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見る者見られる者そして繋がり【4】
「!?」
翼は思わず息を呑み、予想していなかった場に遭遇してしまい驚きから声をあげそうになり、それを何とかして堪えた。
馨が言っていた台詞を頭の中で思い出して頬を紅潮させた。
『僕らは僕らでキスしたりペッティングしたりするから――』
自分達の部屋に帰ってからやれと翼はいいたくなったがここで二人の邪魔をするのも悪いような気がした。
馨に聞きたいことがあるからと頼んだのは自分だし、それがなければ二人は今頃、自室でいちゃついていたのかもしれないし……翼はそんなことを考えていたが、和成の普段とは違う掠れて甘い響きを含んだ声を聞いて現実へと引き戻された。
「ふぁ…んんっ…ふぅ…や、ああっ」
乳首を執拗に舌先でつつかれて刺激されて和成は目尻に涙を浮かばせて馨の髪を掴んでそれを止めさせようとしていた。
人に見られるかもしれないような場所でこんなことをされるなんて人一倍羞恥心が強い和成には耐え難いことだ。
けどそれ以上にそんな状況でいつもよりか感じてしまう自分の身体の熱を持て余していた。
馨は和成の胸に顔を埋めて赤く腫れて芯を持った粒を口に含んで、まるでミルクをねだる子供のように吸い付いてしゃぶり始める。
もう片方の乳首を人差し指と親指で摘んで搾乳するときのように下から先端へと向かって指先でちょうどいい力加減で擦る。
「ふああぁ……あっあ、はあぁ……んんっ!」
しゃぶっていた乳首から口を離して馨は和成の首筋に顔を埋めて吸い付いた。
白い肌に赤い印が浮き立って花びらのように浮かんでついているのを見て満足げに口元を綻ばせる。
(和成君は僕のかわいい恋人だからこれからは毎日、身体のどこかにこうやってキスマークをつけよう)
馨はそんなことを考えているのが顔に出てしまい完全に緩みきったでれでれとした表情で半日おあずけを食って触ることが出来なかった愛しい和成の身体を愛撫して、唇で舌で味わい、存分に堪能し尽くそうと行為に没頭していく。
和彦の身体と比べると小柄で、少し頼りなげな白い身体が愛撫するたびに過敏に反応を返して白魚のようにびくびくと跳ねる。
「和成君、このままだと汚れちゃうから下も脱ごうか」
馨は和成が穿いている下衣に手を掛ける。
窮屈そうに固く張り詰めている前を楽にしてやろうとチャックを下ろして、下衣と下着を纏めて掴んで脱がせようとしていた。
感じやすい場所である乳首を散々、弄られて攻められて息も絶え絶えな和成は馨の唾液に塗れた白い胸を上下させて横たわって放心状態だったが、自分のスラックスと下着を脱がせようと掴んでいる馨の手に気がついてそれを止めようとした。
「や……やだ……ここでするのは……帰ってからにし……うぅっ」
和成が顔を耳まで赤くして、震える声でそう言うのを聞いて馨は胸の奥が締め付けられるようにきゅんとしたが、それはそれとして下衣と下着を掴んだまま力任せに引き摺り下ろした。
「ごめん、我慢できそうにないので、やらせてください」
上はボタンを全て外されて、タンクトップを押し上げられて白い胸が露になっていて、下半身は馨に全て脱がされてむき出しの状態にされた和成は恥ずかしさでどうにかなってしまいそうだった。
礼二に薬を飲ませて寝かしつけた翼がこの場所にやってきて、いつ見られるかも分からない状況で生きた心地がしないのにそれとは逆にいつも以上に敏感になって感じてしまう自分の身体が信じられなくて、ぼろぼろと涙が溢れた。
「だ、大丈夫だって! 礼二君は手がかかる子だし、寝かし付けるまでには、まだまだ時間がかかると思うよ……多分」
「うぅっ……ぐすっ……そんなの分からない」
そんなことを話す二人の死角に翼がいて実際に二人の行為を目撃してしまっているわけだが、今、下手に動けば物音を立ててしまい覗いていると勘違いされかねない。
翼は口を閉ざして物音を立てないようにずっと同じ体制で動けずに固まっていた。
肩を揉んで解したばかりなのに、同じ体制で固まっていたらまた肩が凝って痛くなるに違いない。
今、身動きをするわけにはいかない……何とかして元いた寝室に戻れないだろうか?
