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第23話

「先輩おはようございます」 「夜中誰と話してたの?」 「ー。」 「あ、すみません」 「すみませんじゃなくて、誰と話してたの?」 「ー。」 「あ、あの、元彼です」 「ふーん」 「元彼とコソコソ何話してたの?」 「コソコソしてないです!!」 「わざわざリビングに行っただろ!!」 「ジョー君とか言ってただろ!!」 「名前聞いて確認しただけです」 「あと先輩を起こしたらいけないと思って」 「ふーん」 「3日前くらいからかかってきてたろ?」 「ずっと知らない番号からかかってきてて 出たら元彼で、アドレスは消したけど番号変えてないからかかってきて、」 「でなんだって?」 「先輩とのこと聞いたみたいで」 「うん」 「ー。」 「それでもいいから会いたいって」 「それでもいいって何?より戻したいとか?」 「それはわからないです」 「で?」 「先輩が大事だからそういう事はしないって 言いました。」 「で?」 「でもまたかけるって切られました」 「なんで会わないってすぐ言わないの?」 「ごめんなさい」 「謝らなくていいよ、でどうするの?」 「どうする?ってどうもしないです。 俺は元彼に未練ないし先輩が好きだし、他の人とどうこうなんて、思ってないです」 「ふーん」 「電話かかってきたらまた出るの?」 「でないです」 「あの、先輩、おれ、ほんとに」 「もういいよ、行ってくる」 「ー。」 バタン。 金曜日の朝はそれ以外話さないで仕事に出かけて 夜は目黒と飲んだ 上原には連絡しなかった。 上原は 大学が冬休みになったから 金曜日から実家に帰る予定だった スマホには 上原から 「実家に帰ってきます。クリスマスには帰ります」 ってメッセージ入ってた メッセージにもなんだかムカついて レスしなかった。 「俺こんなやきもち焼きだったかなあ」 って目黒に話したら 「はあ、何それ?上原君悪くないじゃん」 って言われた 「まーな」 「ほんとにマジなんだね」 「当たり前だろ」 「そんな好きなら結婚したら?」 「うん、マジでしたい」 「伝えたの?」 「まだ」 「おまえは?うまくいってるの? 今の子けっこう長く一緒にいるじゃん」 「まあそうだけど顔も性格も可愛いし、体の相性もいいかな」 「好きなんだろ?」 「んーかもな」 「クリスマスは?」 「一緒に過ごすよ」 「もうそれ、付き合ってるじゃん」 「あ〜!それはどうかなあ?あ、でも上原君と喧嘩するなら、俺が上原君もらう」 「ダメ」 「俺元彼から電話来たくらいで責めないし」 「俺も責めてないよ、コソコソしててムカついたんだよ!」 「おまえが寝てたからリビング行っただけだろ?」 「まーそうだと思う」 「ほら?上原君は悪い事してないじゃん、おまえ何個上よ?おじさんなのに好かれてるじゃん」 「うん、わかってる」 「わかってるのに、キレたらかわいそうだろ?」 「わかってるよ、悪いとおもってる」 「じゃ謝りな」 「ー。」 「今日から上原君いないんだろ?」 「実家帰ってる」 「まあ、今日は飲むか?」 「ああ、悪いな」 土曜日は早く目が覚めてしまった スマホにはメッセージ入ってない 「なんだよ」 ベッドでゴロゴロしてながら 上原が引っ越ししてきたときにあげた右側のクローゼットを見る 綺麗に服が入ってる ハンガーにかかった服を見ながら 上原にメッセージ送ろうか考える 《午後から車の点検があるし、買い物も行くか》 夜 『車点検大丈夫でした?』 『ご両親お元気でしたか?』 って上原からメッセージが来た スタンプで返した 土曜日は親と食事した。 日曜日、月曜日はジムに行って プロテイン飲んでジムのシャワーで済ませて部屋では寝るだけだった 上原がいない部屋が淋しい。 《逢いたいなあ》 25日は休みをとった このままだとクリスマスに会えない気がして イブの日仕事終わり車で上原に会いに行った ついてから 夜中に上原に電話した ギリギリXmasイブだ。 