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10.
「祭りの金魚だから、普通のと比べたら寿命は短いかもしれないけど」
「…うん」
呟くように語る藤堂は、珍しく真剣で。つられてこちらも神妙に頷く。
間に流れるおかしな空気。何か別の話題を考えなければ、と隣を見て固まった。
「………なに」
立てた膝に頬杖をつく彼が、こちらを凝視している。短く問えば、ゆっくりと口を開いた。
「…コンタクト、しねえの?」
「あぁ…まあ。別に、眼鏡でも不自由ないから」
激しいスポーツとは無縁。勉強ばかりの自分には不要だ。焼きそばを咀嚼しながら告げれば、伸びてくる指。
繊細そうな線を描く細さが意外だ、と何処か他人事のようにぼんやり眺めて。
「……ふは。可愛い顔してんじゃん」
吹き出す彼の顔は、ぼんやりしていてよく見えない。不明瞭な視界のなか、揺れる金髪が光った。
「お前こそ。金髪やめれば良いのに」
「へえ…」
驚いたような声。どうせ隣を向いたって表情なんか分かりっこない。早く眼鏡を返してくれと願いながら、ひたすら無心で箸を口に運んだ。
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