っ!」
「違わないですよ。 ほら、こんなにおもらししたみたいに、いやらしい汁零して、固くなってビクビクしてるの、自分でも解るでしょう?」
「ふ……ふえっ!」
佐藤に酷い言われ方で嘲笑われて、礼二はぼろぼろと泣き始めてしまう。
「や、やだやだやだぁ! 俺は、翼だけ……」
まるで小さな駄々をこねる子供のように首を振り、緩い抵抗をしている彼を見て、佐藤は薄ら笑いを浮かべながら、指先で弄っていた乳首を唇で挟んでくわえて甘噛みしつつ、舌先でチロチロと舐めて刺激してやる。
もう片方の乳首もくりくりと指先で弄りながら彼の反応を見る。
「あっあ! やめ……うっ、あう、んんぅっ!」
頬を桜色に染めてよだれを零し、快楽にとろりと濡れたような半開きの涙目で、懇願し始めた礼二をさらに追い詰めるような言葉で嘲笑った。
「礼二様も結局、口先だけで体は他の男にこんな風にされても感じまくってる、ただの淫乱じゃないですか? 気持ちよくしてくれる相手なら結局誰だって構わないんですよ、礼二様だって……」
「ん、ひっ! 違っ! そんっ、なことぁ……」
「違わない。 だってほら、もうイキそうじゃないですか」
「あっあ! やっ! やらあぁぁっ!」
礼二がぽろぽろと零す涙を舌先で舐め上げて佐藤は彼の首筋に顔を埋める。
そしてきつく吸い上げて、自らの印を彼の体に刻み付ける。
翼がこの痕跡を見てどういった反応をしてどういう行動に出るか、試す為に……
翼は礼二の事をあまりよくは思っていないような、態度や言い方をしていた。
礼二にここまで執着されて想われている事を多分、煩わしいとしか思っていないだろう。
佐藤はそう考えて翼を試すような事をして、わざと礼二を辱めた痕跡をあちらこちらに残していった。
礼二の上半身の至るところに赤い印が刻み付けられて、白い肌に綺麗に浮き立って見えるのを、佐藤は満足そうに見て、握り込んだ肉茎を上下に扱く動きを速めて彼を追い立ててゆく。
すっかり固く勃起しきった唾液塗れの、小さな桜色の粒をぬるぬるとあいているほうの指先で弄りながら、もう片方を口に含みきつく吸い上げる。
乳首を吸われながら、肉茎を扱かれて、礼二がびくびくと身を震わせて、泣きじゃくりながら、絶頂を迎える。
「うっあぁーーっ!」
根元から絞るように扱く手の動きに合わせるように、精液がドクリと彼の腹にかかり胸元にまで飛んで、白濁の卑猥な線を描いて伝い流れてゆく。
「あ……」
イッてしまったばかりで、真っ白になった後しばらくして放心状態から我に返った礼二は不安げな声を零して、自身の腹部や胸を濡らす、体液の線を眺める。
翼以外の男の手淫でイッてしまった自分に絶望したのか、赤みかかったその瞳は光りが失われたように濁っていた。
「ふふ、ずいぶんとたくさん出しましたね礼二様。 溜まってたんじゃないですか?」
佐藤にそう言われて嘲笑われて、礼二は何も映さない瞳から涙を溢れさせた。
「あーあ、礼二様が出した精液で手の平がぐちゃぐちゃに汚れちゃいましたよ。ほら!」
佐藤はそう言いながら礼二の頬や口元に精液を塗りたくるようにして、手を拭った。
「ふえ……うっ、あっ、ふわあぁぁん!」
小さな子供みたいな声をあげて泣き出した礼二を気味が悪いくらいに優しく抱きしめて佐藤は彼の背中を摩って落ち着かせるようにしてやる。
「ね、これで、わかったでしょう? 礼二様は誰にでも、感じるようなだらしの無い淫乱だって事が」
優しい声色で佐藤は、彼の耳元で残酷な言葉を囁いた。
「あ、ううっ!」
「翼君が礼二様がこんなだらし無い淫乱だって知ったら幻滅しちゃうかもしれないなぁ……」
