36 / 152
それぞれの過去〜馨&和成編〜【9】
念入りに解かされた蕾はずるずると指を飲み込んでいき、内部の粘膜がざわめき蠢いた。
進入してきた指の異物感に耐える和成の震えが内側から伝わってきた。
差し入れたまま指をぐるりと回すように動かしてまだ固さの残る肉筒の中をじっくりと慣らしていく。
「く、んんっ!」
自身の内部で蠢く指の感触に思わずあられもない悲鳴のような喘ぎをあげそうになるのを堪えて唇を食い締める。
そんな和成を見て、馨は彼を落ち着かせるようにしなる背を空いている方の手で摩って落ち着かせようとした。
「和成君、声、我慢しなくていいんだよ?」
そう言われて和成が馨がいる方を振り返り、弱々しく首を左右に振る。
「ああ。やっぱり恥ずかしいのかー……」
「なんか、変な声が出そうになるから……」
和成がそう掠れた声で小さく呟くように言って、恥ずかしそうに俯き、目じりに涙を浮かべる。
「僕は、聞きたいんだけど……」
「…………」
「和成君の変な声」
「うっ!」
「ていうか、やらしい声が……」
「やだ、言うな、馬鹿ぁっ!」
相変わらず明け透けな物言いをする馨を咎めるように和成は声を荒げた。
馨は、和成が恥ずかしいと思うような事をしたり、恥ずかしいと思っているような声を聞きたい、という素直な気持ちを言葉にするがそれさえも恥ずかしがる彼は、顔を真っ赤に染めて、首を左右に振りたくった。
「和成君の事が好きだから、やらしい声を聞きたいと思うし、恥ずかしいこともたくさんしたいって思ってるのは本当だから」
馨にしてはらしくない真剣な表情で自分の素直な気持ちを伝えようとして和成を見ていた。
「…………」
和成は無言のままで馨を見返して、そのまましばらく動かずにいた。
本当は馨のしたいようにさせてあげたいと和成も思っている。
いままでしてもらったことのほんの一部でもそうすることで返せたらと思う。
けれど、恥ずかしさが先に立ち、決心が揺らいでしまいそうになる。
「和成君。ごめんね。無理強いしないって言ってたのに、やっぱり我慢できなくて」
馨が申し訳なさそうにそう言いながら差し入れたままの指をぐっと動かした。
「きゃ、あうっ!」
体内にあるしこりを指の腹で押し上げられて、和成は思わず、女の悲鳴のような声をあげてしまい、慌てて唇を食い締めた。
馨はそのまま差し入れた指を、くちゅくちゅと出し入れを繰り返してピストンさせ始めた。
「うっ、ああっ! ふあうぅっ!」
堪えきれずに漏れた喘ぎ声に興奮した馨は和成の閉じた足の間で震えている陰茎を握りこんで扱き出した。
前と後ろから同時に攻め立てられる強すぎる快楽に我を忘れ始めた、和成の口からひっきりなしに喘ぎ声が零れ出した。
「あっああぁ、ああん、かおるぅっ!」
「はぁはぁ、和成君、かわいいっ!」
びくびくと震えながらあられもない声で泣く和成が可愛すぎて自身の欲望をもう抑え切れそうにない。
いきり立ったまま放置されていた自らの肉茎を和成の尻の狭間に押し付けるようにしながら、蕾に差し入れる指を二本に増やして、柔らかくなって絡み付いてくる肉壁を掻き分けるようにぐいぐいと中で動かした。
「ひいあぁっ! ひゃはあぁっ!」
馨の指が体内にあるしこりを擦るたびに和成はあられもない悲鳴のような喘ぎを漏らし、ガクガクと閉じたままの足を震わせる。
馨の手の平に包まれて握り込まれた陰茎の先端から大量の蜜を噴出して、飛び散って零れて足の間を伝い、流れ落ちていき床を汚した。
次から次へと溢れ出てくる先走りの粘液の助けもあって、和成の肉筒の中は塗り込められた蜜のぬめりで満たされており、滑りが良くなり継ぎ足された指の間を開きながらでもスムーズに出し入れさせられるまでになっていた。
体の内側からどんどん広がっていく熱が全身に行き渡り、今までに感じたことのない、おかしな感覚が強くなっていき、
「ひ……い、やああぁっ! こわい、こわいぃっ!」
