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Birthday【7】

掌で包み込んだ茎を扱きたてながら、下方にある二つの袋を空いている方の手でやわやわと揉んで射精を促す。  礼二は翼の肉茎の先端を再びすっぽりと口に含んで飲み込み、中程まで咥え込んで、唇をすぼめて頭を上下に動かした。 「うっ…ううっ…ああっ…これ以上は……本当にっ……」  翼が射精感を堪えて、情けない声でそう訴えかけたが礼二はさらに射精を促すように、くわえ込んだ肉棒を喉のぎりぎり奥まで飲み込んで、吸い付いて離れなかった。 「んんんっ…ふ…んうっ…」    じゅるじゅると厭らしい水音を立てながら桜色の唇を押し広げて赤黒い肉棒が出入りしている。 「んぐっ…んんっ…ふっ……」  礼二は唇を窄めて肉棒をちょうどいい力加減で締め付けて、一滴でも多く精液を搾り取ろうと無心にそれを吸いたてる。 「……うっ、ああっ! あ…だ、駄目だ…もう出るっ…!」  堪えきれずに翼はすぐに限界を迎えて、礼二の口の中に精液を放出してしまう。 「ぐ……ううっ!」  ガクガクと腰を震わせて堪えきれずに呻き声を上げながら翼は礼二の咥内へと射精して、勢い良く放出された白濁がドクドクと喉の奥へと叩きつけられた。  咥内で脈打ち精液を吐き出している先端を口に含んだまま礼二はこくりと喉を動かしてゆっくりと味わうように少しずつ、濃い白濁を嚥下していく。 「んっ…んくっ…んん…ふう……」  口の中に出された白濁を飲み干して、口を離して翼を上目使いで見上げる。  口端に伝う飲み下しきれなかった白濁を指先で掬い取って、舌先でぴちゃぴちゃと舐め取っていく。  溜まっていた精液を放出しきって、くたりと勢いを無くした翼の肉茎に伝う先走りと精液も綺麗に舌で舐め取ってから、やっと礼二は満足げため息を付いた。  朝立ちしていきり立っていたそれが落ち着きを取り戻して萎んでしまったのを礼二が残念そうに見ている。  翼はそんな礼二を見て苦笑しつつ、サイドボードに置かれたティッシュを数枚とって礼二の唾液と先走りで湿り気を帯びた下肢を綺麗に拭いて後始末を終えて萎えた性器を下着の中にしまい込んでズボンを引き上げて履いた。  翼の精液をやたらと飲みたがる礼二の嗜好は随分と変わっていると思うが、何回か繰り返しているうちにそれにも慣れてしまったようで、最初の頃程、礼二に奉仕させたという事に対して余り罪悪感も無い。 「はぁ……」  射精をした後の気だるさで身体に力が入らずに翼は小さくため息を付いて礼二を見返した。  口寂しいのか礼二は人差し指を咥えたまま無心にそれを吸っている。  翼は息を整えて、一息ついてから、足を崩して座り込んでいる礼二の上着のボタンを一つずつ外して脱がせてやり、白い裸身を薄明かりの下にさらけ出した。  明け方で、カーテンを閉め切ったままの室内は薄暗く、ほの明るい電灯の光りに照らし出される礼二の白い裸身が晒されて、浮き立ってみえる。  礼二の包帯の結び目を解いて、左胸に厳重に分厚く巻かれた包帯を解いてやる。  痒さがぶり返した時にまた礼二が傷口を引っ掻いたりしないようにしっかりとまかれている包帯を取り去って、傷口に貼り付いているガーゼをゆっくりと剥がして患部を恐る恐る確認してみる。  礼二の左胸は引っかき傷がまだ少し痛々しいが血は完全に止まって傷が塞がりかけていて、ほとんど腫れも引いている。  炎症を起こして赤くなっていた部分も今は大分状態が落ち着いているようだ。    血と組織液で汚れたガーゼと包帯を丸めてゴミ箱へと投げ入れてため息を付いた。  翼は内心でホッとしてベットの横にある棚の中に常備してある薬箱の蓋を開けて塗り薬とガーゼと包帯を取り出した。  前に保健医に診療所で塗ってもらった薬をふき取って、新しく薬を塗りなおしてやらないと……。  