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初めてのお留守番~佐藤といっしょ~【16】
身体の奥がジンジンと疼いてざわざわと中の壁が肉棒に絡みつき、締め付けてさらに奥へと誘い込もうとする。
礼二は既に考える事は放棄して、ただ身体の熱をもて余したままソファーの上に身を横たえて投げ出していた。
全身から力が抜けていて、佐藤の肉棒がより深く入り込んでくる。
「また、そろそろ動いてもいいですか?」
佐藤の唇が動いているのをぼんやりと見上げながら礼二は首をゆっくりと縦に動かした。
それを確認してから佐藤はゆるゆると腰を動かしはじめた。
差し入れたままの肉棒の先端を肉壁に擦り付けて捏ねるように動かしながらゆさゆさと揺すっていきなり抽挿することはせずに礼二の様子を伺う。
「ふああっ、あっ、ああっ」
腰を揺するたびに礼二の薄く開かれたままの唇から甘ったるい喘ぎが零れて、それを聞いて佐藤は目を細めて素直に感じるままに自分に身を委ね始めた彼を見下ろして微笑を浮かべた。
礼二は貪欲に快楽を求め貪ろうとする体と、翼以外の男に抱かれる事を拒む心との鬩ぎ合いに既に精神を疲れさせ消耗しきって何も考えられなくなっていた。
からっぽになった身体をただ投げ出して、結果的にされるがままになっているだけで、自分を犯している男になんの興味も示してはいなかった。
記憶させられたはずのこの男の名前ももう思い出せない。
「は……礼二様、気持ちいいですか?」
「あっああっうんっ」
息を乱しながら腰を揺さぶってそんな事を聞いてくる佐藤を見上げて、礼二は喘ぎながら頷いた。
悪い熱に全身を犯されているようで、頭の中が真っ白でただ受け入れさせられた快楽を貪る事しかできなかった。
礼二が素直に答えてくれた事に気をよくして佐藤は、中に差し入れたまま動かしていた肉棒をズルズルと出入りさせて抽挿し始める。
じわじわと出し入れして、礼二の身体に負担が掛かり過ぎないように気をつけながら肉棒を引き出しては、差し入れる行為を繰り返す。
「ふわああぁ」
ゆっくりと中の敏感な粘膜を肉棒で擦られて礼二が満足げに甘い息を桜色の唇から吐き出して口端に伝う唾液もそのままに喘ぐ。
礼二の口元は緩んで笑っているようにも見える。
頬を紅潮させて、半開きの紅い瞳を潤ませる礼二の姿に思わず見惚れてしまう。
すごくいやらしくて、そして可愛らしく、男を煽るような表情をしている。
そしてその表情を礼二にさせているのも、知っているのも自分だけだという事に優越感を感じて、ただ嬉しかった。
礼二の片足を抱え上げて横倒しにした状態の礼二の足の間を貫いて突き入れるたびに腰がだんだんと重くなってくる。
肉筒の中は彼自身の先走りと腸液で満たされてどろどろに蕩けてぬかるんでいて肉棒を貪欲に奥まで飲み込んで締め付けてまるで精液を残さず搾り取ろうとするかのような動きをする。
こうやってじっくりと腰を使って抽挿を繰り返しているだけでもかなり気持ちが良かった。
気を抜けばこっちが先に達してしまいそうなくらいだ。
込み上げてくる射精感を堪えて佐藤は礼二の体内にある一番感じやすい場所を肉棒の先端部分でゴリゴリと押し上げて、亀頭の凹凸で擦って刺激を与えてやる。
前立腺をダイレクトに刺激されて、礼二は切羽つまった声を上げて開きっぱなしの口から咽び泣くような喘ぎ声を出してガクガクと全身を震わせた。
「ふあぁあーっ! ひゃあぁぁっ、あ゛ーーっ!」
前立腺を直接刺激された事により、射精無しで先に達してしまったようだ。
射精を伴わずにドライで達した場合は吐精した時よりも長く快感が持続して女が達する時と似たような感覚が得られるらしい。
イッてしまったばかりの礼二の表情は快楽に蕩けきって緩み、開きっぱなしの唇から息を吐き出して、口端にはだらしなく唾液が伝っている。
「はああぁぁ……」
