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見る者見られる者そして繋がり【20】

     ドクドクと血管が浮き出て、脈打ち、滾りきった翼の分身であるそれが、足の間をズリズリと行き来するたびに、礼二の性器と会陰部が押し上げられ、擦れて刺激され、ジンジンとした熱が全身へと広がってゆく。 「うぅんっ、ふあっ、あっ、あぁん」  先端の傘部分の出っ張りがゴリゴリと当たり、尻の間を翼の肉棒の凹凸が擦れるたびに、礼二の唇から、ひっきりなしに甘ったれた喘ぎ声が零れる。  外側から会陰部と陰嚢を刺激されて、じわじわとゆるやかに高まっていく性感に、礼二の頬はさらに紅潮し、ずっと半開きのままの唇から熱い息を吐き出し、口端は弧を描き、まるで笑っているかのように見える。  切ないような、それでいて嬉しくて、幸せで不思議な感覚が胸の内側にじわじわと広がっていく。  胸が熱くなり、ドキドキして、心臓が早鐘を打つ音が相手に聞こえてしまいそうなほどに激しく脈打っている。  感覚が研ぎ澄まされて、まるで全身が性感帯になっているようだ。  好きな人とするセックスは身体だけでなく、心まで満たされ、温かくて、それでいて、胸の奥がぎゅっと締め付けられるようで、でも何故かそれが心地良い。  翼が切なげに眉根を寄せて感じている姿を見ているともっとよくしてあげたいという気持ちになる。 「はあぁぁっ……んっ、ああっ……しゅごぃ、つばしゃ、あっ、の……あちゅぃっ……のぁ……」 「くっ……うぅっ、あぁっ、礼二っ」 「はぁ、はぁ……こしゅれれぇ……ひもちぃ、いっ」  感じるままに相手を、より煽る言葉を礼二は無意識に口にする。  自分以外の人間には刺々しい口調で、ドスの効いた低い声で話す、普段の礼二からは想像もつかない、甘い声と全身が桜色に染まった淫猥な姿に、翼は視覚からも聴覚からも、性感を刺激される。  翼の肉棒が礼二の足の間でビクビクと脈打ち、先端からは白く濁り始めた先走りを漏らし始めて、だんだんと余裕がなくなっていき、限界が近づいてくる。 「ふああっ、はああぁ……つばしゃあぁぁっ! うぅんっあぁっ」 「くぁっ、うっ、ああぁっ……うぅっ! くうぅ……あっ、ダメだ、も……イキそ……うっ!」  翼が眉根を寄せて切羽詰った声で途切れ途切れに言うが、礼二の腰の動きは前後左右に揺さぶるように激しくなって、どんどん早まっていく。  直接、中を肉棒で抉られる強烈な快感とは違い、ゆっくりとじわじわ高まってくる初めての感覚に酔いしれて、勝手に腰が前後に動いてしまう。 「ふあぁっ、だし、てぇ……つばしゃの、しぇぃ、えきいぃっ」 「ぐ、ううっ、礼二っ」 「ああっ! ぃっぱい、いっ、ぱいぃ……らひて……せい、えき……だひてえぇぇ……っ」  舌ったらずな甘ったるい声で繰り返し翼に射精するように言う。 (翼にもっといっぱい気持ちよくなってもらいたい……)  礼二はそう思って、今の自分が出来うる限りの事をして、自分の身体をフルに使って、翼に奉仕しようとなりふり構わず、ただ、一生懸命だった。  翼の肉棒を尻肉の狭間に埋め込んで、強めに圧を掛けながら、腰を前後左右、さらに小刻みに揺するように上下にもゆさゆさと動かして、射精を促して精液を搾り取ろうとする。  礼二もじわじわと長く持続する、オーガズムに体力が限界に近くなり、さらに強い絶頂を迎えそうになっていた。    小柄で幼い外見をしているはずの翼には、不釣り合いなほどに彼の肉棒は礼二のまだ幼さが残る貧弱なそれとは対照的で、血管が浮き出て脈打ち、亀頭部分は赤黒く、グロテスクでそれでいて、太くて大きさも長さも人並み以上はある。  礼二は自分の肉茎と袋を、翼のたくましい肉棒で擦り、尻の狭間をズリズリと行き来させ、会陰部とずっと綻びたままで、欲しがってヒクヒクと喘いでいるすぼまりの表面の粘膜を刺激する。  前と中間と後ろの全てを翼の肉茎に擦られて、礼二もゆっくりと高まってきた性感が、限界にまで到達して絶頂を迎えようとしていた。  翼に舐めしゃぶられた乳首がジンジンと疼き、唾液に塗れたままで礼二の白い胸板の上で赤く腫れて乳輪までぷっくりと膨らんで、乳頭はずっと固く勃起したままだった。  集中的に弄られた右側の乳首がより、赤く腫れているのが翼から見ていてもよく分かる。  