首筋、鎖骨へと唇を滑らせていき、白い胸板の上で勃ち上がっている小さな粒を舌先でつんとつついて、舐め上げた。 「あっ」 　乳首を舌先で突付かれて嬉しそうな声を礼二が上げる。 　自分の欲を満たすためだけではなく、相手を楽にしてやりたいという気持ちだけで翼は礼二の桜色の粒を口に含んで舌先で転がして吸いたてた。 「ふあぁ、あっ、んんっ、あんっ！」 　両方の乳首に交互にしゃぶり付いて、ミルクを強請る赤子のように吸い立ててたまに歯を立てて甘噛みしてこりこりと押し潰したり引っ張ったりするたびに礼二の口から嬉しそうな喘ぎ声が零れた。 「あっ、あっ、ああん、ひゃは、あはぁっ、つばしゃぁ、あっ、んんっ」 　吸い立てていた乳首から口を離して、唾液に塗れていやらしく腫れて、膨らんでいるそれを左右の親指と人差し指で、両方絞り上げるように摘み、ぐりぐりとこね回した。 　搾乳する時の様に下から上へと擦り上げられて礼二の腰ががくがくと跳ねた。 「ふああぁん、ああっ！　はあぁ……んあっ……ひもちぃ……」 「礼二……こうやって乳首弄っててやるから、自分でやってごらん」 　翼にそう言われて、礼二は息を荒げながら、頷く。 「はぁ、は……う、んんっ……」 　腕を下ろして白い指先を後ろへと潜り込ませようとした礼二のその腕を取って行為を中断させると、翼は前へと持っていかせる。 「違うだろ？　礼二は男なんだから、ちんこ扱くだけでもいけるだろ？」 「あっ……」 　手をそのまま重ね合わせたまま肉茎を掴むように促して、ゆっくりと上下に動かして扱き始める。 「ほら、こうやって……」 「はっ、あっ……あんっ」 　礼二の手の平の上に重ねた自分の手の平を滑らせるように上下に動かして、補助してやりながら、陰茎を下から上へと絞るように扱かせる。 　後ろを弄らなくても前だけでいけるように礼二に自慰の仕方を翼は自分の手で、一から教えてやるつもりでそうしてやった。 　まともな手淫の仕方も良く知らないまま後ろでの快楽を目覚めさせられて、どうしたら自身の持て余した熱を、発散できるか分からずに、濡らしたペンを奥まで突きいれて、中を掻き回し、泣きながら自慰をしていた礼二の姿は、見ていて痛ましかった。 　礼二が跨いでいる方の自分の片足を少しだけ折り曲げて膝の皿部分で、会陰部と陰嚢をぐりぐりと押し上げてやりゆすってやる。 「んああっ、あっ、あっ、ふあ、あ、あっ」 　外側からでもじわじわと押すように会陰部を刺激してやれば、ゆっくりとだが、前立腺で達する事が出来るらしい。 　前立腺マッサージというものがあってどういうやり方かは詳しくは知らないが、内側から刺激するものと外側から刺激するものがあって、外側から刺激する場合は、射精を伴わずに達する事が出来るらしいと、中学時代に自習時間に、暇を持て余した、前の席に座っていたクラスメイトの男子に、聞きたくも無い無駄話の猥談を一方的に聞かされた事があって知っていた。 　翼はそれを試しに礼二にしてやることにした。 　射精を伴わない絶頂というものがどういうものかは知らないが尾を引き快感が長く持続するらしい。 　射精も促してやるために同時に前も扱かせて、熱を持て余した礼二を性的に満足させてやれないかと考えた。 　当時はこんな形で既に顔も覚えていないクラスメイトの猥談が役に立つ日が来るとは夢にも思っていなかった。 　 　怪我をしていないほうの右手で肉茎を扱くように促してやり、自分で前を弄らせているのだが、礼二はあまり扱くことをせずにくりゅくりゅと先っぽばかりを指先でなぞったり、気持ち程度に茎を揉んでこね回したりするだけでそれ以上をしようとはしない。 　そういえば昨日、風呂に入れてやる時に自慰らしき事をして、前を無心に弄っている礼二を見たが同じような感じだった。 　そのくせ、翼のモノを咥えながら口淫する時には、茎の根元を手の平で輪を作って掴み、搾り取るように下から上へと強弱を付けて扱き、たまに袋の中にあるしこりを転がすように白い指先で揉み解したりしていた。 　それをしながら、小さな口いっぱいに肉棒を咥えられるだけ飲み込んで、ほおばり、吸い立てながら頭を上下に振り乱して懸命に奉仕してくれた。 　