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第4話
「おはよう!」
「おはようございます!」
元気ありありな挨拶をしてくれた奏さんに負けないくらい明るく挨拶を返す。
昨日話したときに、勉強を教えてくれる代わりに毎朝奏さんに守ってほしいと言われたので、即答でオッケーを出した。ちょっと心配で気がかりだったからこの提案は渡りに船だった。勉強も教えてもらえるしね!
一応電車でも隅っこの方を確保できたので、隅の方に奏さんに移動してもらった。
雑談をしながら周りを警戒する。流石にこの並びだったら痴漢も触ってこないと思うよ、と苦笑されたが警戒するに越したことは無いでしょう?と返した。
「奏さんすごくかわいいし」
「えっ!?」
しまった、心の声が出てた……。奏さんが下を向く。気分を害してしまったかな。
「すみません、俺……」
「べっ別に大丈夫っ!!……この子さらっと爽やかに言い切ったよ、ヤバい」
「?」
後半部分はさらっとくらいしか聞き取れなかった。さらざ○んまい好きなのかな?
ちなみに聞いたら知ってました。暫く二人の警官の歌とダンスの話題で盛り上がったよ。あれ面白いよね。
こうして楽しく無事に登校出来た俺と奏さん。
だが、俺にはこのあと怖い展開が待っていたのだった……。
「なんでトオルは生徒会長とあんなに親しげなの?」
席につくなり、机をバーンと叩きながらカオちゃんが聞いてきた。手大丈夫かな?
「かっカオちゃん、手痛くない?」
「うーん、心配してくれる透くんまじすこ!!私なら大丈夫!!」
片手を親指立てて、ニカッと笑うカオちゃん。どうやら大丈夫そうだと思ってたら、カオちゃんの頭に綺麗に手刀が打ち込まれた。コウの仕業だ。うん、これは絶対痛いやつ。
「それより。なぁ、なんで?」
「あぁ、えっと……」
昨日話した痴漢から助けたお礼に学食で奢ってもらったり相談させてもらったこと、また痴漢から守るために登校を一緒にすることを話した。ちなみに相談内容は流石に伏せた。あと勉強を教えてもらうのも。コウの申し出を断っちゃってるからね。
「というか奏さん生徒会長だったんだ」
「うん、昨日誰か調べたときに分かったんだ!」
確か俺らの入学式のときは生徒会長が欠席で代理で副会長が祝辞を読んでたんだよね。
そうか、生徒会長だったんだ。それは頭も良いし性格も良いわけだよ。納得。
一人でうんうん頷いていると、チャイムがなった。もう授業始まるのか。
「あんなに背後ブリザード飛んでるのによく平気だよね、佐野川くん」
「いつもあの子は気づいてないよ、あんなに怖いのに。前原くんと花宮さん」
とまぁこんな感じの会話が周りの人で繰り広げられていたことには俺は気づいていなかった。
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