38 / 152

それぞれの過去~真澄×龍之介編~【1】

    昨夜、真澄は龍之介にお仕置きと称してうむをいわさず彼の身包みを剥いで、全裸にしてベットへと無理矢理押し倒すと、あらかじめ用意していたローションをぶちまけた。  龍之介の蕾へと乱暴な指使いでローションを塗りこめると、すぐに自身の滾りきった欲をぶつけるように挿入した。  ろくに慣らしもされていない入り口はローションのおかげでかろうじて裂けはしなかったが、ぎちぎちと女の腕程もあるソレは龍之介のすぼまりを限界にまで押し広げて皺が伸びきるほどに広がった。  いきなり突っ込まれた龍之介は例の 『ぐぎゃああ゛ああぁっ! じぬうぅぅーーっ!』  という悲鳴を上げて泡を吹きながら白目をむいて失神した。  その耳を劈くような悲鳴は隣の部屋にいる馨と和成にも痛いくらいに聞こえた。  龍之介が失神したことにより、怖いくらいにしばらくの間、静かになった。  失神したままの龍之介を揺さぶっていた真澄だが、このままでは面白くないし、お仕置きにならないと考え彼の頬を左右かわるがわる思いっきりひっぱたきビンタを食らわせて彼の覚醒を促した。  かわるがわる頬を叩かれて、覚醒した龍之介は焦点の合わないまま真澄を見やると無意識に酷い拷問から逃れようとガクガクともがき始めた。  それを見て真澄はあざ笑うように腰を使い龍之介の肉筒を抉る様に突き上げて攻め立てる。  覚醒したばかりでまた体内から真っ二つに引き裂かれるような激痛で龍之介が痙攣しながら再び切羽詰った悲鳴を上げる。 『痛い、痛い、痛い!  ぐぎひいぃぃーっ!!!』  その悲鳴を聞いて真澄の肉棒はさらに滾り大きくなり、龍之介を内側から引き裂いて苦痛を増させる。  それからは、龍之介が白目をむいて失神するたびに真澄は彼の両頬を叩いたり、乳首をぎりぎりと爪先で絞り上げたりして覚醒を促し、あくまで正気を保ったままの状態で犯し続けた。  その日の夜、龍之介が苦痛からやっと解放されたのは、真夜中過ぎだった。  全身白濁塗れで冷め切ったベットに放置されていた。  精液が乾いてそこかしこがかぴかぴに乾ききっていて不快感が酷かった。  それに、あまりに大音響で叫びすぎて喉が痛い。  全身が真澄の吐き出した精液の匂いで包まれているようなのも酷く耐え難い。  龍之介は痛む体に鞭打って、ベットからおりると足に力が入らずそのまま床へと這い蹲った。  床へと叩きつけられる衝撃で腰に来る激痛で失神しそうになったがなんとか意識を保ち、床を這いながらバスルームへと向かった。  バスルームへとたどり着くと、サアサアとシャワーの音がして、風呂には先客がいた。  龍之介をほったらかして真澄が先に入浴していた。  彼は生粋の潔癖症なため念入りに体を洗い流しているのだろう。       なんたる酷い仕打ちか!と龍之介は怒りに打ち震え、いつか絶対に仕返ししてやる!と心に誓った。  真澄に龍之介は腕力で足元にも及ばないため、到底、歯が立たない。  真澄の細いあの体の何処にそんな力があるのかはわからないが、とてつもない馬鹿力で龍之介を片手でやすやすとねじ伏せられるほど身体能力が優れている。  だがしかし、体はねじ伏せられても心まではねじ伏せられてはいない。  不屈の精神を持つ自分なら日々鍛錬を続ければ、いつかは真澄を超えられる筈だ!  これくらいでへこたれるようなやわな男じゃねえ!  正義は最後には絶対に悪に勝つ。  どんな苦境にも試練にも耐え抜いて悪を討つのが正義の味方だ!  龍之介はそんなことを考えて気合を入れて拳を強く握り締める。  いつか真澄を泣かせてひざまづかせてやろうと龍之介は無駄に前向きに考えていた。  彼は無駄に前向きで熱血であるため、酷い目にあってもあまり深くは考えない性格だった。  特撮ヒーロー物が好きで小さい頃から見続けていたせいで正義感が無駄に強く育ち、いじめっ子を成敗するためにひとり裏山へと行っては体を鍛え、修行に励む幼少時代だった。  そのせいか体力はわりとあるほうで精神的にもタフに育った。  そんなわけで、絶対に叶いはしないだろう誓いを胸にその日の夜は過ぎていった。  龍之介は結局真澄が出た後でフロに入り全身をざっとやっとの思いで洗い流すと、ベットまでまたはいずって辿りつける自信がなかったため、脱衣所でそのまま就寝した。  ――翌朝。  脱衣所で丸くなって寝ていた龍之介は真澄に足先で背中をつつかれて起こされた。  尿意があったので、そのまま、はいずって便所へと向かった。  