ただ単に相手の精液飲みたさに少しでも多く搾り取ろうとして結果的にそれが手淫になって翼を悦ばせただけだった。 　礼二が自慰をしている手の動きを見て翼は彼は自分でする事はあまり得意ではなく不慣れなのではないかという気がした。 　本来であれば礼二は、自分が快楽を得ることよりも相手が気持ちよくなってくれるかということの方にばかりに重きを置くタイプであるからだ。 　熱を持て余し、自らをどうにかして解放するために必死になった事が、この学園に来る前はあまりなく、礼二自身も自分で自分をどうすればいいのか分からずに、戸惑っていた。 　全ては佐藤に抱かれた事によってまだ未開拓だった快楽を強引に目覚めさせられた事が引き金になっていた。 「礼二、ほら、こうやって手のひらで輪っか作って、茎全体を掴んで上下に滑らせてごらん」 　翼がそう言って礼二の肉茎を手の平で包み込んで親指と人差し指で輪を作り、上下に動かして扱き始める。 「ふあっあっ、あっ」 　桜色の先端から溢れてくる滑りを帯びた透明な淫液を茎に塗りつけるように水音を立てながら強弱を付けて扱いてやる。 　その間も礼二の足の間を押し上げている膝の皿部分を小刻みに揺すって、会陰部と陰嚢をぐりぐりと刺激して、按摩＜あんま＞してやる時のように動かしてやる。 　肉茎を扱かれながら、按摩されて、外側から前立腺を刺激され、じわじわと緩やかに性感が高まり、礼二は夢中になって自分でもいやらしく腰を滑らせて動かしていた。 「ふあぁ、あっ、んんっ、つばしゃぁ、あぁんっ」 　自分で自慰をする手を止め、翼に身を任せて、快感に咽び、喘ぐ礼二の姿に、静まった筈の自身が再び煽られて、滾りそうになるのをなんとか堪えた。 　礼二をいかせる事にだけ集中して、足を小刻みに揺する動きを早めて、絶頂へと彼を導こうと、肉茎を扱き上げる強さと速さも高めて同時に射精も促した 　今回はまだ教え始めたばかりだし不慣れなのもある。 　このままイかせてやろう肉茎を掴んだ手をリズミカルに上下に滑らせて扱いている、翼の動きに合わせて礼二の腰使いもだんだんと早く大胆になっていく。 　艶かしく腰を滑らせて、双丘の狭間を翼の足にぐりぐりと押し付けて擦り付ける。 　快楽に緩みきった表情で涙や唾液を溢れさせて、口端に笑みを浮かべた、淫蕩な礼二の姿を眼前にして、一度は鎮まった筈の熱がまた下肢に集まり、滾りそうになるのを、翼は唇を噛み締めてなんとかして堪える。 「ふあぁっ、あああんっうぅん、んんっあっ……は……つばしゃぁっ」 「礼二、そろそろイきそうか？」 「ふ……ふあっ、あっ、んんっ、つばしゃ、もっ……」 　礼二がそう言いながら首に回してしがみ付いていた両腕を不意に外して、バランスを崩して背中から倒れそうになるのを慌てて空いている方の手で支えてやる。 「うわっ！　っぶない……どうしたんだ急に……」 　そう聞き終わる前に礼二は翼の肉棒に両手を伸ばしてぎゅっと掴んだ。 「れ、礼二……」 　いきなり自身の肉茎を礼二に握りこまれて翼が息を呑む。 　急所であるそこを握りこまれてしまってはヘタに動くことは出来ない。 「っはぁ……ふぅ……翼も……一緒、に……」 　まだ整わない息を荒げながら、礼二は両手で握り込んだまだ柔らかい翼の肉棒を、強弱を付けて揉み上下にゆっくり扱き始めた。 「うっ……礼二……だめだっ……て」 「だって……俺もしたい……」 「礼二……」 「翼に気持ちよくなって欲しい」 　白くて長い指先をまだ柔らかいそれに滑らせ、優しく触れて、根元からゆっくり絞り上げるように扱き、半立ちになった肉棒を擦って刺激する。 　礼二は翼の肉棒を扱いて、先端から滲み始めた蜜を時折人差し指で掬いとって美味しそうに口へと運んで桜色の小さな舌先を伸ばしてぺろぺろと舐め始めた。 「んっ……おいひい……」 　そんな姿を見ていて煽られてしまい、翼はダメだと思いつつもまた自らの欲望がそそり立つのを自覚していた。 　怪我をしていないほうの右手で翼の肉棒を扱きながら左手の人差し指で先走りの液を掬い取っては口に運ぶ。 　