8 / 13
第8話
「何故逃げた」
いつも温厚で柔らかく笑ってる美景が低く這うような声で迫ってくる…気付けば逃げ場はなくなり客間であるこの部屋のベッドへ倒れ込んだ
「なぁ。何故だ?やましいことでもあるのか?」
「ないよ!ないけどさ!」
「じゃあ」
「だって!!美景が…綺麗な女性と…その時…き…」
「き?」
「綺麗な女性と!キスしてたから!!だから!!俺のことなんて…遊びだったんだって!そう…」
言い終わる前に美景に唇を塞がれた。深いキスを仕掛けられてジタバタともがく
次第に力が入らなくなる…そして緩く反応し始めた
「…九頭竜っ…」
「あ…ぅ…」
「可愛い…」
「んな!!こんなんで…こんなんで…誤魔化されないんだからな!!付き合ってすぐこんな…仕打ち…酷い!!やっぱり…やっぱり…特定なんて作らなきゃよかった!こんな惨めな思いをするなら!離してよ!」
これまで特定を作らなかった理由はこれだった。一人に固執すると傷付くときが来るのをわかってたから…初めて付き合った女に嫌というほど思い知らされたのに…それなのに…バカだった…
「してないよ。」
「へ?」
「キスなんてしてない。お前のいた場所からすればそう見えたかもしれないがしてない。なんならそいつに会わせてもいい」
「…」
「ねぇ。じゃあさ。九頭竜が一緒にいた男はなんなの?お前とやたらとベタベタと触ってたけど」
「あれは…昔のモデル仲間で…元々あんな奴なの。会う?」
「うん。その前に…我慢できない…もっと触らせて…」
「昨日散々したじゃん!無理!無理だよ!!」
「…じゃあ…夜…ゆっくりね…」
そういうと俺を起こしてくれて髪を鋤き口づけた
ともだちにシェアしよう!