「もしもし?」 「はい、もしもし?」 「俺」 「先輩、はい、どうしたんですか?」 「起きてた?」 「はい、起きてました」 「ー。」 「今出てこれる?やっぱりこっちは寒いなあ」 「え?え?今?」 「今家の前」 「え?待って?」 電話の向こうで慌ててる ガタガタ、バタバタ、ガチャガチャ スウェットで飛び出してきて、 びっくりしてる上原を抱きしめて 冷たい空気ごと 助手席に乗せた 「迎えにきたよ」 「サンタクロースですか?」 「うん」 「仕事は?」 「終わってから来た」 「マジで、なんで忙しいのに」 「明日?もう今日か、休んだ」 上原の袖口が濡れている 「泣くなよ」 「ほんとにびっくりした」 「上原ごめんな」 「俺もごめんなさい」 キスする 「疲れたでしょ。家行きましょう」 上原のお姉さんと お母さんは 急に来たのによくしてくれた。 「お腹は?」 「あ、空いてます」 「残りで良ければ食べて」 って ピザやケーキを出してくれた 上原は何も言わないでニコニコしてる 「泊まって行って」 「あのすいません、ほんとに、突然きて」 「ひびきが心配させたんでしょう?」 「帰って来てからずっと様子がおかしかったのよ」 「あ、俺が悪いんです」 「まあ、喧嘩するのも仲良しな証拠よ。 遠いのに迎えに来てくれるなんて、ひびきは幸せね 田辺さんはもうお仕事おやすみなの?」 「いや、25日は休みですが、木曜日、金曜日は仕事です。」 「そうなのね、お正月もいられればよいのに 残念だわあ、じゃまた来年いらしてね、」 「はい」 「お布団はひびきの分しか干してないから 一緒で良いかしら?」 「はい」 「ねーあら、あら、ふふふ」 「お母さんやめてよ」 「お風呂沸いてるから入ってね」 「あとはひびきよろしく」 「ほんとすみません」 「おやすみ」 お風呂から出たら ビール飲みます? って上原が言う 「今日は大丈夫だよ。ありがとう」 「部屋寒いですか?」 「大丈夫だよ」 「先輩ぎゅっとして」 「急に来てごめんな」 「嬉しかったです、もっとぎゅってして」 「このまま会えなくなるかもって思って」 「うん思いました」  「ぎゅっとして」 「ごめんな」 「俺も」 「先輩俺いなかったから眠れなかったでしょ?」 「うん」 「おれも眠れなかった」 「うん」 「おまえの匂い安心する」 「ひびき好きだよ」 「先輩大好きです」 ひびきと一緒だからかよく眠れた 朝ご飯を食べて上原と出発する お父さんにも会った 上原が俺が運転します お願いします 道は空いていた SAで休憩しながらゆっくり帰った 15時前には着いた 「夜は家で食べるのでよい? お母さんからチキンもらったし 買い物はしてあるから」 「はい」 「先輩は生パスタをつくってくれた パスタ作れるんですね」 「あれはレトルトみたいなもんだろ でも美味しかった」 「一緒に片付けます」 「先輩今日は迎えに来てくれてありがとう」 「サンタクロースみたいでした」 「だろ」 「実家楽しかった?」 「帰ってからは クリスマスの準備と 友達とご飯食べました」 「そっか」 「あと、バイト代入ったら、スマホ買います」 「いいよ、大丈夫だよ」 「いいんですか?」 うん、俺が大人気なかったよ、いろいろ登録してるの代えるの大変だろ」 「俺、なんかさ、ほんとにごめんな」 ワインを飲みながら ケーキを食べる上原を見る 「これプレゼント」 「時計?」 「スマートウォッチ?」 「マジで?」 「えー待って」 「これ」 上原もプレゼントを出した 「スマートウォッチ⁈」 「マジかよ!同じもの?あー、バンドが違うんだ」 「同じこと考えてたんですね」 「一緒の時間過ごしたいから」 「これからもずっと一緒にいて」 「田辺響輝になってよ」 「一生大切にするよ」 「はい」 「よろしくお願いします」

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