怪我をしてから放置されていた痛々しい爪傷の花が咲いている左胸の中心にある乳首もずっと固く勃起したままだ。  翼は礼二と繋ぎ合っていた手を解いて、礼二の両胸へと伸ばして、左右の乳首をぎゅっと指先で絞るように摘んでくりくりとこね回した。 「ふあぁあっ! ああっ! いぃ、ひもちい、いっ! ああぁんっ……うぅっ……でちゃ、あぁぁ……うぅっ」 「はぁ、はぁっ……くうっ……礼二……一緒に、いこう……っ」  翼は礼二の腰の動きに合わせて、自らも腰を動かして揺すり、彼の尻の狭間と陰嚢に自身の限界にまで膨れ上がった男根を擦り付けて、射精を促してやる。 「はあああぁっ! んああぁっ、しゅごい、つばしゃぁ、のっ、こしゅれ、ああぁん、ひもちいぃぃっ」 「うっ……はあ、はあ、礼二……俺、もうっ……!」 「あぁあっ! らひ、てぇっ……つばしゃの、しぇぃえきっ」 「ぐっ、ああっ、礼二っ、礼二っ!」 「あーっ! れううぅっ! れひゃうぅっ! ふあああぁーーっ!」  翼の肉棒が礼二の陰嚢を押し潰すように突き上げて、擦れた瞬間に礼二が先に絶頂を迎え、びくびくと全身を震わせて、桜色の先端から白濁を勢い良く吹き上げた。 「はあ、はあ……ぐうぅっ!」  自分の腹や胸に礼二の精液が降りかかるのも気にせずに翼はそのまま礼二の足の間に腰を押し付けるようにして動かして、後を追うように射精した。  肉茎だけでなく、会陰部と尻穴を、翼の肉棒に擦られて絶頂を迎えた礼二は、射精し終わっても尾を引いて長く持続するオーガズムで、ぶるぶると下肢を震わせ、乱れた息を繰り返し吐き出し、顔中をぐしゃぐしゃにしながら、涙を滲ませた目を細めて、完全に気をやってしまっていた。 「はぁ、はぁ……あぁ……あー……」  射精した後も尾を引き長く持続する快感で、口元が緩んで嬉しそうに笑みを浮かべているようにみえた。  全身から力が抜けて、自分の胸になだれ込むように、倒れてきた礼二を翼は射精したばかりで白む意識を奮い立たせて、受け止める。 「……っと……礼二……大丈夫か? っはぁ……はぁ……」  翼も射精したばかりで、まだ荒い呼吸が落ち着くまで、しばらくの間、事後の余韻に浸っていた。  息が整い落ち着いてきた頃には、自分の腹や胸にとんだ礼二の精液や、自分が礼二の尻の狭間になすりつけるようにぶちまけた精液やらで全身が滑って不快感を訴える。  おまけに全身汗だくでべたべたするのもそれに追い討ちを掛けているようで自分の汗の匂いと精液の匂いが混ざった香りを嗅いで、気持ちが悪くなってきた。 「礼二……礼二」  自分の身体の上に覆いかぶさって、絶頂を迎えて、未だにピクピクと感じて身を震わせている礼二の頬をぺちぺちと叩いて、正気に戻るように促した。   「礼二、身体がべたべたして気持ち悪いだろ? 拭いて綺麗にしてやるから、ちょっと、動かすぞ?」 「あー……?」  半分意識を飛ばしたままで生返事をした礼二の細い腰を掴んで持ち上げて、そっと自分の横へと寝かせる。  礼二の腹や胸に彼自身の精液がべっとり、付着していた。  桜色に染まった肌のあちらこちらに付着して滴っている汗と精液の混ざり合ったものを既にぐしゃぐしゃで礼二の血を吸い込んで使い物にならなくなったシーツで拭いてやった。  特に礼二の足の間は翼が今しがた吐き出したばかりの精液がべっとり付着して、どろどろだった。  礼二の力の抜けた足を開かせて、尻の狭間を伝う精液もシーツで拭き取って綺麗にしてやろうとした。  が、礼二に腕を掴まれてそれを止められる。     礼二はふるふると首を左右に振って、自分の足の間を伝う精液を空いている方の手で掬い取っては口へと運ぶ。  桜色の舌先で指先の間に糸を引いている翼の精液を蕩けた表情でうっとりと舐め取っていく。  青臭さが口いっぱいに広がって鼻を抜けていく。  翼の精液のその舌ざわりと味に夢中になって啜って、口の中で転がして、ねっとりとじっくり味わってからゴクリと飲み込んだ。  弟のザーメンを嬉しそうに飲む兄などやっぱり普通じゃないと翼は思いつつ、それを黙って見ていた。  嬉しそうに翼が出したばかりの精液を口へと運んでは舐め取って飲み下すのを、無心にただひたすらに、繰り返している礼二を見て、翼はため息を付いた。 「はあ……」  礼二が満足するまで好きにさせてやろうと彼が精液を指先で掬い取っては口へと運ぶ様子を眺めていた。  