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再会?
涙が止めどなく流れる。
叶。叶。叶。
あれからずっと、ベッドの中で過ごしている。
叶がいない現実を受け止められず、逃避している。
その間に葬式も終わってしまった。
「肇様、いい加減に出てきてくだい。何も召し上がらず、このままでは肇様が倒れてしまいます」
別にどうでもいい。
むしろ、倒れたい。
あの世では、叶が待っていてくれるだろうか?
しばらく、ドアの向こうで執事がオレの返答を待っていたが、諦めたようでやがて気配はなくなった。
心配してくれるのはありがたい。
だけど、オレのことは、放っておいて欲しい。
叶のいない、この世に未練はないのだから。
「いつまでもメソメソして、バカじゃないっ!」
ん?
「さっさと気持ちを切り換えろよ! オメガなんか他に一杯いるだろっ!」
この声は……。
「あんたまで死んだらどうするんだよ! いくつも会社を束ねている社長だろ? 従業員が困ってるのわからない?」
がばりと起き上がり、声の主を凝視する。
「か、かなうっ!!」
そこには、叶がいた。
いつものそのままの姿。
眉間にシワを寄せて、穏やかじゃない表情を浮かべているのも、いつも通り。
松葉杖もないし、顔に怪我ひとつない。
「か、叶!!」
言いたいことは山ほどあるのに、名前を呼ぶことしかできない。
内側から溢れるもので、言葉が涙に変わってしまうから。
良かった。
また、叶と過ごせる。
神様、ありがとう。
叶、ありがとう。
「声をかけずにあっちの世界に行こうと思ったのに、あんたがいつまでもメソメソしているから」
は?
「心配でいつまでも成仏できない」
え?
「だから、俺のことは忘れて早く元気になれって言うために姿を現した」
意味がわからない。
その言いぶりじゃ、まるで幽霊みたいじゃないか。
まさか、まさか、あははは。
「俺の話を理解できてる? 」
叶がオレの目を覗きこんだ。
恥ずかしそうにポッと頬を染める。
「えっと、その……つまり、俺は幽霊ってこと」
!!!!!
マジかよ……
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