左手の人差し指と親指で押し開いた入り口の襞を丹念に舌で押すように舐めながら、唾液を吐きつけて表面を濡らしていく。 　その間も右手にちょうどいい力加減で握りこんだ和成の陰茎を強弱をつけながら、ゆるゆると扱いて、手の平をリズミカルに上下に滑らせて動かしていた。 　信じられないような場所を執拗に舌で嘗め回されて濡らされながら、前を扱かれて羞恥と快楽から和成に余裕がなくなっていき、甘さを含むただ意味のない喘ぎだけが零れた。 「はああぁっ！　あぁっ、ふあっ、んんっ」 　後ろを舐められながら前を扱かれて、感じすぎて身をよじりながら目尻に浮かべた大粒の涙を弾けさせて、弱々しく首を振ることでしか抵抗ができない。 「やあっ、あっ、あああっ、ひゃ、はあぁっ、ひあぁ…あぁ…ぅ」 　びくびくと身悶えながら喘ぐ和成の声に煽られて、馨のスラックスの前もパンパンに張り詰めて前を押し上げていた。 　つっぱった前の苦しさから馨は一端、和成の前を扱いていた手を止めて、ズボンのチャックを下げて下着の裂け目から昂ぶりきって限界にまで膨張して固くなった自身を掴んで取り出した。 　掴み出された瞬間に勢いよく飛び出してきた張り詰めた馨のペニスの先端からは先走りの雫が滴っていて、彼も和成に愛撫を施しながら感じている姿を見て煽られて、興奮していたことが目に見て分かる。 　和成は乱れた息を吐きながら、半分まどろんでいるような蕩けた表情で、取り出されたばかりの馨の昂ぶりを見て、口の中に溜まった唾液をコクリと飲み下した。 　感じすぎて我を忘れて半開きの口から唾液を伝わせて喘いでいた自分が恥ずかしくて手の平で慌てて口元を拭う。 　自分が感じている姿に興奮して馨のそれが固くなって自己を主張しているのを見て、和成は恥ずかしいような、すこしだけ嬉しいような複雑な気持ちになる。 　白い胸を上下させながら熱い息を吐く和成を見て馨は昂ぶった自分のそれを握りこんで扱きながら、先ほど十分すぎるほど執拗に舐めて濡らした桃色の入り口の感触を指の腹で撫でて確かめてから、そっと指を差し入れて彼の顔色を伺うように見た。 「ぐ、んんっ、あ、あっ……うぅん」 　指を挿入されて違和感からくぐもった声をあげる和成だったが丹念に濡らされて柔らかく解かされたそこは痛みはなく、馨の骨ばった長い指を根元までずるずると飲み込んでいった。 　しばらく飲み込ませた指が体内で馴染むまで動かさずに和成の呼吸が整うまで待っていた馨がゆるゆると自身を扱きながら申し訳なさそうに和成に聞いた。 「はあ……和成君……そろそろ、指、動かしてもいいかい？」 　自分にも全く余裕がないのだが、和成を怯えさせないようにできるだけ優しい声色でそう言った。 「はぁ……はぁっ……んん」 　口元を手で押さえながらとろりとした目で馨を見上げて和成はコクリと静かに頷いた。 　羞恥と快感に耐えて眉根を寄せて悩ましげな表情で、健気に馨がすることを受け入れようと頷いた和成の姿を見て、胸の奥がぎゅっと締め付けられるような気がした。 　いつも最後には馨のしたいことを受け入れてくれる優しくて健気な彼が愛しくて溜まらなくなる。 　馨は和成を抱きしめたい気持ちを抑えて、中に挿入したままの指をそっと引き出して、また差し入れてを繰り返してゆるゆると動かし始めた。 「あっああぁ……うあ、うっ、ああ、んんくっ！」 　ずるずると差し入れられた指が出入りするたびに、くぐもった喘ぎを半開きの口から漏らす和成を見ながら、自身の昂ぶりを扱いて和成の中へと出し入れさせている指を、ぐるりと中で回すように動かして揺すり、肉壁を慣らしていく。 　感じすぎて息も絶え絶えになってしまわないように気遣って、前立腺はあえて刺激しないように避けながら、和成の体内を徐々に柔らかく解していく。 　絡み付いて締め付ける温かい粘膜と壁の感触が差し入れた指の皮膚越しに伝わってきて、堪らなくなり、口の中に溜まった唾液をゴクリと喉を鳴らして嚥下した。 