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「……藤堂くんのことが、好きです。私とお付き合いしてくれませんか?」 投げかけられた言葉は僕の予想通りだった。そうくるだろうな、と思っていても何故か胸がズキズキと痛みを訴える。 認めたくない。この痛みを認めてしまったら、それは――― 唇を噛む僕の耳に届いた返事。 「悪いけど、好きな奴が居る」 微かに聞こえていた喧騒も、鳥の鳴き声も。全てが遠くなる。すぐそこに立っている藤堂が、知らない誰かのように感じて。黒髪も相まって、さながら別人だ。 「……そっ、か…友達、にはなってくれる…?」 「ん…まあ」 よろしくね、と痛みを堪えた顔で笑って女子生徒は去って行った。 友達。 自分と藤堂は、果たして友達なのだろうか。 スタートラインにも立てていない状況に、抱くのは焦燥感。 (…スタートライン?) 何の? 目を瞑ると、浮かぶのはこれまでの日々。確かめるように、ひとつずつ。いつしか大切な存在になっていたその宝物は―――… パチンと泡が弾ける。 (………すき、だ) 嫌いで仕方が無いと思い込まなければいけないほど、惹かれていた。いつの間にか好きになっていた。 抜けるような青空を見上げて自覚した、生まれたばかりの初恋は―――行き場をなくして萎むしかなかった。

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