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第11話
散々泣いて乱れたラファエルが4度目の絶頂を迎えて気を失うと、魔族はそっと2階の突き当りの部屋に向かった。
天蓋付きの大きなベッドに、ラファエルの兄が眠っている。
彼に会うのはずいぶんと久しぶりだ。
「ほら、薬だ」
小さなクリスタルの瓶からほんの一滴、魔族は兄の口元に何かを垂らした。
唇に受けたその刺激に、兄が目を開いた。
焦点の合わない目で兄は魔族の姿を探す。
どうにか身を起こそうともがくが、枕からほんの数センチ上がったところでまた首が落ちてしまう。
「お前、よくも俺をこんな目に遭わせたな?」
「何をいう。起き上がれるまでに回復しただろう?」
3ヵ月前までまったく寝たきりだった彼が、今では起き上がれるようになったのは事実だ。
「お前がこんな病にさせて、回復させたもないだろう」
恨みがましい眼で睨んでも、魔族は涼しげに微笑むだけだ。
「そうだったか?」
彼は冷たく答えて、長く伸びた爪の先で兄の痩せた頬をなぞった。
「これ以上の回復などしないが、しもべでいる限りは生かしておいてやる」
「こんな約束じゃ、なかったはずだ」
「自分よりも賢く美しい弟が目障りだと言ったのはお前だろう?」
「俺は…、ただ、俺の目の前から消してくれと言ったはずだ」
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