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見る者見られる者そして繋がり【7】
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馨と和成の情事の現場に運悪く居合わせてしまった翼は、動こうにも動けずに固まってからずっと微動だにできずに、同じ体制でずっと静止していた。
二人の行為が終わって落ち着いてから何事もなかったかのように装い、台所へいき食器を片付けて、脱衣所へ行き、兄のシャツと下着を洗濯機に放り込み、家事をある程度済ませてから、馨に話を聞くつもりだった。
のだが、まさかここで最後までやるとは思っていなかったせいか翼は顔を真っ赤にして動揺を隠せずにいた。
普段大人しくて、あまり余計なことは話さない無口でクールな印象が強い和成があんなふうになるなど想像もできなかったせいか、甘さを含んだ声を聞いているうちにへんな気分になってしまった。
いい加減ずっと不自然な体制で動かずに固まっていたせいで脚が痺れて震える。
両手に抱えた陶器で出来た食器がガチャンと音を立てた。
翼はしまったという顔をして慌てて食器をしっかりと持ち直し、体勢を立て直してこれ以上余計な物音を立てないように息を潜める。
どうにかこうにか念願かなってほぼ同時に達することができて、和成の奥深くで射精しきったばかりで、満足げな顔で余韻に浸っていた馨だったが、翼がふいに立てた物音にビクッと肩を跳ね上げて、大げさに反応を返した。
物音がした場所を見つけようときょろきょろと首を左右に動かしてあたりを見回した。
「…………」
ソファーで和成に挿れたままの状態で顔を前方に向けた馨と、居間へと続く廊下に佇む翼の視線がかち合い目があってしまった。
あまりに気まずい空気に翼はその場から走って逃げ出したいような気持ちになったが、ぐっと抑えて食器を片手にしっかりと抱えて持ち直すと、体制を整えて、自分の顔前に手を立てて翳して頭を下げて無言で謝罪した。
ばつの悪そうな顔をして身振りで謝る翼を見て馨は頷くと翼に自分達がいる場所にまでおいでおいでと手招きをした。
和成といまだ繋がったままの馨に手招きされてどうするべきか迷った翼だったが、物音をなるべく立てないように彼らがいる場所へと恐る恐る、向かう。
「翼君……ごめん、手に持ってるそれ机に置いて」
馨に食器類を指差されて、テレビの前にある机の上に置くように言われて、そのとうりにして翼はコップとスープ皿が重ねられた大皿を木製のテーブルへと音を立てないように気をつけて静かに置いた。
「あー……あと悪いけどすぐそこにあるティッシュとってくれる?」
続けてそう頼まれて翼は無言で頷くと顔を真っ赤にして机の上に置かれたティッシュ箱を手にとって馨に手渡した。
「ごめん……見るつもりじゃなかったんだ……」
翼が小声でそう謝るのを聞いて馨は首を左右に振った。
「いや、こっちこそ、なんか悪い事しちゃったね」
時と場所を考えずに暴走した結果が、今の状態であるという自覚が一応あるらしい馨は、翼に小声で謝り返しつつ、和成の顔や胸にかかった彼自身の精液をティッシュで拭き取って後始末をしていた。
丹念に綺麗に拭き取ってやってから、大量のティッシュをまた箱から引き出して、いまだ繋がったままの部分を少しだけ浮かせて、尻の下へと敷き詰めて、そっと差し入れたままだった萎えた自身をずるりと引き抜いた。
赤く腫れて閉じきらないままでぽっかりと口を開けて、ひくついている蕾から、和成の体内へと注ぎ込まれたばかりの精液が、どっと溢れて噴出して、ソファーへと敷き詰められた大量のティッシュに吸い込まれていった。
「んっ……」
馨が抜け出る時の感触で甘さを含んだ声を漏らした和成に翼がビクッと肩を跳ね上げて気付かれる前にその場を去ろうかとおっかなびっくりして見ていた。
「まだもう、しばらくは浮上してこれないと思うから心配しなくても大丈夫」
馨が苦笑しながらそう言うのを聞いて翼はなんとなくほっとして頷いた。
和成は今までも、馨とキスをする時に乳首を執拗に弄られると射精にまで導かれて、達することが何回かあったが、その時もイッた後で呆けて放心状態から元に戻るまでに大分時間が掛かった。
自分がこのままこの場所に留まるのはよくないのではないかと翼は考えてなるべく和成を見ないように目を逸らして視線を泳がせる。
傍から見ていて分かるくらいに明らかに動揺していた。
そんな翼の様子を見つつ、馨は特に何かを言うこともせずに事後処理を作業のように淡々とこなしていた。