佐藤がそう言うのを聞いて礼二は涙を溢れさせた瞳を見開いて首を左右に振った。
「つ、つばさには……」
そう言いかけた礼二の顎を掴んで自分の方へと向かせた佐藤は、勝ち誇ったような笑顔で頷いた。
「礼二様が僕のものになってくれるなら翼君にはこのことを、黙っていてあげますよ」
と囁いて、彼の唇に指を差し出した。
「舐めて下さい、指。 ちゃんと痛くないようにしてあげますから」
佐藤は堪えきれずにクックッと含み笑いを漏らしながらそう指図した。
礼二は言われた通りに、桜色の舌を出して佐藤の指をぴちゃぴちゃと舐めはじめた。
上目使いで恐る恐る、指を舐めている彼の舌先の感触を確かめるように指を口の中へと突き入れて口内を指の腹でなぶり回す。
「ふう、んんぅ……」
口端に溢れ出した唾液が零れて首筋を伝う。
充分に濡らされて潤った指を口内から引き抜くと、唾液が糸を引き、淫猥な橋を作って零れ落ちた。
「ふふ、それじゃ、さっき礼二様に聞いた質問の答え合わせといきましょうか? 男同士でヤる時にどこを使うのか、今から教えてあげます」
佐藤はそう言って礼二の下肢へと唾液塗れの指先を延ばす。
垂れてきた精液や先走りの液に塗れた秘所を指先でくっと押すようにして触れる。
「ココ。わかりますか? 男同士でする場合はココを使うんですよ」
いきなり、後孔に触れられて礼二は戸惑ったような、どうしたらいいのか、わからないと言うような不安げな表情(カオ)をして、身を固くした。
「体の力抜いてたほうがいいですよ、ほら、乳首弄ってあげますから」
秘所に指を触れたさせたまま空いているほうの手で、いまだ固いまま勃起して自己を主張し続けている、それをぎゅっと摘んで絞り上げ、こね回しながら、もう片方を口に含んで吸い上げる。
「あ、んんっ!」
乳首を弄られて、下肢から力が抜けたのを見計らい、後孔に触れていた指を一本中へとぐっと根元まで押し込むように挿入して、彼の反応を見る。
「ほら、礼二様の後ろの穴に指が入ってるのわかりますよね?」
腹から下肢へと線を描いて垂れてくる精液も掬いとって中へと塗り込めてゆく。
礼二は異物を挿入される違和感にはじめのうちは苦しそうな表情をしていた。
一旦挿入した指を引き抜くと、指の腹を擦りつけるようにして、ある程度入り口を柔らかく解してやってから、佐藤は再び挿入した指をぐっと曲げてぐりぐりと動かし、ぐちゅぐちゅと湿った音を響かせながら出し入れを繰り返した。
入り口や内壁が慣れて大分柔らかく解れた頃合いを見計らい、指先の腹で前立腺に触れて押し上げ、爪先でカリカリと軽く引っ掻いて刺激してやる。
そうやってしてやると、礼二は腰をガクガクと震わせて、押さえ切れずに喘ぎ声を漏らした。
「あ゙ーーっ!」
「いやらしい喘ぎ声出して、よっぽど気持ちがいいんですね、ココ」
「あ、んんっ! そこぉ……! らめぇ! なか、へんぁから……」
礼二は口端から唾液を零し、舌ったらずな言葉使いで、掠れた甘えるような色を含んだ震える声で佐藤に懇願した。
「礼二様はこっちの方の素質がしっかりとあるみたいですね。
ココが礼二様の中にあるイイ所ですよ? わかります?」
「ふあ……ああぁん」
「ふふっ! 可愛い声出して、すごく気持ち良さそうですね。」
佐藤は嬉しそうにそう言いながら礼二の体内へ挿し入れる指を増やした。
「あーーっ! んんぅ! あっあっ!」
「ふふ、礼二様、後ろの穴弄られるの、随分と気に入ってくれたみたいですね」
最初は指一本だけでも窮屈だった穴が今や、すっかり緩んで柔らかくなり、内側の肉がざわめいて、三本に増やされた指をやんわりと締め付け、ぎゅっと絡みついてくる。
