混乱したまま、翼は礼二の望みをかなえてやろうと、彼の両足を抱えて、押し上げて、ゴリゴリと擦りつける動きを強くしてやる。 　礼二の年齢のわりに幼く綺麗な色をした性器が翼の陰茎に押しつぶされて、自分の腹部や胸に白く濁りだした濃く、大量の蜜をぼたぼたとだらしなく零して卑猥な線を描いていた。 「んにゃっあぁあっ」 　まるで子猫が鳴くときのような高い声を上げて悦ぶ礼二を、混乱したままの翼が見て無意識のうちに、自分から、いやらしい喘ぎをもらすその唇を塞いでいた。 「ん、んふ……ふぅん！」 　礼二の口の中をかき回すように舐めまわして、けなげに口付けに応えるように差し出された彼の舌をきつく吸いあげる。 　ちゅうちゅうと深く口付けながら、擬似的に挿入した自らの肉茎で突き上げるようにして、のぼりつめていく。 　礼二は乳首をしきりに弄りまわしていた手を、翼の首に嬉しそうに回して、ぎゅうっとしがみついた。 「ん……んはっ！」 　長く深い口付けをして、離れていく翼の舌先を名残惜しげに礼二の舌が追いかけて伸ばされる。 ぬめった唾液が、淫猥な橋を作って零れ落ちた。 　　 　抱えあげた両足をきつく閉じさせて、ぐちゅぐちゅと出し入れを繰り返しているうちにだんだんと射精感が高まってくる。 　礼二が溢れさせた体液と翼の体液とが混ざりあって白く濁ってだんだんと泡だってすべりが良すぎるくらいになり、ぬめりを帯びた、内股の感触とがあいまってまるで挿入しているような感覚になって、余りに強すぎる快感に翼は酷く、酔っていた。 「ふあぁ、あん、ああん」 「っはあ、はあ、あ、兄貴！」 　だんだんと高まってくる射精感の赴くままに、礼二の足の間に挟みこんだもので、ゴリゴリと突き上げていると不意に、礼二が瞼を開いた。 　翼は、礼二が目を覚ましたことには気付かずに行為を続けて、そして限界が近づいてきて、彼の足を高く抱え上げいっそう強く突き上げると、びゅるびゅると白濁を吐き出して射精した。 「……っうぐ！」 　翼が吐き出した精液が礼二の足の間から腹上へと勢いよく吐き出されて伝い、胸にまでかかる。 　礼二は、半開きの目でそれを見て微笑を浮かべ、嬉しそうな顔をする。　翼は、射精したばかりで頭が真っ白になってしばらく放心状態だった。 　自分の胸や腹にかかった翼の精液に手で触れて、手の平に掬い上げたその糸を引く濃い白濁を礼二は不思議そうに眺める。 　　　 　無邪気に精液の感触を確かめるように指先でくちゅくちゅとこね回して遊んでいた礼二は、そのまま、それを口へと持っていき、ぴちゃぴちゃと指を舐めはじめた。 「ん……」 　翼が吐き出した精液を舌の上でじっくり転がして味わってからゴクリと飲み込んで息を吐いた。 「ふあ……」 　目を覚ましたら裸の自分の上に翼がまたがっていて、えっちなことをしてくれているのをみて礼二は、この状況を半分しか覚醒していない頭で夢だと思いこんでいた。 　本当の自分を知られたら、翼に嫌われるから、佐藤にされたことは黙っていようと思っていた礼二である。 「はあ、はあ……はっ！」 　ここで、一つ問題が出てくる。 　射精して混乱していた思考がクリアーになって翼が我に返ってしまった。 　我に返った翼は、裸の兄の上にまたがった状態で目を見開いた。 　目を覚ました礼二と視線があって、翼の顔は耳まで真っ赤に染まって、散々やらかしておいて今更なのだが、恥ずかしさと後悔の念に苛まれる。　　　 　 「ぎゃあああぁっ！　俺はなんてことうぉおぉーーっ！」 　