萎えた自身に付着した和成の腸液と、自分が吐き出した精液とが混ざり合って泡立った体液を拭き取って、下着の中へと納めて、下衣を掴んで腰まで持ち上げて、開きっぱなしだったチャック閉めた。
自分の身なりを整えてから翼の方を向いて、馨は改めて謝った。
「迷惑かけてごめん……うん。 やりすぎたというか……場所を考えずに暴走してしまったというか……うん、まあ、なんていうか……本当にごめんなさい」
馨が矢継ぎ早にそういいつつ、本当に申し訳なさそうに頭を下げて謝罪するのを見て翼は赤くなった顔を隠すように口元に手を宛てて首を左右に振る。
「いや……話を聞かせてくれって頼んだのは俺のほうだし……謝らなくていい」
翼が赤くなった頬に手を宛てつつ消え入りそうな声でそう言ってくれたのを聞いて馨は微笑を浮かべて頷いた。
「あはは……そっか。うん、ありがとう」
馨はそう言って礼を述べつつ和成の下肢をティッシュで拭き取って、事後処理を淡々と続けている。
赤子のオムツを変える時のような体制にされて口を開けたまま閉じきらない蕾からあふれ出てくる精液を繰り返し拭き取っているところなどこっちが恥ずかしくてとても見ていられない。
というか、和成が不憫で仕方ない。
たった今、この状態で和成が我に返ったらとどうしようかと気が気ではない翼は居心地悪そうに二人の傍に正座で座って見ているも、そわそわと落ち着かなかった。
「無理に起こしたりしなければしばらくは放心状態のままだから、かわいそうだし、そっとしておいてあげよう」
精液をある程度垂れてこなくなるまで拭き取って後始末をを終えた馨が翼がいるほうを向いて
「自分でやっておいて、かわいそうとかいうのもなんだけどね」
と付け加えて脱がせた衣服を拾って和成に着せてやり、整えつつ言った。
翼はもっともなことを真顔で他人事のように言う馨の台詞に頷いた。
馨は服を着せなおして整えてやったばかりの和成の体制を楽な姿勢にそっと動かして、ソファーへと横たわらせて寝かせてやって彼の柔らかい癖っ毛の銀髪が微かに滲み出た汗で頭皮に張り付いているのを乾かすようにクシャリと撫でてやってほっと一息ついた。
ソファーへと寝かされている和成が風邪を引かないように気を使って、ソファーの横に置いてあるダンボールを開けて翼はタオルケットを取り出して馨に手渡した。
「よかったらこれ使ってくれ」
「ありがとう」
馨は翼の気遣いに微笑を浮かべて礼を言って受取ったタオルケットを和成の身体にそっとかけてやった。
肩が隠れるまで引き上げて幼子にするようにぽんぽんと叩いて整える。
「ふう……ごめん、待たせたね」
馨がそう言いながら居間の木製のテーブルに置いておいた手提げ鞄からノートパソコンを取り出して見せた。
「例の件について詳しく話を聞かせる約束だったよね」
そう言いながら折りたたまれたノートパソコンを開き、電源ボタンを押してデスクトップの画面を立ち上げる。
カチカチと慣れた手つきでPCを操作して若草学園のホームページにアクセスしてトップ画面を表示させる。
馨がPCを操作してスクロールさせている画面を翼は目で追ってみる。
トップ画面の下方にサイトマップのようなリンクが貼り付けてあり、その中のひとつに雑談板という名前のものがありそれをクリックする。
クリックして雑談板を表示させるとひとつだけスレが立てられており、その画面に書き込まれた文章を翼は読んで、間の抜けた声を出しそうになって口を慌てて手で抑えて噤んだ。
「とりあえず、G組のクラスの連中の態度が妙だった点はここの板を流し読みすれば大体は把握できるんじゃないかな?」
馨にそう言われてPCを手渡されて受取った翼は頷いて、自分でキーボードを指先で操作して画面を下部まで少しずつスクロールさせてその板に書かれた文章を黙々と読んでいった。
***
この雑談板は
【クレイジ-牛山を愛し
見守る者の会】
提供でお送りいたします。
1 :礼二様の下僕1号:20**/04/01(木) 1900
このスレは
若草学園に降り立った麗しき破壊天使
【牛山礼二】こと【クレイジ-牛山】または【礼二たん】を
下僕になってみなで愛し見守ろう!というスレです。
注意&禁則事項
1、本名を名乗ることは禁止
名前は礼二様の下僕○号と表記すること
2、俺の嫁、俺のものなど火に油を注ぐような
発言などはしない
3、抜け駆け禁止
4、本気で礼二様を愛している者のみ
参加資格があることを忘れるな
5、でも抜け駆け禁止
以上だ
(^ω^) {おまいら礼二様を愛しているか?