突き入れたままで三本の指をバラバラに中で蠢かせ、ぐいぐいと揺すってやると礼二がガクガクと痙攣し始めてのけ反った。
「あ゙ーーーーーっ!」
二回目の絶頂を迎え、ぶるぶると内股の筋肉が引き攣ってピクピクと動いているのが解る。
腫れぼったくなり柔らかくなった入り口が収縮を繰り返してヒクヒクと開いたり閉じたりして、挿入されたままの指をきゅうきゅうと締め付け、内側の肉壁がざわめきながら絡みついてくる。
けど、それでも射精はしていない。
……ドライオーガズムだ。
初めてで指だけで、ドライで絶頂を迎えられる事など、ごくごく稀だ。
「ふああぁ」
まだ絶頂が続いているのか、礼二は半開きの目で涙を零し、開きっぱなしの口からは唾液を溢れさせて、耳まで赤くなり恍惚とした表情を浮かべて、内股をぶるぶると震わせていた。
ドライで得られる絶頂は射精で迎える絶頂と違い尾を引き長く続く。
恐らく無意識なのだろうが、だらし無く唾液を垂れ流している口端は緩く弧を描いて笑っているように見えた。
……本当にこの人は、どうしようもないくらいのドがつく淫乱体質だ。
こんなにいやらしい身体をしているのに、今までよく誰とも寝ずにいられたものだ。
そういった点では、翼君には感謝しないといけないかもしれない。
彼のおかげで礼二様の初めての相手に自分がなれるのだから……
佐藤はそんな事を思いながら、いまだ快感に身を震わせてこちらに戻ってきてはいない、礼二の胸板を女の子にする時のように、手の平に包んで、撫で回しながら乳首を指の凹凸で転がすように弄ってやる。
薄い桜色だった乳首は今は腫れて赤くなり、ずっと勃起しっぱなしで、女の子のそれのようになっていた。
尖りきって、すっかり敏感になった乳首を弄られて礼二が嬉しそうな甘ったるい媚びた喘ぎを漏らした。
「あはぁ……」
もっとして欲しいというような、甘えたような響きが混ざっているように聞こえた。
礼二を床にそっと横たわらせて、仰向けに寝かせてから、挿入していた指を引き抜いて、入り口を人差し指と親指で拡げるようにして、内側の壁を外気に晒す。
指を引き抜く時に中の肉がピクピクと絡んで、逃がすまいと吸い付いてきたために引き抜きにくかった。
佐藤はいやらしすぎる礼二の身体と媚態を見ていて、すっかり固くなり屹立した自身を取り出すと、亀頭を入り口に押し付けて、めり込ませるようにして、柔らかな媚肉の弾力を楽しんで擦り付けるようにした。
押し付けられた亀頭に嬉しそうに入り口が、ヒクヒクと絡みついて中へと誘うような動きを見せていた。
「礼二様? 今あなたのいやらしい穴に押し付けられてるモノが何か解りますか?」
肉棒の尖端を熟れて柔らかくなったすぼまりに、にゅるにゅると擦りつけながらそう問い掛ける。
「ふ……あ?」
「今から僕のペニスが礼二様のだらし無いお尻の穴に入っていきますから、ちゃんと見ていて下さいね?」
礼二はそう言われて、自身の下肢を無意識に見遣る。
自身の肉茎で隠れて見えないが、熱を持った肉の塊が後ろの穴に押し付けられているのは感触でわかった。
「や、あ、入れたら、ぁめ……らめぁ……」
目の焦点も合わないまま、こちら側にかえってきていない様子なのに、礼二は呂律のまわらない、たどたどしい言葉で自らの入り口に押し付けられたモノが、侵入してこようとするのを拒んだ。
どうしようもない淫乱の癖に、まだ好きな人の為に操を立てようとする気持ちが残っていたのか、と佐藤は思い笑みを浮かべた。
本当にこの人は見ていて飽きない。
礼二がいくら拒んでも途中で行為を中断する気など、さらさら無い佐藤は、彼の拒絶の言葉を無視して、ぐっと腰を前に突き出した。