立ったままで小用を足せる自身がなかったので座って用を足した。  用を足すのに力んだせいか尻からだくだくと何か液体が噴出して滴る感触を感じて龍之介は恐る恐る便器の中を覗いてみた。  ――真っ赤だった。  便器の中にだくだくと血の海が広がっている。  ところどころ血と精液が混ざり合いピンク色でねっとりとした赤白まだらの液体が便器を伝ってゆっくりと滴り落ちていた。   龍之介の中の粘膜が切れ、さらに真澄が中に出した精液が混ざり合ったものが噴出してきたのだろう。  龍之介はそれを見て頭の中が真っ白になりかけた。  真っ白になりかけた意識を奮い立たせて、トイレットペーパーを大量に手に取りたたむとそっと尻の狭間にあてがいふき取った。  柔らかい紙が触れただけで、ありえないくらいに激痛がして、龍之介は涙目になりながら、体内から噴出するそれを出なくなるまで拭き取ってから、トイレを出た。      トイレから這いずる様に出ると、すでに制服に着替え終わり、紅茶を優雅に飲みながらえらそうに足を組む、真澄の姿が食卓にあった。  それを見た龍之介は、殺意が沸いたがぐっと堪えて、自分も着替えなくては、とクローゼットがある寝室へと這いずって向かった。  どうにかこうにか制服に着替え終わり、恐る恐る床に足をつけて、なるべく下肢に負担がかからないように気をつけながらそっと立ち上がる。  立ち上がって足に力を入れて踏ん張ったとたん、激痛で倒れそうになる肉体に鞭打ってふらふらと玄関へと向かった。  ゆっくり朝飯を食ってる余裕はない。  玄関には靴を履き終えた真澄が待っており、ふらふらとやってきた龍之介に肩を貸そうと手を差し出した。  龍之介は怒りを露にした表情で真澄を睨みつけると、彼の手を払いのけて、両手に片方ずつ靴を持って、彼から逃げるように、ドアを開いて廊下へよたよたと出る。  足をもつれさせながら、ふらふらと飛び出してきた龍之介を、43号室前の廊下に丁度、居合わせた馨がいきなりのことに少々驚きながらも彼の小柄な体を倒れないように受け止める。  馨は倒れそうになった龍之介の背中を支えて傾いた体をちゃんとまっすぐに立たせてやった。  龍之介の後を追い、たった今、自室の玄関から出てきたばかりの真澄がそれを見て、どす黒い嫉妬全開の負のオーラを噴出していた。  馨は真澄の暗黒の波動に気がついて慌てて龍之介から身を離した。  馨と和成は、翼と一緒に登校しようと、龍之介と真澄のお隣である44号室へと向かっている途中だった。  龍之介は馨からそれを聞いて、『翼と一緒に俺も登校する!』と言い出して、馨と和成の後をふらふらとついて行き、真澄もしぶしぶながらそれを追う形で44号室へと向かった。  そうしてたどり着いた44号室の呼び鈴を馨が鳴らし、間もなく翼から返答があり、龍之介が立っているのが辛そうだという事情を話すと部屋へとあがるように言われた。  そうして、龍之介は翼の部屋の寝室で今、ソファーに腰掛けてスポドリを飲み干してから乾ききっていた喉をやっとのことで潤して、生き返ったような気がしていた。  馨と和成は翼に出されたほうじ茶を啜り、真澄は翼が出した茶は飲まずに、偉そうに腕と足を組んで、龍之介の隣にふんぞり返るような尊大な態度で深々と腰掛けている。  翼に昨夜、真澄との間に何があったのか、ぶっちゃけて聞かれた龍之介が叫んだ台詞により、衝撃の事実が発覚して、馨は口にしたばかりのお茶を噴き、和成は手にしていた湯のみ茶碗を危うく取り落としそうになった。  龍之介から事情を知らされて、翼が彼を哀れむような、同情するような目で見ていた。      理由や相手は違えど、うちの兄貴と同じ状態なんだな……と翼は思い礼二の方を見やる。  翼と目があった礼二はふにゃっと気の抜けた笑顔で嬉しそうだった。  龍之介と違って、礼二は無茶はするが体はあまり強い方ではなく体力もあまりなくタフな方ではない。  幼い頃には真冬になって雪が積もると実家のマンションのベランダに出て、立ち小便をして雪を溶かして遊んだりしていたが、寒い中で下半身を露出させていたせいか、それをした翌日は決まって風邪を引いて熱を出して寝込んだりしていた。  うちの兄貴は自力で長時間歩行することは可能なのだろうか?  少しの間立っているだけでもかなり辛そうにしていた。  大事をとって今日は学校を休ませたかったが、翼と一緒に登校すると言ってきかず、大泣きする礼二が不憫になり、仕方なく連れて行く事にしたのだが……。  