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25 どうして身体は

 ラグレイドに抱えられて、俺は再びベッドへ戻った。  そうしてふかふかのシーツの上に寝かされた。と思ったら、すぐに貪るようなキスが降った。せわしない手のひらが、髪や肌をまさぐるようにして撫でる。  ラグレイドが下衣を脱ぐと、そこにはそそり立つ立派な男根があらわれた。男らしくて野性味のある剛直だ。  身体中を愛撫されながら、時おりそれが俺の身体に擦れるようにして触れてきて、固さや熱を強く意識させられる。  俺の身体でこんなにも反応しているのだ、と思うと、嬉しいような気持ちになる。だけど、これからこの逸物と交わるのだと考えると、少し怖いような気もした。 「んっ」  胸の突起を舐め吸われたら、身体がびくびくと波打った。  俺は最近乳首が弱い。ラグレイドがいっぱいいじるからだ。前はこんなんじゃなかった。  俺の小さな乳首は若干腫れて、紅く尖ってしまっている。それを唾液を絡ませた大きな舌で転がされると、反応してしまうに決まっている。今は発情しているせいか、何度かイッた後だというのに、強烈な快感の波にまた襲われる。  そうされながら、いつの間にか脚を開かされていた。指が挿入ってきて動かされると、身体はすぐに気持ち良さでいっぱいになって、勝手に腰が蠢いてしまう。 「シオ、もう少し、開いて」     気持ち良くされることに夢中になっていたら、ラグレイドの苦しげな声がした。  見上げると、汗を滴らせた獣人青年の、真剣に思い詰める顔があった。  両脚はすでに、これ以上ないくらいに開げられている。  膝を立てて広げた脚を、さらに大きく押し広げられて、こんなあられもない姿はさすがに不安だと思ったけれど、ラグレイドの身体にがっちりと固定されていた。  そそり立つソレは、はち切れんばかりの状態で、俺の敏感な入り口に、その切っ先を向けていた。 「......入れるから、力を、抜いて」  怒張が俺の中に押し入ろうとしている。滑りにまかせ、狭いソコを強引に押し広げるようにして、力強く熱が入り込んでくる。  思っていたのよりも、それはずっと大きくて。  俺は思わずぎゅっと目を閉じた。 「......シ、オ、」  いつの間にか、身体はガチガチに緊張していたようだった。  目じりや頬に、すごくやさしいキスをされて、知らずにつぶっていた目を見開くと、そこには気遣わしげに見つめてくる瞳があった。  「辛いか?」と、辛そうに聞いてくるので、俺は緩慢に首を振った。  指先で額の汗を拭うようにして髪を梳かれ、唇を重ねられる。やさしい、とろけるように甘いキスだった。  俺を労わるようにして、甘く啄ばむように繰り返される口付けに、ほっとして少しため息が漏れた。  初めてのことで、俺はやはり身体が少し辛かったけれど、もしかしたら、ラグレイドにとっても酷な状態だったのかもしれない。  汗がぽたぽたといっぱい落ちて、震えるような呼吸をしている。とても熱い体で、苦しげに眉根を寄せている。  なのに、キスはとても甘くて、たぶんものすごく我慢している。  ............アツイ............。  己の身体の内側に、自分のものでない灼熱がある。  それは隘路を押し広げ、動きを止めて、だけど確実に、俺の中で脈打っている。  ラグレイドの身体の圧倒的な存在を感じた。受け止めきれない重みや、狂わされそうな匂いや、肌や筋肉の質感や、黒い髪の美しさや、存在のすべてが、己の身にありありと感じられた。 「う、ぁ、あ、......ラグ......」  俺はたまらずラグレイドの身体にしがみ付いて、ぶるりと身体を震わせた。  繋がっている。  目の前にいるこの大きな存在と、最も敏感な部分で結び付いている。  身体が喜んでいるのが分かる。  怒涛のように襲いくる快感に飲まれた。  身体がのけ反る。求めるままに舌を絡め、呼吸は喘ぐようなものに変わった。唾液が頬を伝い落ちて、熱くてたまらない。もっと欲しい。  ぐう、うう、ううぅゥゥゥ......  再び目の前の身体から、呻くような声がして、それまで重なっていた唇が離れた。どうしたのかと、霞む目で見上げようとしたのだけれど、 「......ッ」  視界がぶれて、妙な具合に呼吸が途切れた。   身体の、さらに奥深い場所へと、一気に押し入られていた。  呼吸の仕方を忘れてしまいそうだった。目の前をチカチカと白い光りが明滅している。  そうしてそのまま、俺は大きく揺さぶられ始めた。  もうそこからは、何が何だか分からなかった。  泣き叫んだ気がするし、悲鳴のような喘ぎを上げたような気もする。  激しい交わりは凶暴な快感を伴って、肉体を苦しめるものなのかもしれない。追いつかない身体は滅茶苦茶に、焼き切れたようになるのだな。  俺は汗や涎や、その他いろいろな体液にまみれて、ラグレイドの腕にしっかりと抱き留められたまま、ひたすら快楽を貪らされた。  縋る場所を求めて空を掻いた手は、指を絡めて固く繋ぎ留められた。  そうしながらも、時折ラグレイドから、とても綺麗な瞳でじっと見つめられる瞬間があった。  俺は後半何も考えられなくなって、「きもちいい」しか言えなくなっていたけれど、その瞳があんまり綺麗で、揺れながら何度も見蕩れていたような気がする。  そうするとそのたびに、苦しげに、愛しげに、縋るように名前を呼ばれた。  そうして何度も繰り返し繰り返し、「愛している」と言われた気がする。    ふたりで繋がったまま、終わりのない揺れに身体を翻弄されていると、嬉しくて、泣きたいような気持ちになった。  どうして身体はこんなふうに、ひたすらにすき間なく繋がって、気持ち良くなるようにできているんだろう。    

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