そう、叫んで自分の髪をぐしゃぐしゃとかき回して頭を抱えた。 「があああっ！　俺もケダモノじゃないか！」 「つばさーーもっとして「それ以上何も言うなあぁぁっ！」 　礼二が続きをおねだりしようと言いかけた台詞を翼は遮って叫んで止めた。 「兄貴……よく聞けよ、コレは、夢だ」 「うん」 　翼に眼前に指差されて、そう言われて礼二は素直に頷いた。 「夢でも翼にえっちなことして貰えて、お兄ちゃん嬉しいぞ」 　と続けざまに屈託のない笑顔でそう言った。 　それを見て、翼がさらに顔を真っ赤にして俯いた。 「体中、べたべたして気持ち悪いだろ？」 「うん？」 「点滴した後だから風呂には浸かれないけど、シャワーで体流すくらいはしたほうがいい」 「う……ん？」 　　 　翼に言われたことを寝ぼけ半分に聞きながら、礼二はさっきからしきりに胸や腹上にかかった、翼の精液を指先に掬い取っては口へと運び、ぴちゃぴちゃと舐めて白濁を味わうように、口の中でくちゅくちゅとしてから、コクリと飲み込んで嚥下している。 　無心にそれを繰り返す兄を見て翼は、いたたまれなくなってガクリと肩を落とした。 　とっさにコレは夢だと兄に言ってごまかしたが、やってしまったことには変わりはない。 　自分の性嗜好はやはり普通ではなかったという事実にショックを受けて翼は落ち込んだ。 　そんな翼の考えなど何処吹く風で、精液を無心に飲み下している兄の手を取り翼はそれをやめさせる。 「馬鹿っ！　そんなもん飲むなっ！」 　翼にそう言われて礼二はきょとんとした不思議そうな顔をして首を傾げる。 　ベット脇に置いてある箱から数枚ティッシュを取り出して翼は兄の口元へとやり、口の中にある自分の精液を吐き出すように促した。 「ほら、ばっちいから、口の中に残ってるのぺっしなさい！」 　翼に幼子に言い聞かせるような言葉でそう言われた礼二は首を嫌々と左右に振ってそれを否定して、口の中に溜め込んでくちゃくちゃと味わっていた残りの精液をゴクリと飲み下した。 　　　　　 「……ばっちくないもん」 　そう言いながら、胸にかかってまだ残っている翼の精液を物欲しげに見やる。 　兄が何を考えてるのかが、全く理解できない。 　弟のザーメンを嬉しそうに味わって、飲み下す兄など普通に考えてありえないし変だ。 　　　 「うーー……」 　礼二は翼に手を掴まれたままの状態で眉をしかめて、足をもじもじと動かしていた。 　そんな兄の下半身を翼は見やるとハッとして気がついた。 　自分ひとりがイッただけで兄のその部分は大量の蜜に塗れて放置されていた。 　翼はそれに気付いて手を離すと、礼二は無心に自由になった右手で陰茎を緩く握りこんで先っぽを指先でいじいじし始める。 　左手で精液と汗で湿った乳首を挟んでくりくりとこね回して自慰をする。 「ふああぁ、んう、あふ……ぅ」 　自分の事ばかりで中途半端で兄を放置していた事に気付いた翼は、半分眠ったままのような半開きの瞳を潤ませて、虚ろな表情で自慰をしている兄の肩を掴んだ。 　そのまま、彼の両足の膝裏へも腕を通して、思い切って抱き上げるとベッドをおりて立ち上がった。 　所謂、お姫様抱っこ状態で、抱き上げられた礼二は嬉しそうに、翼の首にしがみついた。 　翼は多少よろめきつつも、しっかりとした足取りで風呂場へと向かう。 「兄貴……ごめんな」 　 「……うん？」 「続き、風呂場でしてやるから、もう少し我慢できるか？」 「うん」 　翼にそういわれて、嬉しそうに笑って礼二はコクンと頷いた。