2 : 礼二様の下僕2号 :20**/04/01 1944
>>1
なんだお前だれだwww
このスレ、マジでヤべーとかいいつつ参加してる俺もヤベェwww
いや、愛してるかしてないかって聞かれればぶっちゃけ愛してるけどさ……
3 :礼二様の下僕3号 :20**/04/01 1946
このスレ立てた奴、只者じゃねーなw
初日で窓ガラス割るとか最初びびったけど……なぜか今ではそれすら許せるほどに礼二様が愛しく感じる俺はすかさず参加ボタンをクリックしたわw
寧ろ、礼二様のちがうボタンを押したいんだけどなw
4 :礼二様の下僕4号:20**/04/01 1947
>>3 さっそくだが抜け駆けスンナ!!
礼二様の乳首は弟様のものだろJK
悔しいが見ていればわかる……
礼二様が好きなのはきっと弟様なんだぜ……。
だが俺は影ながら応援して見守ろうと思うんだ。
5 : 礼二様の下僕3号:20**/04/01 1949
>>4 おまえ…いいやつなんだな…
すまん、俺も考え直してそうすることにしたぜ!
だが乳首とはハッキリ言ってない件について
6 :礼二様の下僕5号 :20**/04/01 1950
>>3 >>4 おまいら……
参加すべきか迷っていたが俺も参加するぜ!
おまえらの男気しかとこの目に焼き付けたぜ
7 :礼二様の下僕2号 :20**/04/01(木) 1951
>>6 男泣きすんなwww気持ちわりぃwww
まあ気持ちはわからんでもないがな
なんにせよお前も今日から仲間だ!
8 :礼二様の下僕6号 :20**/04/01 1954
俺も参加させてもらおうか!
それはいいとしてこのスレ立てた奴、まだ出てこないな。
無責任すぐるw
9 : 礼二様の下僕2号 :20**/04/01 1955
>>8
たぶんうんこでもしてるんだろξ
そっとしておいてやれ
10 :礼二様の下僕7号:20**/04/01 1955
おれも参加するッス!
13 :礼二様の下僕6号:20**/04/01 1957
>>9 スレ立てた下僕1号は痔主かなにかw
辛いもの食いすぎとかで肛門がファイヤーなのかもなw
>>10 下僕7号のお前、鈴木だろw
ていうかその口調、お前以外に誰も思いつかんw
14 :礼二様の下僕7号:20**/04/01 1958
>>13 ちょ、何で名指しするんスか!
15 :礼二様の下僕6号:20**/04/01 1959
やっぱりお前かw
その口調お前以外いないから問題ない
16 :礼二様の下僕8号:20**/04/01 2001
僕も参加しますノシ
17 :礼二様の下僕9号:20**/04/01 2003
俺も参加するする!
18 :礼二様の下僕10号:20**/04/01 2004
参加希望ノシ
あと全体的に見てここに書き込みしてるやつ
全員G組の奴らのような気がしてならないんだがw
19 :礼二様の下僕2号:20**/04/01 20:06
>>18 禿同wG組のやつらだろうなwww
ネトゲしながら見てるが、続々と参加者が集まってるなwww
10号まであっという間だったな……。
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