37 / 152

それぞれの過去〜馨&和成編〜【10】

 和成は自分の足の間を行き来する馨の肉棒と、蕾を掻き回しながら出入りする指とが、響かせる卑猥な水音を聞いて、羞恥に顔を真っ赤にして、目尻に大粒の涙を浮かばせていた。 「ひぃ、やあぁぁっ!」 「は、はぁ……和成君」 「ふあうぅっ、んあっぁぁっ!」 「っ、はぁ、和成君……どう? 後ろ、もう違和感とかない?」  そう聞きながら、差し入れた指を開いて柔らかく解かされた、中の媚肉を掻き混ぜるように出し入れさせる。  それと同時にぐっしょりと溢れさせた蜜に塗れた、和成の袋と陰茎を自身の肉棒で押し潰すように、彼の足の間を突いて腰を動かす。 「あーっ! ふあああっ!」  和成の足の間を突き上げて彼の性器を押し潰す度に、蕾へと差し入れた指がぎゅっと締め付けられる。  熱くなった肉壁がざわざわと絡みつき、差し入れた指にきゅうきゅうと吸い付いてくる。 「あふ、あっ! ああんっ!」  念入りに解かされて、柔らかくなった肉筒は、突き入れられた指に慣れて、すっかり違和感がなくなっていた。  体内にあるしこりを指の腹で、ぐりぐりと押し潰すように擦られると、強烈な快感が背筋を駆けぬけて、無意識に腰が揺れる。  前からと後ろからと、両方から押し寄せてくる強すぎる快感に、和成は顔を真っ赤にして、涙と唾液で顔中をぐしゃぐしゃにしながら喘いだ。  馨に聞かれた事に対する返事を返す余裕すらない程に感じていた。 「ふああぁっ! あー…はあ、はぁ、はぁんっ! あぐっ! ああんっ!」 「っく、うぅ! はぁ…和成君…すごい、気持ちいいよ」 「はっ、あぁぁっ…あんんっ!」 「和成君、好きだ……」  馨は覆いかぶさるように和成を背後から抱きしめた。  好きだと耳元で囁かれて、和成はその言葉を聞いて安心したのか、馨にされる行為に身を任せて目を閉じた。 「はぁ、はぁ、和成君、好きだ、誰よりも何よりも君が、君だけが……」 「あっ、んんんっ! はぁっ、う…んっ!」 「和成君、はぁ、はぁ、んん…そろそろ、出すよ……!」  そう言いながら馨はめいいっぱい肉棒を彼の足の間に突き入れ、肉筒に差し入れた指をぐいぐいと中で動かしてやる。 「ふあああぁっ! あーっ! あーっ!」  馨より先に和成がイって桃色の先端から精液を吐き出してびしゃびしゃと床を白濁で汚した。  和成が精液を吐き出す度に、内側の媚肉が馨の指に絡み付き、きゅうきゅうと締まる。       ビクビクと痙攣しながら射精する、和成の快楽に蕩けきった表情を見て、触発された馨も射精へと導かれた。  最後にイッたばかりで、完全に気をやってしまい、あっちの世界へと旅立ったままの、和成のガクガクと震える足の間を、一突きしてから、肉棒を抜き、軽く手の平で握りこんだそれを扱きながら、彼の白いお尻や背中へと向けて白濁をぶちまけた。 「くっ! うぅっ!」  馨がうめき声を上げながら、最後に和成の双丘の狭間に肉棒を挟むようにして、彼のいやらしくヒクついている蕾に、吐き出した残りの精液を塗りつけるように亀頭を押し付ける。  柔らかく熟れて、赤く腫れぼったくなっているその肉筒の中へと、そのうち入れられるようになると思うと感慨もひとしおだった。  和成の内側の粘膜の熱さやぬめり、締め付け具合を差し入れていた指に残る感触で思い出して、そこに入れたときの気持ち良さは、擬似的に挿入するのと比じゃないくらいに、気持ちがいいに違いない。  和成がそれを少しづつでも頑張って、受け入れようとしてくれる気持ち自体が、とても嬉しくて、幸せで、愛おしさが胸いっぱいにこみ上げてきた。  馨はまだ射精したばかりで、頭が真っ白になり、快感に体を震わせている和成を背後から抱きしめて、起き上がらせた。 