間延びした礼二の甘さを含んだ声を聞いて達したばかりで全身の力が抜けたままの礼二を抱え上げて繋がったままの状態で体制を変えさせる。
礼二をソファーの肘掛に持たれかけさせて向かい合わせにして座らせて両足を抱え上げて、足を開かせる。
繋がっている部分がよく見えるように礼二の腰を浮かせて、対面する形になって未だ持続する快感に身を震わせて甘い息を吐き出している礼二の唇に自身の唇を重ねた。
「んくっ…んんっ…ふ……」
礼二の開かれたままの口の中に舌先を差し入れて、彼の舌を探り出して絡めとりくちゅくちゅと水音を立てながら吸い立てる。
初日に初めて礼二にキスした時は吐くほどに拒絶されたが、今は意識が朦朧としているせいか礼二は抵抗することなく佐藤の舌を受け入れて無意識に絡め返してくるほどだった。
「ふぅ…んっ…ふぁ…ううんっ」
キスの合間に零れる礼二の甘ったるい喘ぎ声を聞きながら佐藤は満足げに目を細める。
快楽に流されて、されるがままに身を委ねてくれる礼二に対して愛しさのようなものがこみ上げてくる。
お気に入りの玩具に対する愛着にも似たような感情だろうか。
礼二の咥内に溢れる唾液を舌先で舐め取ってすすり、コクリと喉を鳴らして飲み下し、口端に伝う唾液も舐め取り、再び口付ける。
満足するまで礼二の咥内を舌先で嘗め回して愛撫して吸い取っても吸い取っても溢れてくる唾液をすすり上げて嚥下していく。
ほんの少し粘り気のある透明なその液体を飲み込む事になんの躊躇いも嫌悪感もなかった。
以前の自分であれば、他人の唾液など汚らしくて普通に考えれば好き好んで口にしたいとは思わない。
礼二相手であれば汚いとは感じないしもっと彼の体から滲み出てくるその体液を味わいたいとさえ思う。
そんな風に思える相手は初めてで、礼二が自分にとって特別な存在であると言う事を自覚せざるをえない。
佐藤にとって礼二は特別な存在で、強く興味を惹かれる相手で、ふと気がつけば彼の事ばかり考えている自分に気が付く。
今まで生きてきて自分以外の誰かの事で頭をいっぱいにした事など一度もなかった。
礼二と出会って、彼に惹かれて興味を持って彼と接しているうちにだんだんと自分は変わっていったのだろうと思う。
長い口付けを終えて唇を離すと名残を惜しむように唾液が銀糸を引いて橋を作り、ゆっくりと途切れた。
「は……ふぅ」
塞がれていた唇を解放されて礼二が大きく息を吐き出して白い胸を上下させて蕩けた表情でこちらを見返している。
その紅い瞳は涙の膜で潤んでいて、彼の視界に自分の姿がはっきりと映ってはいないだろう事が伺える。
礼二はきっと快楽に身を任せて生理的に反応を返して喘いでいるだけだろう。
射精せずにドライでイッた余韻に浸り甘い息を吐いて呼吸を繰り返している。
涙や汗で濡れた礼二の頬にべったりと張り付いている髪を撫でて剥がして整えてやる。
しばらく礼二の息が落ち着いてくるまで待ってやり、頃合いを見計らって、礼二の足の間に埋め込んだままの肉棒をズルリと引きずり出した。
「くっ……んんっ」
抜け出ようとするそれを逃すまいと吸い付いてくる壁に逆らい、掻き分けて肉棒を引き抜く時に礼二の唇からくぐもった喘ぎが零れて、内腿が痙攣してぶるりと震えた。
「あ……」
体内で馴染んでずっと受け入れさせられていた肉棒が抜け出ていって、残念そうな声が無意識に出てしまい礼二はハッと我に返って口を閉ざした。
与えられていた快感を急に奪われて、体の奥がジンジンと疼いている。
自分の体内に馴染んでいた肉棒が無くなった喪失感にわけがわからないまま涙が溢れ出して止まらなくなった。
「ううっ……」
さっきみたいにもっと奥まで貫かれたいと身体が求めている。
それを受け入れたくなくて、礼二はただ涙を零して握り締めた拳で瞼を擦り、幼い子供が泣いている時のようにしゃくりあげる。
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