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見る者見られる者そして繋がり【6】

    入ったばかりの時は酷かった異物感もだんだんと薄れていき、肉壁が熟れてだんだんと柔らかくなり、緩やかに出入りする馨の形がよりはっきりと分かるようになってきて、脈打ちながら自分を貫いている、それの固さと熱さに、和成の先端から蜜が溢れた。  馨が出入りするたびに和成の肉茎がぴくんぴくんと反応して大量の蜜を吐き出して自身の腹部を濡らした。 「はあぁぁ……ああぁっ……ふ、くぅ……んんっ……」 「和成君、大丈夫?」  心配げな表情をしてそう言う馨を見て和成は、呼吸を乱しながらも頷いてそれに答えた。 「くぅ……あっ、んんっ……ぃじょ、ぶっ」 「は……和成君の中すごい気持ちいいよ……」  馨が切なげに眉根を寄せてそう言うのを見て、恥ずかしさから和成の中がぎゅっと締まった。 「うぅっ……な、こと……んんっ……いっ……わ、なく……て、ぃ……い」  わざわざ口に出して言われると恥ずかし過ぎておかしくなりそうだった。 「ごめん……でも、本当は、和成君とずっとこうしたくて我慢してたから、嬉しくて」 「ふ…う……はあっ……か、おる……」  自分の欲を抑えて、繊細で優しい彼を傷つけないように、いつか和成が自分で決意して、受け入れてくれるまでをじっと待ち続けた甲斐があった。  和成が感じすぎて疲れてしまわないように前立腺を刺激しないように気をつけて、体内が慣れるまで様子見をしながら少しずつ抽挿を繰り返していた馨だったが、自分の名前を呼んで、突く度に先端から蜜を零して下肢をぐっしょりと濡らしている彼を見てそろそろ頃合かと見計らい、深く差し入れたままの状態で上下にぐりぐりと腰を動かした。  深く挿入したままで腰を使って中を揺すられて、和成が腰をびくりと跳ね上げて目を見開いて切羽詰った声をあげた。 「あぁっ! うぁ、うぅっ……ひぃ、ああぁっ!」 「はっ……和成君……少しだけ、ペース上げてもいい?」  感じている和成のいやらしくて可愛い姿と声に煽られて、柔らかくなった粘膜に締め付けられて、腰を激しく動かしてめちゃくちゃに中をかき回したい欲求に耐える。  実際にそんなことをすれば感じやすい体質である和成はすぐに絶頂に達して射精をしてしまいその後は鋭敏になり脱力した身体に鞭打って馨が射精するまでを我慢しなければならなくなる。  優しい彼のことだからきっと最後まで我慢して受け入れてくれるだろうが、どうせなら二人で一緒に絶頂を迎えたい。  念願叶い初めて身体を繋ぐ事ができたのだ。  一方的に自分だけの快楽を追うのは、相手の身体を使って自慰をしているのとなんら変わらない。  愛しい相手とする行為であればあるほど、本当の意味で愛情を確かめて、より深く繋がる為には体だけでなく心もでなければ意味がないと思う。     初めてで内側の刺激だけで射精にまで導かれて、絶頂に達することが出来る者は、稀であるという話は、かつて付き合っていた年上の男から聞いたことがある。  でも和成は人より感度が鋭くて敏感体質だ。  初めて指を差し入れて前立腺を刺激した時に、傍から見れば大げさにも思える反応を返してきた彼だ。  きっと初めてでも中だけの刺激でも、射精して達することが出来るのではないかと思う。 「あっ、あ、あ、ああぅ、ああっ!」  中に入ったままの肉棒を揺するたびに和成の口から短い喘ぎ声が漏れる。 「あっ……ふう…ああっ、くうぅん」 「んっ……和成君の中、大分柔らかくなって動かしやすくなって、きた……」 「うっ……うあ、うぅっ…ごいて、いぃ……」 「和成君?」 「いぃ…か、おる、の…す、きっ…にぃ……」  和成がびくびくと震えながら途切れ途切れに言うその言葉を聞いて馨は頷いた。  こんな時でさえ、健気で優しい彼にまた涙腺が緩みそうになった。  不器用で口下手な彼が、自分にだけ見せてくれるこんな姿や言葉に精一杯の想いがいっぱい詰まっている。  彼は彼なりに自分を受け入れようと懸命に健気に答えてくれる。  元々の和成は臆病で繊細で人付き合いが得意ではなく、誰にでも愛想がいいという訳ではない。  和成のこんな姿や声を聞いたことがあるのは世界中探してもきっと自分しかいない。  自分が和成に愛されているというのが、彼の態度や切れ切れの言葉の端々から伝わってくる。 