痛々しさの残る左手に巻かれた包帯は蜜を纏わせている翼のモノを掴んだせいでべっとりと湿り気を帯びて塞がり始めた傷口に張り付いていた。 　怪我をしているほうの手を庇う等、自分の身を一切、省みない礼二の行動は見ているこっちが痛々しく感じて放ってはおけず、いつもハラハラさせられる。 　翼の為に何かをしたいと彼は彼なりに一生懸命なのだろう。 　ゆるゆると肉棒を扱かれて翼の息が上がり、それの質量が増して、ドクドクと脈打っているのが礼二の手の平に直に伝わってきて胸が高鳴った。 　撫で上げている肉棒を見る礼二の紅い瞳は何かに取り付かれたように濁り、とろりと半開きで潤み、物欲しげに開かれた口端には、翼の先走りの液だか彼自身の唾液だか、よくわからないものが伝って零れていた。 　――どう見ても正常な状態ではない。 　相手にも気持ちよくなって欲しいという礼二の気持ちを無下にするのも可哀相に思い、翼はこのまま手淫だけなら、したいようにをさせてやろうと口を開いた。 「は……礼二……わかった……」 「んっ……うん？」 「礼二がしたいようにしていい」 「翼ぁ……」 　その言葉を聞いてぱっと嬉しそうに無邪気な笑みを浮かべて、礼二は掴んだ翼の肉棒の上を跨ぎ、躊躇うことなく、一気に腰を落とそうとした。 「わあああっ！　違う！　そう言う意味じゃない！　尻に挿入するのは無しだ！」 　礼二の双丘の狭間で息づいている入り口に、自身の亀頭が埋まりそうになるのを、彼の細い腰を慌てて掴み、浮かせて、すんでのところで中断させた。 　(……っぶねー……あと少し止めるのが遅かったら絶対に挿ってたところだ……っというよりもう少しだけ先っぽ挿っちゃってた……) 　蕾を押し広げている先端を慌てて自らの腰を引いて抜きとり、礼二の腰を持ち上げて、元いた膝の上へとそっと戻した。 「したいようにしていいっていった……」 「はぁ、はぁ……っ手で好きに扱いていい……って意味で後ろに挿入していいという意味じゃない」 　翼は荒く息を吐きながら礼二の肉茎を掴んで、強めに握り締めて上下に扱いて揺する。 「あっあぁっ、んんっ、あんっ」 「こういう風に俺のちんこも礼二の手で扱いてくれればいいから……」 「うっ、あうっ……はあぁ……んっ……かった……」 　翼に言われて礼二も翼のモノを右手で掴み、負けじと扱き始めた。 　向かい合って互いの肉茎を競い合うように扱き合う。 　礼二は相手の肉茎を扱きながら、翼の膝へと双丘の狭間を押し付けるようにして外側から前立腺を刺激することで、挿入してもらっているような気になり、夢中になって腰を揺すって動かしていた。 　袋と会陰部も膝に押し上げられ、擦れて、じわじわとした快感が背筋を駆け上り、礼二の肉茎が脈打ち、透明な淫液を湧き出る泉のように噴出して、翼の手の平をぐっしょり濡らしていく。 「ふあっ、はああぁ……ああんっ……つばしゃあぁっ」 「はぁ……はぁ……礼二？」 「んん……っで……ぃ、れちゃ……だめ、なんだ……？」 「なんでって……」 　礼二が艶かしく腰を振りながら、自分がしていることや、してもらっている事を彼に仕返すように、翼のモノを負けじと扱いて時折、陰嚢を掴んでちょうどいい力加減で引っ張ったり揉んだり愛撫をして、射精を促しつつふいに聞いてきた。 「く、うぅっ……はぁっ、礼二の事を、なん、ていうか……は……愛してるか、どうか、まだ……わからない、から……」 　翼はどう答えようか迷ったが、自分が思っている事を息を荒げながら途切れ途切れにやっとの思いで、そのまま口にした。 　血の繋がった実の兄弟だとか、男同士だとかそういう問題もあるわけだが、そういうことは今はあえて考えないようにして自分の正直な気持ちを礼二に伝える。 「本当に好きな相手と……じゃない、と……最後までは……出来ない……少なくとも、俺はそうだ……」 　翼が途切れ途切れに口に出した言葉にふいに肉茎を扱いていた、礼二の手の動きが止まった。 ゛本当に好きな相手とじゃないと、最後までは出来ない゛と言う翼の言葉が鋭く突き刺さり、まるで針を心臓に直接、穿たれている様な痛みに、礼二は左胸を右手で押さえて、白い皮膚にギリギリと爪を立てた。