しかし、このままの体制でいては、前に踏み出したままの状態で足が固まって攣りそうだ。
どうしてこうも逃げ出したくなるような場面にばかり出くわしてしまうのか?
翼は自分の不運を呪うしかなかった。
絶対に人に見られたくないような場面を故意にではないにしろ遭遇して見聞きしてしまうというのは罪悪感が残って後味が悪い。
居間のソファーに横たわっている二人の姿をせめて視界に映さないようにと翼はきつく瞼を閉じていた。
馨は見られたところでたいしたことはないだろうが和成のことを考えると不憫で仕方がない。
もしこの場に自分がいて一部始終を見ていたと知ったら和成の人一倍羞恥心が強くて、繊細で、人目を気にしていそうな彼の性格から言えば、かなり落ち込んで立ち直るまでに相当時間がかかりそうだ。
翼はそんなことを考えていたが、目を瞑っても声は耳に入って聞こえてくる。
耳も塞ぎたいが食器と洗濯物を手に持っているため、それは出来ないのだ。
馨は和成の服をほとんど脱がしてからキスをして深く差し込んでいた舌を抜いてそのままの状態で、頬を紅潮させて荒く息を吐く彼を見て笑みを深くして愛しそうに見つめる。
塞がれていた口を開放されて、酸素不足から潤んだ瞳で目尻に涙を浮かばせて薄く開きっぱなしの唇から熱い息を吐き出してとろけた表情で馨を見返す。
見られるかもしれないという状況でいつもより感じやすくなっている自分の身体の熱を持て余して身をよじる和成を見て馨がふいに下肢へと手を滑らせる。
大量の先走りを溢れさせながら固くなって足の間で震えているそれの先端を弄ぶ様に人差し指でつついてそのまま、優しく茎を握り込んだ。
「あはは、和成君のちんこ、すごいぐっしょり濡れて固くなってビクビクしてる」
明け透けに物を言う馨の言葉に恥ずかしさで和成が顔をさらに真っ赤にして、大粒の涙を溢れさせて口を押さえて泣き出してしまう。
せめて声が出ないようにと無意識に口を塞いで瞼をきつく閉じて震えている和成を見て少々かわいそうになってきた。
彼は優しいから結局最後には馨がすることを最終的には黙って受け入れてくれる。
そんな彼の優しさにいつも甘えすぎてしまうのが自分の悪癖だが、直そうとしてすぐに治せるようなものじゃないし、人目など気にせずにいつでもどこでも和成といちゃついたりしたいと思っているのも本当で、というか見せ付けたいような気がするのだ。
和成は自分のものであるというのを周りの人間に見せ付けて、優越感にひたったりとかしたいのだ。
自分で思うに僕も大概、そうとう性格が悪い。
自覚があるだけない奴よりかはマシだけどもあまり褒められた性格ではないなと馨は苦笑しつつ、震えている和成を安心させるように空いている方の手で柔らかい猫っ毛の細い銀髪を梳くように撫でた。
「和成君、ごめん、本当に……あんまり君がかわいいから、我慢できなくて」
「うぅっ……かわいい、いうな……ばか……」
自分が他人の目から見てどのように見えているか自覚のない和成は自分がかわいいといわれるといつも、それを否定する。
男にかわいいは誉め言葉ではないのだがそれしか言葉が浮かばないし、出てこないのだ。
「あー……やっぱりかわいすぎるよ、和成君は。 うん。 愛してる」
馨に急所を握りこまれたままでそういわれる和成は複雑な表情で閉じていた瞼を開いて彼を見返した。
「君のことが好きだから、愛してるからしたいんだ」
「だとしても……お前は状況と周囲の目を少しは気にしろ」
和成に言われて馨は頷いて屈託のない笑みを浮かべる。
「あはは、ごめん、無理。我慢できそうにない。むしろ見せびらかしたい」
