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第10話
ことりの家を後にして近くの喫茶店に入り暫くして背の高いさっきの美人が現れた
「遅くなってごめんなさい」
サングラスを外した彼女はやはり綺麗で見入ってしまう
「初めましてかしらね?九頭竜くん」
「初めまして」
「彩さん取り合えず座って」
「えぇ。お邪魔します。彩芽です。ヘアメイクアーティストをしているの。…そんな警戒しないで。ごめんなさいね。何か不安にさせてしまったのでしょ?」
「はい」
「みーくんとはね、弟のあーくん…華陵院朝陽くん。分かる?」
「俳優の…」
「そうそう。あーくんを通して出会って今はビジネスパートナーなの。さっきまで仕事の打ち合わせをしてて駅前で別れたとこだったの。それでね。九頭竜くんが勘違いした件なんだけれど、このストールに落ち葉が挟まっちゃったみたいで取ってもらっていたの。美景くんもだけど私も背が高いから体制的にそう見えたのかもしれないわ。美景くんとは何もないの。もうね。呆れるくらいあなたののろけ話ばかりよ。こっちが照れちゃう。貴方はとても愛されているしみーくんが他に目移りするなんてあり得ないから安心してちょうだい」
「…はい」
「まだ信じられない?」
「…」
無言でいると彩さんが身を乗り出し長い指で俺の顎を掬い耳元に唇を寄せた
「九頭竜…お前がそのつもりなら俺も遠慮しないよ。美景は俺がもらってもいい?」
腹の奥が疼くような低い声…先程とは違う男らしい艶がある表情…思わず息を飲んだ
「いい?」
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