「はっああぁっあぁう……くうぅん」 　和成はびくびくと身を震わせて、子犬のような喘ぎをもらして、半開きの口から唾液が溢れて首筋を伝うのもそのままに蕩けた表情で馨を見ていた。 　涙の膜で潤んで視界がよく見えなくて、ぼやけてしか彼の姿が確認できなくてふいに不安に駆られそうになる。 　 　和成は掠れた甘さを含む声で喘いで、手の平でごしごしと涙を拭う。 　そのすぐ後で無意識に自分の胸の上に手を置いて、ずっと固くなって腫れたままの乳首を指先で撫でるように刺激した。 　人差し指でくりくりと撫でて勃起したままの粒を弾いた。 「あっあああん」 　付き合い始めてからずっとキスをする時に馨に弄られ続けたそこは、和成が一番感じやすい場所で馴染んだ快楽に少し安心したような息を吐いて甘い声で鳴いた。 　和成は馨と会えない時に自慰をする時は馨にキスされている時のことを思い出しながら、いつも無意識に乳首を指先で摘んだり弾いたりして弄って、自身の昂ぶりを扱いて達していた。 　　 　　 　和成が自分で乳首を人差し指でこね回して、弾いたり押しつぶしたりしたりして、快感に喘ぐ姿を眼前で見て、馨の下肢でいきり立っている肉棒がさらに滾り、先端から透明な蜜を溢れさせた。 　膨張しきった自身を扱きながら、和成の体内に納めた指を２本に増やしてぐるぐると中の肉壁を慣らして、出し入れを繰り返す。 　慣れた手つきで乳首を弾いて喘ぐ、和成のすっかり蕩けて緩みきった表情を見ているとたまらなくなってくる。 「ふあっああぁ…あふ…はあぁぁっ」 　馨が体内を掻き回す指の動きにあわせて、口端から伝う唾液を拭う事も忘れて甘さを含んだ声を出して、感じている和成の乱れた姿を、見ながら自分で扱いているだけで、それに誘発されて達してしまいそうになる。 　こみ上げてくる射精感を堪えて自身を扱いている手の動きを緩めて、彼の中に差し入れている指をさらに増やして３本の指で柔らかく蕩けてきた肉筒を擦り、出し入れを繰り返して、体内に納めたままぐりぐりと動かした。 「は、あっ…あっ…んんっ…ふああぁ…」 「は……和成君……すごいやらしい」 「んん…や…ああっ…」　 「和成君が自分で乳首弄るたびに中がひくひくして僕の指締め付けて絡み付いてる……」 「ううっ…や、だ……そんっ…なこと…言わな、いっ…で……」 　羞恥で顔を真っ赤にして目尻に涙を浮かべながらも、乳首を弄る手の動きは止まらない。 「はあ……はあ……くっ、ううっ……和成君」 「あっああっ……かおるぅっ……んんあぁぁ」 「はっ……もう我慢の限界……挿入れたい……和成君のナカに……」 　肉筒の中に差し入れていた指をずるりと引き抜いて、柔らかく綻びた入り口へと扱いていた肉棒の先端を押し付けてめり込ませようと宛がう。 「ひっ、あっああぁぁ……や、かぉ…うぅっ…こわ、い……」 「和成君……はぁ……大丈夫……大丈夫だから……」 「あっ……かおる……」 「和成君、愛してる」 　馨にそう言われてほんの少しだけ、未知の経験をすることへの恐怖感がやわらいだような気がして震えが収まる。 　乳首を弾いていた指を休めて、白い胸板を覆うように抑えて熱い息を吐いて逃がして、呼吸を整える。 　自分の入り口へと押し当てられた熱い塊も、馨の体の一部であることには変わりない。 　和成は瞳を潤ませて馨を見上げて静かに頷いた。 「か、おる……す、すき……俺も……」 　口下手で自分の思いをうまく口にできない不器用な彼の精一杯の告白に馨は胸に熱いものがこみ上げてくるのを感じた。 　気付けば自分の頬を涙が伝っていた。 　 「ああ……すごい、今、幸せすぎて死んでしまいそう。 　君を好きになって本当によかった……。 　大好きだ……愛してる……愛してる」 　好きと愛してるという言葉を繰り返して幸せそうに笑う馨を見て、ずっと誰かに強く必要とされたい、寂しいと声にならない声で叫んでいた自分の居場所を見つけられたような気がした。 　俺はここにいてもいいんだ……和成はそう思って馨の頬へと手を伸ばし伝う涙を指先で掬い拭って笑みを浮かべた。 　自分もやっと幸せになれたような気がした。 