和成がそう叫んで、真っ赤な顔を涙と口端から伝う唾液とでぐしゃぐしゃにしながら無意識に腰を跳ね上げて逃げを打った。
慣れない感覚に自分がどうなってしまうのか解らなくて、怖くなって和成がまた本格的に泣き出してしまった。
「うっ、ふあぁうっ! あぐっ!」
「和成君……怖がらなくていい、大丈夫だから……」
馨が無意識に逃げを打つ和成を落ち着かせようといったん扱いていた陰茎から手を離して、彼の胸元へと置いた。
どくどくと心臓が激しく脈打っているのが左胸に宛てた手の平から伝わってきた。
「はぁ、はぁ……ふぁ……かおるぅ……」
白い胸の先でずっと痛々しく尖りきったままの桜色の乳首を人差し指と親指で摘んでくりゅくりゅと愛撫し始めた。
「ふあ……んあぁ、ふぅ……」
敏感な乳首を弄られて、馴染んだ快楽に素直に喘ぐ和成を見て、馨は差し入れたままの指を連動させて動かし始めた。
和成は乳首が感じやすくて、そこばかりしつこく弄り回されれば射精にまで導かれてしまうくらいに敏感だった。
和成は今までもキスで咥内を掻き回されて、乳首を弄られて射精することがままあったりした。
キスをしながら胸を弄って、彼をイかせてそれだけで我慢していた。
馨自身は和成が感じて射精する瞬間のあの蕩けた表情を思い出しながら自家発電をするに留めていた。
彼がその気になってくれるまでいつまででも待つつもりでいた。
そして、今、和成は再び未知の感覚に恐怖心を感じて、無意識に逃げようとする自分の体をどうにかして押さえようと必死で耐えていた。
「ふっ、あう、んんん」
「和成君、足の間にまた入れていい?」
馨がそう言いながら和成の足の間に、いきり立った肉棒をぐりぐりと押し付けながら言うのを聞いて、熱い楔の感触に肉筒の中の粘膜がきゅうと指を締め付けながらピクピクと脈打って絡み付いてきた。
自分の足の間に押し付けられた熱に無意識に反応して和成の陰茎が震えながら白く濁り出した粘度の高い蜜を桃色をした先端から溢れさせた。
馨の肉棒が足の間の擦りながら行き来した時の快感を思い出した和成は知らず知らずのうちにぴったりと閉じていた足の間を馨の肉茎を通せるくらいの感覚で開いて受け入れる体勢をとっていた。
内側の粘膜としこりを刺激される未知の感覚よりは、外側を刺激される快楽の方が馴染みやすかった。
感じ過ぎて上半身を支えていられなくなった和成はペタンと床に胸を付けて、尻だけを高く掲げるような体勢になっていた。
和成の足の間に挟まれた馨の肉棒が淫猥な水音を響かせながら行き来し始めた。
和成の性器を押し潰すように自身の肉棒で擦りながら、大量に滴りぬめる淫液のおかげで滑りが良くなり、快感が増していた。
自分の足の間を行き来する馨の肉棒に擦られて和成の先端からぼたぼたと蜜がひっきりなしに溢れ出して床に散らばり小さな無数の水溜まりを作り出していった。
「っあ、ふぁっ! あぁあ……っん!」
「はっ、くっ、うぅっ! 和成君……!」
「はああぁっ! ふあぅぅっ!
あんっ! かお……うぅ……」
前と後ろをぐちゃぐちゃに掻き回されて、呂律の回らなくなった和成が馨の名前を呼ぼうと舌ったらずに口端から唾液を溢れさせながら蕩けた表情で喘ぐ。
「あぐっ、はう、んっ! あぁぁん! かおゆぅ……かお、うぅっ!」
大人しくて、無愛想な普段の彼からは想像も付かない、やらしいその表情や声に煽られて馨も性感がだんだんと高まっていき歯止めがきかなくなっていった。
「はぁ、はぁ、和成君、すっごく、やらしくて可愛い!」
「そっ…な…こと……いっ、ああっ! やあぁっ!」
激しく和成の足の間を突き上げながら、肌と肌がぶつかり合う破裂音と、継ぎ足されて3本に増やした指をバラバラに動かして、後ろを押し拡げながら出し入れを繰り返して、掻き回す水音がやけに部屋中に大きく響いて、聴覚までも犯されているようだった。
ともだちにシェアしよう!