指で解されて、柔らかくなってヒクついている穴に亀頭をめり込ませた。
「ゔっ!」
先っぽを中へと埋め込まれて礼二が苦しげな声をあげるのを聞きながら、張りだした部分を突き入れた。
でっぱりの部分が紅く腫れた肉ひだに飲み込まれた後は、エラが入ってしまえば、後に残された茎の部分をいとも簡単にズルズルと、すんなり挿入する事が出来た。
「く、ははっ!入った……!」
佐藤は込み上げてくる笑いを押さえきれずにたまらずに声を出した。
「あは、あははははっ! 入っちゃいましたよ! 礼二様のスケベな尻穴に、僕のチンポが!」
わざと下劣な言葉を選んでそう言い放ち、礼二を嘲笑った。
「ははは、ほら、わかります? 根元までずっぽし入ってるのが?」
「ふわあぁぁんっ! ふ、ふえっ! うあ、うっ!」
翼以外の男に体を許してしまった現実を突き付けられて、礼二は幼い子供のようにぐずりはじめ、再び声をあげて泣き出してしまう。
「礼二様。 なんで泣いてるんですか?」
「ん、ひっ! あうっ、ううっ!」
「翼君以外の男に突っ込まれたのが悲しいんですか?」
「ふあああああぁぁっ!」
「はは、でも、礼二様のいやらしい穴がさっきから僕の締め付けて中の肉がピクピク嬉しそうに絡みついてきてるんですよね」
「ひっ! う、うぅっ!」
礼二がぶるぶると首を左右に振って言われた言葉を泣きながらも否定する。
そんなことしてない。
そう言いたげに。
佐藤はそんな礼二の様子を愉快そうに見て笑う。
「ははっ! 自覚ないんですか?」
そう言いながら、一回根元まで突き入れた肉棒をずるりと引き抜こうとした。
途端に出ていこうとする肉棒に粘膜のひだが絡みついてぎゅっと締まり、まるで中に入った雄を愛おしむようにきゅうきゅうと吸い付いてくる。
「くっ! は、すご、い、中が締まって食いついてきて、絡みついて、ちんこが引き抜きにくい……」
肉筒の中がどうなっているのか説明するように言う佐藤に礼二の視界がさらに涙で霞んで見えなくなる。
引き抜こうとした肉棒に入り口が吸い付いて内側の粘膜がめくれて引き伸ばされる。
まるで出ていく雄を離すまいと恋しがり根こそぎ精を絞り取ろうとしているみたいだ。
「ほら、礼二様のナカの肉が僕のチンポに吸い付いて、外側に引き伸ばされてめくれあがってるのがわかりませんか?」
そう言って、先端が抜けそうになるギリギリまで引き抜きかけた、肉棒をゆっくりと外に引き出したり、内側に押したりを繰り返して、中の粘膜が雄に吸い付いているのを確かめさせるようにゆるゆると前後に腰を動かしてやる。
「ふああぁぁ……」
身体の奥がジンジンとして、熱くなって、甘い痺れのような、何かおかしな感覚が微弱な電流のようにビリビリと背筋を駆け抜けた。
しばらくの間、ゆっくりと中の粘膜の感触を確かめるように抜き差しを繰り返されて、再び一息に中へと肉棒を突き入れられる。
「かはっ! あ゙っああ゙あぁあぁっ!!!」
「どうしたんですか? そんな嬉しそうな声出して。 あは、あはははははっ! 本当どうしようもないな、だらし無い、このエロい穴はっ!」
「ひっ! ひぎっ!」
ズポッズポッと激しい音を立てながら掻き回すように肉棒を出し入れしてやると、礼二は逃げを打つように細い腰をガクガクと跳ね上げる。
だが、それでも、そんな乱暴な突き入れにさえ、礼二は嫌々ながらも、酷く、感じてしまう。
奥のほうがジンジンして、熱くてふわふわとした浮遊感があってなにかおかしな感覚。
礼二には、それがなんなのかがわからない。
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