「お前は……ほんとうにどうしようもない変態だな……」
「自分の欲望に忠実に生きる。それが変態だというなら僕は寧ろ進んで変態になる」
「馬鹿」
「あはは、馬鹿で結構、だから僕はしたいようにするのだ」
馨はそう言って笑いながら和成の下肢へと顔を埋める。
「和成君の舐めて綺麗にしてあげるね」
先端に舌を這わされて舐めあげられて和成の腰が跳ねて、喘ぎが思わず漏れた。
「や、あぁっ!」
「前からずっと口でしたいと思ってたんだよね、おしゃぶり好きだから」
「……やだ、そこ、きたない……から……」
「和成君の身体で汚いところなんてひとつもないよ」
馨はそう言って、大量の蜜を溢れさせている先端を舐め上げてわざといやらしい音を立てて啜り上げた。
裏筋を丹念に舐め上げて、指先で、亀頭の尖端の割れ目を愛撫してやる。
舐めとっても舐めとっても次から次へと溢れて滴る蜜をなぞるように舌先を滑らせて、淡い桜色をした先端にたどり着き、鈴口の割れ目に沿って舌を這わせてからすっぽりと口に含んだ。
亀頭を口に含まれて、先端の穴から溢れてくる蜜をねだるように舌先を尖らせて掻きだす動きに反応して、和成がびくびくと震えながら切羽詰った声をあげて馨の頭に手を置いて爪を立てる。
じゅぽじゅぽと馨が和成のペニスを吸い立てるいやらしい音が部屋中に響いている。
「うあぁっ、あう、あぁっはああぁ……やあぁっ!」
「んっ……ぷは……美味しい」
溢れる蜜を吸い上げてこくりと飲み込んでから馨は含んでいた先端から口を離して、握りこんだままの茎を根元から先端へと搾るように扱いて擦りながら、舌先を脈打って張り詰めている袋へと這わせる。
陰茎の根元から袋、会陰部へと這わせていき徐々に下へと降りてくる舌先が、双丘の狭間で息づいている蕾へと辿りついた。
昨夜、指をはじめて受け入れて解されたそこは、ペニスをしごいている馨の手の動きにあわせてヒクヒクと開け閉めを繰り返していた。
きゅっと固く閉じている入り口を解そうと空いている方の指の腹で擦って皺を引き伸ばすように人差し指と親指でめくって、ちらりと覗く赤い粘膜を舌先で舐めて濡らす。
「ひやあぁっ! そ、んん、なとこ……舐めたら……あっああぁうっ!」
ぴちゃぴちゃと濡れた音を立てながら後孔を舐められて和成は悲鳴に近い声をあげて目尻に涙を溢れさせた。
「やあぁぁっ! ダメ……や、あぁっ!」
自分でもよく見たことすらないような一番汚い部分に舌を這わせられすぼまりの皺をなぞるように舐めあげられて和成は泣きながらそれをやめさせようと必死に感じすぎて脱力している身体を無理に動かしてもがき始めた。
「んっ……ぷはっ……和成君。 指入れる前に舐めて濡らさないと」
すぼまりの皺を伸ばしてなぞるように舌を這わせていた馨がふいに顔を上げて抵抗し出した和成の表情を伺うように見た。
耳まで赤くして、大粒の涙を零して息を弾ませて震えながら、力の抜けた体に鞭打って上半身を無理に起こして馨の髪を引っ張って掴み、行為を止めさせようとしていた。
「やぁ、ううっ……ひっ……そこはぁ……ほんと、に……汚い、からっ……!」
和成がそう言うのを聞いて馨は首を左右に振ってそれを否定した。
「さっきも言ったけど和成君の身体で汚いところなんて一つもないから」
「……ひっ……うぅっ……そんな、の……そんなわけ、ない……そこは……だって……」
その場所は本当は排泄器官であって指を差し入れたり舐めたりするような場所ではないのだ。
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