「かおる……好き……」 「和成君……いい？」 　馨にそう聞かれて和成は頷いて彼に向かって両手を伸ばした。 　自分に伸ばされた和成の両手に自分の両手を絡めて、馨は腰を前へと突き出した。　 　手を繋ぎあったまま和成の体内へとじわじわと自身を押し入れていく。 「うっあああぁ……はああぁっ……ぅぅん」 　和成は体の力をできるだけ抜いて、懸命に息を吐いて、馨を受け入れようと異物感に耐える。 「はぁ……はぁ……」 「和成君、大丈夫？」 　半分くらいまで自身を埋め込んで馨が心配げに眉根を寄せて大きく息を吐いて苦しそうな声を出す和成を伺うように見ている。 「……あっ……だい……じょぅ、ぶ……だから、最後まで……」 　和成が苦しげに喘ぎながらそう言うのを見て馨はぐっと腰を突き出して一気に奥まで自身を埋め込み根元まで飲み込ませた。 「あああぁぁっ！」 「和成君……根元までちゃんと飲み込ませられたよ」 「ああっ……はぁ……はぁ……かおるぅ……ううっ、ひっ……」 「よく……頑張ったね……」 　馨は異物感と初めての痛みに耐え切った和成を労わるように優しい声色でそう言って絡めたままの指に力を込めた。 　手を繋ぎあったまましばらく動かずに、やっとの思いで和成と一つになれた余韻に浸る。 　和成の内側の熱い肉壁がひくひくと馨の肉棒に絡みついて蠢いて、ぎゅっと締め付ける感触だけでも心地よくて達してしまいそうだった。 　何より多幸感に酔いしれるあまりこれは夢ではないだろうかとまで考えてしまう。 　　　 　馨はしばらく動かずに和成の息が整うのを待って、ただ手を繋ぎ合って、愛しい人と初めてひとつになれた余韻に浸っていた。 　怖いほどに幸せというのはこういう時の事を言うのだろう。 　未知の行為に対する不安感や恐怖感に耐えて懸命に自分を受け入れてくれた彼がただ愛しい。 　ずっと思っていた相手と気持ちを伝え合い両思いになれて、体も繋いで心と体の両方が満たされる喜びから緩んだ顔が元に戻りそうにない。 　本当に嬉しそうに幸せそうに笑みを浮かべた馨を見て、自分が求められて必要にされている、愛されているという実感が沸いて、和成もまた満たされたような気持ちになって口元をほんの少しだけ綻ばせて、彼と繋がったまま、ただ見つめ合った。 　自分の体内に納まっている馨の一部が脈打っているのが生々しく肉壁ごしに直に伝わってくる。 　初めて挿入された時の衝撃と違和感で、半分萎えかけていた和成のそれもいつの間にか、それに誘発されるように、元の固さにまで戻り、ぴくんぴくんと脈打ちながら透明な蜜をトロリと先端から溢れさせていた。 　和成の肉茎がまた恥ずかしげに頭をもたげて蜜を零して固くそそり立つのを見て、そろそろ頃合だろうかと馨は彼の耳元に息を吹き込むようにそっと囁いた。 「和成君……そろそろ動いても……いい？」 　そう聞かれて和成はごくりと喉を鳴らして口の中に溜まった唾液を嚥下してから恥ずかしそうに頬を赤く染めて頷く。 　馨と繋ぎあって絡めた指に力を込めて離さないようにぎゅっと握り返して熱い息を吐く。 「はぁっ……うん……ぅ、ごいて、ぃい…… 　も……へいきっ……だか、ら……」 　和成は途切れ途切れに、そう答えて、呼吸を整え、馨が動き出すのをじっと待っていた。 　懸命に馨がする行為に答えようとしてくれる健気な和成の姿に胸が熱くなり、彼の体内に差し入れた欲望もまたさらに滾り、熱くなり、大きさを増した。 　馨は和成が頷き、返事をして乱れていた呼吸が整った頃を見計い、ゆっくりと彼の体内に納めたままの肉棒をぎりぎりまで引き出した。 　抜けかけるまで引き出して、絡みつき締め付けてくる肉壁を掻き分けながらじわじわと中へと埋め込んで抽挿を繰り返した。 「んんっ……く……はっ……うぅ、く……んんっ」 　ゆっくりと引き出してじわじわと突き入れるたびに和成の唇からくぐもった様な喘ぎが熱い息と共に吐き出される。 　ゆるゆると腰を動かされて体内を押し広げられて擦られていると体が内側から熱くなって、息が弾む。