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Birthday【6】
ぽろぽろと涙の雫を零しながら大事そうにクマを抱きかかえる礼二の瞼を翼は掌でそっと撫でて、伝う涙を拭ってやった。
「そういう時は、ありがとうって言ってもらえると嬉しいな」
翼が礼二の耳元でそっと囁くようにそう教えた。
「うん……ありが……とう……」
礼二が頷いて途切れ途切れにお礼を言って、寝転がったままの状態でクマをぎゅっと抱きしめる腕に力を込めて翼を見返した。
礼二と二人で布団の中で、横たわったまま、至近距離で見つめ合っていると、なんだかヘンな気分になってくる。
涙を浮かべた礼二の頬はほのかに紅潮していて、桜色の唇からは甘い吐息が吐き出される。
頬を赤く染めて、紅い瞳を潤ませている礼二が妙に艶っぽく見える。
礼二の白く細い首筋には翼が上書きして、きつく吸って付けたキスマークが未だにうっすらと紅く残されている。
寝起きに良くある生理現象であらぬ部分が緊張しているのが分かる。
翼は慌てて身を起こして、礼二から離れて下半身を隠すように布団で抑え付けていた。
「つばさぁ……?」
礼二が寝転がったままで不思議そうな顔をして翼を見上げていた。
翼は頬を紅潮させたままコホンと一つ咳払いをして、股間を布団で抑えたままで礼二に気付かれないように誤魔化した。
礼二もクマを抱いたままで、起き上がる。
少しだけ前かがみになって、ベットに座っている翼の隣に礼二が擦り寄ってきた。
せっかく礼二に誕生日プレゼントをあげたばかりだというのにてんでかっこがつかない状態だった。
年頃の男だから仕方ないとは言えこんな時にこんな状態になるなんて……いや……三日に一回くらいは朝に目が覚めた時に異様に自らの分身が元気な時はままあるのだが、礼二と密着した状態でこれはまずい。
これから卒業するまでずっと礼二とこの寮で暮らしていかなければならないのに、思わぬ問題に直面してしまった。
今までであればしばらく何もせずに放置してれば鎮まっていたものが、今はさらにいきり立っているような気がする。
(頼むから礼二に気付かれる前に鎮まってくれえぇぇ!)
そう心の中で叫びながら、翼は足の間をさらに強く押さえつけるが、癖の悪い自らの分身は一向に鎮まる気配がなかった。
そんな翼の葛藤を知らずに、礼二は無邪気に翼に身を寄せて、身体を密着させたままの状態で手に持ったクマをぐにぐにと動かして遊んでいる。
礼二はさっきからひっきりなしにクマに頬擦りしたり、触れるか触れないかくらいに唇を寄せてキスをする真似を繰り返している。
翼に初めて貰ったプレゼントを存分に堪能して、すっかり夢中になっている。
礼二がクマで遊んでいる様子を見ている分には、このプレゼントを相当気に入ってくれている、というのが分かって翼はホッとしていた。
なにをプレゼントすれば礼二が喜ぶかいまいちよく分からなかったが、寂しい時に縋れる物をと考えて選んだ物だ。
――気に入ってもらえてよかった。
自分にどことなく似たクマを送るというのは少しだけ照れくさくもあったが、ミリアの薦めでかなり高価なもので、それでも奮発して思い切って買ってよかったと思った。
童心にかえってクマと戯れている礼二を見て、翼は穏やかな笑みを浮かべた。
礼二が布団をめくって空洞を作り、トンネルにしてクマを出たり入ったりさせて遊びだしたのを目を細めて見ていた。
礼二の嬉しそうな無邪気な笑顔を見て口元が緩み、ついつい下肢を抑える手の力も緩んでしまう。
その隙を付いて、遊びの延長で、布団を勢い良く剥がされてしまい、パジャマのズボンを押し上げているその部分が礼二の眼前へとさらされてしまった。
「うわっ! あっ……いや……礼二……これはその……」