「ははっ…あーもう…君には適わないなぁ…本当に……」  馨はうっすらと目尻に涙を浮かべて泣き笑いのような表情を浮かべて和成を見下ろしていた。 「君を好きになってよかった……」  続けてそう言う馨に繋ぎあった手をそのままに覆いかぶさられて口付けられた。  薄く開けたままで息を吐いていた唇に馨の唇が押し付けられて舌が和成の咥内へと侵入してきた。  馨の舌の動きに応えようとぎこちなく動く彼の舌を捕まえてきつく吸い上げる。  水音を響かせながらお互いの舌に舌を絡めて溢れてくる唾液を交換し合うように啜りあって満足するまで深く口付けてから離れた。  絡めあっていた舌先が離れるときに銀糸が橋を作り零れ落ちる。  和成は長い口付けが終わり、半開きの蕩けた目をしたまま馨を見返していた。  荒く息を吐きながら自分の口端と首筋を伝う二人分の唾液が混ざり合ったものを手の平で拭う。  馨は長いキスで瞳を潤ませて蕩けた和成の表情を見ながら体内に納めた自身を一旦、引き出して彼の膝裏に手を宛ててそっと片足を押し開かせる。  白い双丘の狭間で息づいている蕾は閉じきらずに内側の粘膜を覗かせて、馨の先走りと腸液とが混ざり合った滑った液体を溢れさせてヒクヒクと開いたり閉じたりを繰り返している。  恥ずかしい格好をさせられて自分でも良く見たこともないような場所を改めてじっくりと見られて和成の先端から熱い雫が溢れて茎を伝い、双丘の狭間を伝い、蕾にまで垂れ流れてぐっしょりと下肢を濡らして抱えあげられた足を震わせた。 「和成君……前、自分で根元を握って抑えててくれる?」  ふいにそう言われて和成は戸惑ったように金色の瞳を泳がせてから、自分の下肢と馨の顔色を伺うように交互に見やる。 「抑えないままでも和成君、出さずにずっと我慢できる?」  馨にそう聞かれて和成は言っている意味を理解して顔を真っ赤に染めてふるふると首を左右に振る。 「一緒に気持ちよくなろう?」 「ん……っかった……」  馨の言葉に頷いて、そろそろと自分の下肢へと手を下ろしていき、そそり立って蜜を溢れさせて震えている陰茎の根元をそっと握りこんで、抑えた。  二人で一緒に気持ちよくなりたいという馨の望みを叶えてやる為に恥ずかしさを堪えて、脚を開いたままで、親指と人差し指で輪を作り肉茎の根元をぎゅっと絞り込むように掴んだ。  羞恥に耐えて、馨の言う通りにして震えている和成の蕾へと肉棒の先端をぐっと押し付けて、息を吐いた。 「和成君、一気に突き入れるけど、いい?」 「うん…んっ…はぁ……」  和成が静かに頷いて、全身の力を抜いて深呼吸するのを見届けてから、タイミングを見計らい、腰を突き出して自身を根元までぐっと深く押し込んだ。 「いっ、あああぁ――っ!」  熱い塊がと入り口を押し広げて肉壁を掻き分けて、勢い良く入ってきた衝撃でびくびくと腰を跳ね上げて悲鳴に近い声を出して、目を見開いてガクガクと震え、目尻に浮かべた涙を散らせた。  想像していたよりもかなりキツイ……自身を掴んだ手に力を込めて突き入れられた瞬間に達してしまいそうになるのを必死で堪える。  勢い良く貫かれて、前立腺を押し上げられて痛いくらいの快感が背筋をビリビリと微弱な電流のように駆け抜ける。  初めてなのに、突き入れられただけでイッてしまいそうになる自分の体が信じられなくて涙が溢れた。  こんな恥ずかしい身体をしている自分を馨に知られたら嫌われてしまうかもしれないと震えながら下唇をかみ締めて、自身の根元を締め付ける指にぎゅっと力を込めて、なんとかして射精感を押し留めようとした。 「ぐ、んんっ……ううっ!」 「和成君、ごめん、やっぱり無茶だった……?」  ぎゅっと瞼を閉じて、下唇をかみ締めて射精感に必死に堪えている和成を見て馨は少し焦ったような顔をしてこちらの様子を伺っていた。  感度が人一倍鋭いらしい彼に無理をさせて、辛い思いをさせるのはやっぱり気が引ける。  初めてで一緒に達することはやっぱり無茶だったか……一緒に達することができるようになるまで、これからゆっくりと慣れていけば良い  馨はそう考えて突き入れたモノを引き抜こうとした。 「う、うぅっ…は…はぁ…ぁ、あ…だ……」  和成は苦しそうに息を吐いて何かを言おうとして抜け出ようとして身を起こした馨の腰に脚を絡めて引き止めた。  両足を交差してがっしり馨の腰をホールドして抜け出せないようにした。 