「和成君、よく頑張ったね」  膝を付いて座した状態で、背後から和成を抱きしめて彼の首に顔を埋めながら、馨は彼を労わる言葉を耳元で囁いた。 「ありがとう……僕は君のおかげで、今すごく幸せだよ」  その言葉を聞いて和成は意識を浮上させた。  ずっと自分を必要としてくれる人を求めていた和成は、その言葉に救われたような気がした。  俺はここにいてもいいんだ。  そう思える居場所を見付けたような気がした。  和成のおかげで幸せだと言ってくれた馨のその言葉だけで、満たされたようなあったかい気持ちになれた。  和成はそのまま体を反転させて馨を抱きしめ返して彼の胸に顔を埋めた。  彼の心音を聞くと、なぜかとても安心する。  甘えるような和成の態度に、馨の表情がだらしなく緩み満面の笑みを浮かべて満足げに胸の中にいる和成をより強く抱きしめた。  誰より何より愛しい存在が自分の胸の中にいる幸せをかみ締める。  癖があって柔らかい銀色の猫っ毛を梳くように撫でてそのいいにおいのする髪に顔を埋めてキスを落とした。  頭にキスをして、額にキスをして徐々におりてくる馨の唇が和成の頬へとすべり、桜色の薄い唇へと辿りつく。  馨に促されるまま和成は顔を寄せて彼の口付けに答えるように唇を開く。  馨は和成にそっと口付けをして彼の唇をついばんだ。  ちゅっちゅと触れるだけの口付けをして互いに唇を吸いあって、しばらくそうやってして満足したのか馨が唇を離す。 「和成君、体中べたついて気持ち悪いでしょ?」  不意に馨にそう言われて、和成は自分の背中や尻の狭間に、馨にかけられた精液が伝っているのを感じて、顔を真っ赤に染めた。  いままでイッたばかりで半分意識が朦朧としていたせいか、今頃になって全身の不快感を思い出した。  さらに床を見やるとさっき自分が吐き出した精液が、あちらこちらに飛び散って所々に白い水溜りが出来ていた。  それを見ていたたまれなくなった和成は、馨の胸に再度真っ赤になった顔を隠すようにして埋めると、ぎゅっと抱きついた。  その和成の恥らう仕草に胸がきゅんとして、馨は抱きついている彼を、そのまま子供にする時のように抱え上げた。  いきなり抱き上げられた和成が、馨の胸に埋めていた顔をあげて目を白黒させていた。 「散らかった部屋の後始末は、とりあえずお風呂に入って、サッパリしてからにしよっか」  そう笑顔で言う馨の言葉に和成は頬をぽっと赤く染めて頷いた。  そのまま馨の首にぎゅっとしがみ付いた。  和成を抱き上げたまま風呂場へと向かおうと馨は立ち上がった。 「そういえば……」  和成がふいに呟いた言葉に反応して馨が「ん?なんだい和成君?」と聞き返した。 「龍之介のやつは結局どうなったんだろう……」 「あ」  和成のその言葉を聞いて馨はハッとして思い出した。  お隣の43号室から龍之介のものすんごい雄叫びが聞こえてきて、和成が彼の身を案じてそれを心配していたんだった。  正直に言うと自分達のことで、というか和成君の事で途中から頭がいっぱいになり、龍之介の危機的状況をすっかり忘れていた。  龍之介君がなにか大変な事になっていたんだっけ……  そう思いつつ馨は、意外とタフそうな龍之介君の事だ。  まあ大丈夫だろうと何の根拠もないがそう考えて、うやむやで和成を抱えたまま、バスルームへと向かった。  結局その日は龍之介がどうなったのかは、馨と和成にはわからずじまいで終わった。 □  ――そうして時は戻り今現在。 「俺の尻穴がファイナルクラッシュした! 情けないが二足歩行すらままらない状態だ!」    という龍之介が叫んだ台詞により彼が真澄にどのような折檻を受けたのかが発覚した。  腕ほどの太さを誇るナニを突っ込まれるという、真澄の鬼のような仕打ちというか拷問により、龍之介の尻の穴が無残な状態になり二足歩行すらままならない状態にされたようだ。  

ともだちにシェアしよう!