翼が顔を真っ赤にしてしどろもどろになりながら、テントを張っているその部分を両手で隠そうとしたが、それよりも先に伸ばされた礼二の掌が固くなっているものの形を確かめるように先端に触れた。
「ふわぁ……翼のちんこ固くなってる……」
礼二が固くなってズボンを押し上げて突っ張っている翼のそれを見て嬉しそうな甘さを含んだ声色で呟いた。
翼はさらに顔を真っ赤にして慌てて、先端を掴んでいる礼二の掌をどけようとして細い手首を掴んだ。
急所を掴まれてしまっては下手に動けず、怖くて無茶は出来そうにない。
下手に動いてヘンな方向に曲げられでもしようものならかなりのダメージを受けて、最悪、その部分を再起不能にされてしまう。
翼は何とか礼二を引き剥がそうと説得を試みる。
「これは……朝立ちというやつで、男なら誰でもっ……しばらくすれば元に戻るから!」
聞いているのかいないのか礼二は片手に抱えたままだったクマをサイドボードの上にそっと置いて座らせてから、もぞもぞと翼のパジャマのズボンを脱がせにかかってきた。
服の上からさわさわと先端を撫で回していた手を中へと滑り込ませて翼が着ている下着ごと掴んで引っ張り、ズボンを引き摺り下ろした。
勢い良く飛び出してきた翼の肉棒を見て礼二はうっとりとした表情で眺めて白い指先でなぞるように触れてきゅっと握り込む。
「口でしてもいい? 翼のせいえき飲みたい」
掌を上下に滑らせて翼の茎をゆるゆると扱きながら礼二が甘ったるい声でおねだりしてきた。
「うっ……はぁ……なんであんなまずいもの……飲みたがるんだ……」
翼は顔を真っ赤にしてうろたえつつも、結局は礼二にされるがままになっていた。
最後の一線だけは超えずに今まで堪えて来たが礼二に手や口でして貰う事にはもう慣れてしまって、違和感も罪悪感も大分薄れてきてしまっている。
男同士で兄弟であると言うことに対して最初のうちは後ろめたさや背徳感に苛まれていたものだが慣れというのは本当に恐ろしいと翼は苦笑した。
翼がまずいと言った台詞を礼二は首を左右に振って否定する。
「おいしいのに……」
礼二にとっては愛しい人の体から滲み出るその体液は何より芳しく美味しく感じるものなのだが翼にはそれが理解できない。
口の中にこみ上げてくる唾液をこくりと飲み干してから礼二は翼の足の間に顔を埋める。
滲み出した先走りの液が伝う茎を下から上へと舐め上げて舌を這わせて味わってから、先端に口付けた。
亀頭の割れ目をなぞるようにねっとりと舌を這わせて、先走りの雫をすすり上げる。
茎の部分をゆるゆると掌で扱きながら、愛しげに口付けを繰り返して、時折、舌を先端の穴に差し込むようにちろちろと動かして、蕩けきった表情で口と手を使い翼の肉棒に奉仕し始めた。
口いっぱいに広がる翼の匂いと味に夢中になって、すっぽりと口に含んだ先端をちゅうちゅうと音を立てて吸う。
「うっ…ううっ…れ…礼二っ…こんな、こと…してくれ…なくても…元に戻…る…からっ…うあっ!」
身を震わせて、翼が掠れた声でやっとの思いで言う途切れ途切れの言葉を聞いて、礼二は肉茎を中程までくわえ込んだまま、相手の顔色を伺うように、上目使いで見上げる。
「うっ!」
くわえ込んだまま頬を紅潮させて潤んだ瞳で上目遣いで見上げる礼二の表情がいやらしく見えて、視覚的にも煽られてしまい余計に肉茎が質量を増して固くなってしまった。
もはや翼は自身が礼二の声や表情や仕草にさえ欲情すると言う事を否定できない。
「んんっ…ふ…ぷは……翼のまたおっきくなってきた」
くわえ込んで吸っていた先端から口を離して礼二が嬉しそうにそんなことを言う。
先端の穴を舌先でつついて、次から次へと滲み出きて伝う先走りの液を舐め取って、口の中に溜まった唾液と共にこくりと嚥下していく。
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