薬袋の中に入れられている薬の説明書を薄明かりの中でなんとか読んで、礼二の左胸に塗るのに使われていた薬を見つけ出して、手に取り、ピンク色のキャップを回して外し、中に入っている軟膏を人差し指と中指の先で適量を掬い取る。  新しいガーゼの方にたっぷりとその軟膏を塗りつけて、そっと傷口へとまた貼り付けて馴染ませるように軽く押さえつけた。 「礼二……もう痛いところはないか? 痒いところは?」  新しい包帯をぐるぐると巻きつけてやりながら翼が心配そうに眉を八の字に寄せてそんなことを聞く。 「もうどこも痛くないし、痒くないぞ」  翼が包帯を巻いている手の動きを目で追いかけながら、口に咥えていた人差し指を抜き取って礼二が答えた。 「よかった……一時はどうなる事かと心配したけど……もう自分の身体に傷を付けるような事は絶対にしちゃ駄目だからな!」  巻き終わった包帯の結び目を綺麗に整えてから軽く礼二の額を小突くような真似をしてそのまま抱き寄せた。  翼に抱きしめられて礼二は嬉しそうに笑みを浮かべて「うん」と頷いた。  額にそっと口付けられて、瞼、頬。徐々に戯れるように降りてくる翼の唇が礼二の桜色の唇に辿り付いて啄ばむ様なキスをしてから、離れていった。  もっとキスをして欲しくて上目使いで翼を見上げて熱を含んだ眼差しを向けてくる礼二の額に手を宛てて熱を測る。  微熱もすっかり平熱へと下がっていて、風邪もやっと治りかけているようだった。  このまま何事も無くもう一日大人しくしていればぶり返さずに風邪は完治するだろう。    「ほら、礼二。次は左手のガーゼと包帯を新しいのに変えてやるからこっちに左腕伸ばして寄越せ」  翼に言われて礼二は素直に左手を翼の方へと伸ばした。  銀製の細いシャープペンシルが貫通して掌を突き抜けるような大怪我だったが、傷口の状態は悪化していないだろうか?  翼は巻いてある包帯を解いて、恐る恐る患部に貼り付けられたガーゼを剥がして傷口の様子を見てみる。  穴はしっかり糸で塞がれたままで血も出ていない。  怪我をしたばかりの時は派手に見えていた傷口も今は殆ど分からないくらいに綺麗にくっ付いて塞がっているようだ。 「よかったな……この分だと今週中には抜糸できそうだな……」  翼がホッと気の抜けた表情で微笑を浮かべながらそう言って、軟膏を塗布したガーゼを患部にそっと貼り付けて、新しい包帯を巻きつけていく。   「ありが……とう」  礼二はついさっき翼に教えてもらったばかりの礼の言葉を口にする。  新しく巻かれた左手の包帯を眺めている礼二の頭を翼はくしゃりと撫でてやった。  普通の人であれば自然と身に付いていることさえろくに出来なかった礼二が、別れの時に「さようなら」食事をする前に「いただきます」何かをしてもらって「ありがとう」という言葉を口にするようになったというだけでも大した成長なのではないかと翼は思った。  これから長い事、この学園で過ごしていくうちに少しずつでも自立するために必要な最低限の挨拶やマナーなんかを覚えていけたらいいと考えて優しげな目で礼二を見下ろした。  ベットにぺたりと座り込んだままで翼を上目使いで見返していた礼二だったが、サイドボードに座らせたままで放置していたクマに手を伸ばして掴み引き寄せて自分の腕の中へと抱き込んだ。  クマをぎゅっと自分の胸の上に置いて抱きしめて幸せそうな笑みを浮かべた。 「礼二、そのクマの名前はどうするつもりなんだ?」  プレゼントしたクマにはまだ名前が無く、「クマ」と呼んでいるのだが、一部の人はぬいぐるみや人形に名前を付けて愛着を持って大切にするらしい。  たいていの女の子であれば幼い頃にそういう経験があるものだと聞いたことがある。  もちろん礼二は女の子ではないわけだが、彼ならばぬいぐるみに一体、どんな名前をつけるのか少しだけ興味があった。 「なまえ?」    翼が言った言葉を返して、礼二は胸に抱いていたクマを高い高いする時のように頭の上に両手で掴み抱き上げて眺めた。

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