それはそれとして、意外と元気そうな龍之介だが、本当に大丈夫なのだろうか?  心配になった翼は龍之介の方を向いた。  見たところ特に変化はないようだが、クッションなしでは座れないほどにはダメージを受けているはずだ。  龍之介も大事を取って休んだ方がいいのではないかと翼は考えた。  ついでにあわよくば兄貴と一緒にこの部屋で休んで留守番をしてもらい、礼二の様子を見ていてくれないだろうかと思ったりした。 「なあ、龍之介。 お前も今日のところは休んで大事をとったほうがいいんじゃないか? あまり無理をするとより悪化する恐れがあると思うんだが……」  翼がそう心配げに眉をしかめつつ龍之介に言ったが彼は首を左右に力強く振り、それを否定した。 「馬鹿をいうなっ! この程度のことで学校を休むなんて言語道断だっ! とくに今日はせっかく授業がない日なのに! 勉強しなくてもいい日に休むとか、もったいないだろっ!」 と力説した。  龍之介にとっての学校は、勉強をしに行く所というよりか、友達作りや遊びに行くという感覚であるようだ。  そんなことを力説する龍之介を見て真澄が組んでいた腕を下ろしあきれ果てたような顔で彼を見ていた。 「それにだ! 俺はこの程度でへこたれるようなやわな漢じゃねぇ!」 「ちょっ! 待て! それ以上言うな!」  自分の隣りに座っている真澄の存在を忘れたかのようにそう言い放つ龍之介を見て翼は慌てて彼の口を塞ごうとした。  今、龍之介を黙らせなければ、後でなにかとてつもなく大変な事になりそうな予感がする。  龍之介の身が。  だがしかし、頭に血が上った状態で熱く語り出した龍之介の口は止まらなかった。 「いつか絶対に今より強くなって真澄をぶちのめす! この拳でだ!」    うわあっああぁっ!  言っちまったあぁーっ!!!     龍之介……お前、後で自分の首を絞めるようなことを声高らかに叫んで言いやがった。  やはり、こいつはある意味、将来大物になるかもしれない。  と翼は思って呆れ気味で苦笑しながら彼を見ていた。  隣に座ってその龍之介の発言を始終聞いていた真澄は眉をしかめて無言だった。 「…………」  しかし、今はその無言が何よりも恐ろしい。  馨は少しだけ噴き出してしまい自分の制服にかかったお茶を、取り出したハンカチで拭きつつ相変わらずな龍之介を見て苦笑する。  馨の隣に座っている和成は龍之介の発言を聞いて、今夜また龍之介が真澄に酷い折檻受けるのではないかと思い、傍から見てあまり表情に変化は見て取れないが、眉根をややしかめて心配そうな顔をしていた。 「龍之介。お前の隣で真澄が聞いているんだが、いいのか?」  翼は苦笑いをしつつ真澄を指差してそう指摘する。  隣にいる真澄を見て目が合い、龍之介はハッとした表情になって固まる。  翼にそう指摘されてやっと自分がとんでもないことをしでかしたということに気がついたのだろう。 「ぐはっ! 思っていたことをつい口に出して言ってしまった!」  龍之介は今更になって頭を抱えて、つい熱くなって口に出してしまった発言を後悔して身悶えていたが後の祭りだった。  今夜のお仕置きがどのようなものになるのか考えると、恐怖で頭が真っ白になりそうだった。  そんな龍之介を隣りで無言で見ていた真澄は、怖いくらいに柔らかい笑みを浮かべて龍之介の肩を優しくぽんと叩いた。 「龍之介君。君の気持ちは今の発言でよく解った」  真澄は優しげな笑顔を浮かべて、龍之介の奔放に跳ねている癖っ毛を指先で梳くように撫でた。 「今日から僕がじきじきに君の体を鍛えてあげよう」  怖いくらいの笑みを貼り付けたままで続けざまにそう言った。 「僕より強くなるには相当厳しくなると思うけど、龍之介君なら多分、大丈夫」  訓練と言う名の絶対に過酷な仕置きをされるに違いないと翼は思った。  気味が悪いほどに笑顔を浮かべたままでいる真澄を見て翼は恐怖に打ち震えた。  そんな真澄の発言を疑うことなく真っ直ぐに受け止めた龍之介は「おうっ! 俺がその気になったら真澄より強くなるなんてあっというまだぜ!」と拳を高々と振り上げてそう元気良く返した。 「……それは楽しみだ」  真澄が口端を吊り上げて意地の悪い笑みを浮かべながら、また無駄に熱くなって拳を握り締めて気合を入れている龍之介を見ていた。    龍之介が後々後悔することになるだろうと、翼は思っていたが後が怖くて口には出さずに黙って二人を見ているしかできなかった。  

ともだちにシェアしよう!