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ところ変わって、教室。ホームルームを任された僕はひとつ咳払いをした。 「じゃあ、文化祭の実行委員を決めます」 ぐるりと見渡せば、嫌でも視界に入る藤堂。金髪が目を引くことはなくなれど、その容姿は変わらない。まるで興味がなさそうに窓の外を眺めている。 「やりたい人?」 申し訳なさそうに俯く女子、目線を合わせまいと必死な男子。気づかれぬように小さくため息を吐いて、[委員長]の文字の下に[正木 司乃]を書き込む。やや遅れて起こるまばらな拍手。ここまでは予想済みだ。 「副委員は―――…」 想定外。その一言に尽きる。 募る言葉を発しながら振り返れば。すっと伸ばされた手を辿って、見間違いかと瞬いた。 「あ……ええと、質問?」 これまでの工程に疑問があったのかと、そう思ってしまうほどには躊躇いがない様子で。それでいて不機嫌そうな表情の主、藤堂が口を開いた。 「…何。役不足?」 「いや……」 ほら見ろ。鳩が豆鉄砲を食らった顔をしてる周りの人間を。 口から出かかった言葉を飲み込んで、異論が無いか確認する。 「他に候補が居なければ…」 [委員長] 正木 司乃 [副委員] 藤堂 悠真 こうして、文化祭の準備が幕を開けた。

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