「ちょ、か……和成君?!」 「はぁ、はぁ……ぁ…だ…だぃ…じょぅ…ぶ…だか…ら」 「ごめん、無理させるつもりじゃ最初はなかったんだけど……その……調子に乗りすぎたというか……本当、ごめん」  弱ったような情けない表情で馨が言う台詞を聞きながら、白い胸を上下させて呼吸を繰り返して、内側にわだかまる熱をなんとかしてやり過ごして落ち着いてからこくりと頷いた。 「……はあ……馨」 「うん?」  浅い呼吸を繰り返しながら掠れた声で自分の名前を呼ぶ和成に返事をして馨は心配げに見下ろす。 「ここまでやっといて、途中でやめたりされると、余計辛い…から…最後まで……っ」  和成が空いている方の手で口元を押さえて自分が言う台詞の恥ずかしさから、耳まで顔を真っ赤にしてそう言うのを聞いて馨の表情がぱっと明るくなって、嬉しさがこみ上げてくるのを抑えているのか肩がわなわなと少しだけ震えていた。 「ああもう本当、大好きだ! 世界中の誰より一番君が好きさ!」  馨はそう大げさに両腕を広げながら言って繋がったままの状態で和成を力いっぱい抱きしめた。 「何回言っても足りないくらい愛してる!」 「……馬鹿」 「あはは、そうだね。でも、馬鹿は馬鹿でも世界一幸せな馬鹿だからね」  和成は瞼を閉じて馨の背中に空いている方の腕を回してしがみ付いた。  二人でしばらく抱き合って、至近距離で互いの瞳の中に映る自分の姿を見る。  どちらからともなく求め合うようにゆるゆると動きはじめる。  和成が無意識に腰を使い揺すり始めた動きに合わせて中に差し入れた肉棒を馨が出入りさせる。 「うっ……んんっ…ふあっ…くうん…っ」 「はぁ…はぁ…和成君」  自身の根元をぎゅっと握り締めて快感に耐える和成の表情を伺いながら腰を揺する。  前立腺が押し上げられて内側から来る強すぎる刺激に何度か頭が真っ白になりかけそうになるのをやり過ごして和成はなんとか飛びそうになる意識を保っていた。  そのまま腰を掴まれて正常位で脚を開かされて、深く繋がったまま揺さぶられる。 「ああっ…あああうっ! ふああああぁ…んん、んく…うぅっ! は…ああぁぁっ!」 「はっ…うん…和成君……くっ…すごい……」  絡み付いて締め付けてくる肉壁に逆らい掻き分けて突き入れるたびに強烈な快感が腰にズシリと重く響いてくる。  油断してるとすぐにでも射精してしまいそうになるくらいに気持ちが良い。  直接的に接合してセックスをするのは初めてだから、他の相手がどんな感じかはわからないが、和成の肉筒は名器と呼べるかもしれない。  和成のそこは突き入れるたびに収縮を繰り返して蠢き、まるで精液を搾り取ろうとするかのような動きをするのだ。 「やばい……めちゃくちゃ気持ちいい……うぅっ!」 「ふああっああんっ…かぉ…る…かぉ、うぅっ…ひあぁっ!」 「和成君……ぐっ、くぅ…んん…僕もあんまりもう…持ちそうに…ない…く…はぁ…っ」  欲望のままに腰を使って和成を揺さぶり、中を掻き回す馨もすぐに限界が近くなり、射精感がこみ上げてきた。  ゆるゆると無意識に腰を使って馨に射精を促して、和成はすでに我を忘れて快楽に蕩けきった表情で喘ぎ、前を抑えていた手の締め付けが緩んで白く濁った淫液を先端から溢れさせて漏らしていた。  ビクビクと震えながら濁った先走りを噴出して、震えている和成の肉茎を見て、限界が近いことを察知した馨がそのまま膝裏に手を当てて彼の両足を限界にまで押し倒して数回、深く貫いた。 「あ゛――っ! あぁぁあ゛あ――っ!」 「ぐっ…くううぅっ……和成君…ううっ…ああっ!」  力任せに突き上げられて、和成が悲鳴に近い喘ぎ声をあげて射精をして、それにあわせて搾り取るような肉筒の中の動きに促されて、馨も和成の奥深くで溜まりきった白濁を吐き出した。 「あ―……あ゛―……」  脚を大きく開かされて押し上げられたまま、自分の胸や顔に向けてビクンビクンと痙攣しながら射精をして、和成は意味を成さない声を出して完全に気をやってしまった。  頭の中が真っ白になって何も考えられなくなってただ、快感に身を任せて茫然自失としていた。  今の自分がどこでなにをしているか、自分を見ている相手が誰だかさえもよくわからなくなってしまう。

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