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24 もっとしたい

 シャワーを浴び、ラフな部屋着姿となって戻ってきたラグレイドは優しかった。  ベッドに腰掛け、俺をそっと抱き締めると、中途半端に脱げかけたシャツを脱がせてくれる。パンツもおなじようにとても優しく脱がせてくれた。  ただ、その呼吸はこちらがちょっと戸惑うくらいに荒かった。触れる体もすごく熱くて、なんだか心配になるくらいだ。  大きな両手に肩を押され、俺はゆっくりと押し倒された。  獣人の身体をいつも以上に大きく感じた。微かな石鹸の匂いにまじって、ラグレイドの肌の匂いを強く感じる。健康的な雄の匂いだと思った。  濡れて乱れる前髪の隙間から、俺を見つめる真剣な金色の瞳があった。 「シオ......、さわるよ」  引き返せない。  俺はごくりと唾を飲んだ。  昏い艶めきを宿した美しい双眸に、じっと捕えられている。     まずは深いキスをされた。  互いの前髪が触れ合って、相手の体熱を全身で感じる。  絡まってくる肉厚な舌に口腔内をくまなく侵され、息継ぎのタイミングが分らなくなった。溺れるような呼吸になる。  髪を撫でられ、耳や頬に触れられた。それから熱い手のひらは、俺の肩や腕や胸へと移動する。まるで存在を確かめるかのように触れて撫でてゆく。  途中ラグレイドは自らのシャツをがばりと脱いで、上半身を裸になった。そうして改めて俺の上に覆いかぶさってくる。  肌と肌が直接触れ合うと、気持ちが良くて溜め息が出た。  相手の身体の重みを感じる。  深く交わる舌の粘膜を通して、熱や呼吸が直に伝わる。熱にまじって俺の身体に入ってくるのは、ラグレイドの強い魔力だ。 「......っ......んッ」  ラグレイドの魔力はとても蠱惑的なんだ。  瞬く間に俺の内部に沁み渡って、容赦なく揺さぶりをかけてくる。眠っていた熱に力を与える。抑え込み、圧縮されていた欲望に、甘く激しい刺激を与える。  もっと。  もっといっぱい与えて。擦れ合いたい。重なり合いたい。混じり合いたい。  俺はラグレイドの体に全身をすり寄せ、その首に両腕を絡めて、さらなる深いキスをねだった。  噛み付くみたいに舌を絡めて。いっぱいいっぱい舐めて吸って、触ってこすって摘んでほしい。  二人分の乱れた呼吸は、すぐに掠れた喘ぎとなった。ベッドは時折ひどく軋んだ。  俺はラグレイドの手で、立て続けに2度イった。  熱心に前を舐められ、後ろの入り口を、円を描くように撫でられると、腰がビクビク激しく跳ねた。  身を捩って、無意識に絶頂から逃げ出そうにも、ラグレイドの太い腕は俺の腰をがっちり掴んで、わずかでも逃げ出すことを許さなかった。  指を挿れられることには、まだあまり慣れていない。だけど、ラグレイドの指が奥深くまで入ってくるから、 「んっ、んっ、んっ」  俺は耐え切れず声を洩らした。  粘液のヌメリを借り、ゆっくりと抜き差しを繰り返されると、気持ちが良くて堪らなかった。動きに合わせてどうしても声が上がってしまう。 「......シオ、すごい、濡れているね......」  吐息まじりの囁きのあと、もう一度、充血した中心部に吸い付かれた。ラグレイドの舌が絡み付くように蠢いて、離れない。 「んあぁぁ............ッ!」    快楽に負けて、俺はあっさりと3度目の精を溢れ出させていた。  さすがに、休憩を挟まない3度の吐精は息が切れた。疲労で目を開けていられない。  ぐったりと力を抜く俺の中から、ラグレイドの指がそっと引き抜かれてゆく。 「シオ、疲れただろう。いま、冷たい水を持ってくるから」  気が付くと、俺の身体をタオルで拭ってくれていたはずの、ラグレイドの身体が近くになかった。  さっきまで触れていたはずなのに。手が、体温が、そこになかった。 「......ラグっ」  俺は慌てて身を起こした。眩暈がひどい。  猛烈な喪失感と、戦慄するほどの欠乏感にゾッとして、息が詰まった。周りがなにも見えなくなった。 「ラグッ!! イヤだっ! もっとがいいっ、もっとしたいっ」  ベッドから転がり落ちるようにして、ラグレイドの身体に追い縋った。  一瞬でも離れているのが嫌だった。  一緒にいたいと心が叫ぶ。離れないでと体が叫ぶ。  もっといっぱい触れ合って、すぐ傍にいて、同じ時間を過ごしてほしい。 「行ったらいやだ......っ」  泣きながらしがみつくと、ラグレイドは慌てたように俺を抱え起こし、そうしてぎゅうっと腕の中に抱かえ込んでくれた。  ............大丈夫だ。どこにも行かない。  早鐘のような鼓動が聞こえた。  呼吸も荒い。抱き締めてくる腕の力がとても強くて、少し苦しいような気がする。  グウウぅぅぅ......。  耳元で、不穏に呻く声が聞こえた。  ラグレイドだ。  ラグレイドは今、普通でない状態なのかもしれない。  様子を見たいと思ったけれど、獣人騎士は俺の髪にきつく顔を埋めていて、どんな様相なのかは分からなかった。ただ、苦しそうだ。   (......これ以上、したら......)  小さく呟く声がした。 (俺はきっと、シオを滅茶苦茶にしてしまう)    ハッとして、俺はぶんぶんと首を振った。  ラグレイドは優しいから、絶対に俺を滅茶苦茶になんかしやしない。それに俺は丈夫だから、ちょっとくらい滅茶苦茶にされたって平気だよ。  ラグレイドが、さっきからソコをはち切れそうなくらいに腫らしていて、興奮していることは分かっている。  もっとがいい。  もっと一緒に触れていたい。一緒に、乱れてほしい。  俺は獣人青年の膨らんだそこに、そっと指先で触れてみた。  とても硬くて熱っぽかった。  これを使って。もっと俺を求めてほしい。 「俺といっぱい、気持ち良いの、しよ......?」    

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