あんまり美味しそうに精液を舐め取って、口の中でじっくりと味わってから、飲み下しているのを見て、本当にそうなのか、翼もほんの少しだけ興味が沸き、気になってきた。  自分の胸や腹に飛んだ礼二の精液を手で拭い取って、少しだけ舐めてみる。    口いっぱいに広がる青臭い味と苦味、さらには自分の汗が混ざって塩気も加わり、あまりのまずさと気持ち悪さに吐きそうになって口を押さえた。 「……くそまじぃ」  こんなものを好き好んで口に出来るなんて礼二の味覚はどうなっているのだろうかと思いながら、ぐしゃぐしゃのシーツで自分の腹に飛んだ礼二の精液を拭き取った。  味覚……というよりも、全ては愛あればこそ相手の体液が美味しいと感じるのだが翼がその域にまでたどり着くにはまだまだ掛かりそうだった。  礼二が自分の足の間を伝う翼の精液を最後の一滴まで掬い取って口へと運ぶのを見届ける。  最後の精液をゴクリと飲み下して、満足したのか礼二は一つため息をついて人差し指を咥えたまま、うとうととまどろみ始めた。  病み上がりでまた無茶をして身体を動かしたのだから、きっと疲れているのだろうと翼はまどろんでいる礼二を起こさないように、シーツで全身をくまなく拭いて綺麗にしてやってから、床へと放り出されて落ちている掛け布団を拾って礼二にそっとかけてやった。      少し汗臭いが風邪が治りかけの礼二を風呂に入れるわけにはいかない。  洗面器にお湯でも用意して、水拭きしてやって綺麗にしてやるか……そう思ってベットからそっと足を下ろして立ち上がる。     □  脱衣所に辿り着いて洗濯機へと衣服類を纏めて放り込んで、自動ボタンを押した。  血と体液で汚れたシーツは、風呂場でタワシで水洗いすれば、まだなんとか落ちるかもしれない。  お湯を使って洗うと血液が固まって落ちなくなってしまうため、冷水ですすぎ洗いをするほうがいい。  翼はシャワーを浴びる前に、冷水をかけながら、タワシで礼二の血が付着した部分を念入りに力を入れて擦り、洗い流してシーツの汚れがどれくらいとれたか確認してみる。  色素がしみこんでいるのかうっすらピンク色の染みがまだ付いたままだった。  風呂場に持ち込んで、置いてある液状洗剤を手に取り、シーツ全体に降りかけて、足で踏み揉み洗いをしてシャワーでざっと泡を洗い流して、水気を絞って、洗面器へと入れて、血がついていた部分に漂白剤を塗りつけて、冷水を注ぎ込んでしばらく置いておく事にする。  これだけやって明日の朝にまた見て汚れが落ちないようなら、このシーツは雑巾代わりにしようと翼は考えていた。  これから兄と二人で生活していく上でいろいろとやりくりをしなければならないのは自分だ。  シーツ一枚だって新しいものを買い換えれば結構、馬鹿にならない。  汚れが落とせそうなものはなるべく手洗いして、生活費を節約しなければ、毎月馬鹿にならない金額を仕送りをしてくれる父親に申し訳が立たない。  学費だってかなりの金額が掛かるのだからせめて生活費ぐらいは出来る限り節約するように心がけて父の負担を減らしてやりたい。  礼二と翼の二人分の学費と毎月の生活費を一人で稼いで仕送りしてくれる父親が過労で倒れてしまいやしないかと翼は内心、心配していた。  ここでの生活に慣れて、落ち着いてきたら、やっぱり自分も何か短時間でもいいからバイトをして父の金銭面での負担を減らしてあげたいと思う。  一通りすべき事を終えて翼は自分の身体をナイロンタオルでごしごしと洗って付着した汗や、体液が混ざり合った汚れを落として、シャワーで洗い流して一息ついた。  シャワー台に置いてあるシャンプーを3回ほどプッシュして手の平に伸ばして、汗ばんで頭皮に張り付いている髪に塗りつけて泡立てる。  ぐしゃぐしゃとひよこの産毛のように、柔らかな金髪をかき回して、頭皮を指先の腹で押して、爪を立てずにマッサージするように皮脂汚れを念入りに落としていく。  頭のてっぺんから禿げて河童のようになってしまい、ウィッグ装着してからでなければ、気軽に外出もできないようになってしまった母親を見ていて、将来自分も禿げてしまうのではないかと翼は不安を感じていた。

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