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27.

夕暮れ。後夜祭のキャンプファイヤーが校庭の真ん中で炊かれているのを屋上から眺める。 隣には当たり前のように藤堂が居て。 今日の演劇でまた女子のファンを増やしてしまったこいつを少し憎く思う。 (人の気も知らないで……) まあ言い方は悪いが横取りしてまで演じたかった王子だ。完成度も高かったことだし、少しは褒めてやろうと口を開く。 「王子、似合ってた。…悔しいけど」 「惚れ直した?」 「…はあ?」 間髪入れずに返ってきた浮かれ言葉を一刀両断し、思い切り胡乱な目を向けてやれば、おー怖いと肩をすくめる。 だいたい、きちんとした告白もしていないくせに何が"惚れ直した?"だ。つけあがるのも大概にしろ。 「あーあ、いい所は全部持って行かれたなー」 「何だよ。お前だって王子に仕立て上げられただろ」 「一瞬だけ。それも眼鏡が必須アイテムの王子様」 治まらない嫉妬を持て余し、皮肉で返してやれば黙り込む藤堂。少しいじめすぎたかと、本音を混ぜることにした。 「…眼鏡はさ。見えないから掛けてなきゃいけないのも勿論あるけど」 「ん?」 「外した顔は、お前だけが知ってればいいかなって」 「は……」 いつだったか、可愛いと褒められたことがある。自分ではそう思わないし、こいつが言うならあまり見せびらかすのも控えようと。 それきり絶句してしまった彼を前に、気分は回復上昇だ。ところがこの後、さらなる反撃を食らうことになるとは想像もしていなかった。

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