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学園生活9

†  †  †  † 『それではただいまより、今年度第一回目の生徒総会を開催致します』 生徒全員参加の生徒総会当日。 講堂の壇上に立っている眼鏡をかけた人物が、マイクを片手に総会開始の宣言をした。 あとから聞いた話によると、彼はどうやら生徒総会における議長らしい。 早い話が司会&進行係だ。 この学校は、生徒による生徒の為の会議、『生徒総会』というものが存在している。 教師は一切口を挟めず、全てが生徒のみで行われる総会。 そして、ここで可決された案件が、生徒会を通じて理事長に直訴されるらしい。 生徒の意見が学校運営や方針に関われるなんて、普通では考えられない事だけど、すごく良い事だと思う。 初めての出来事に期待をしながら講堂内で整列して座っていると、前の椅子に座っている薫が満面の笑顔で振り向いてきた。 「ねぇねぇ、深君って生徒会長見た事ある?」 「生徒会長?…いや、見るのは今日が初めてだけど」 「そうか~、たぶん驚くよ」 「何が?」 「その人気に」 「人気があるんだ?」 「目の保養ができるよ~」 薫は嬉しそうにニコニコ笑っている。 男子校で人気があるってどうなんだ?と以前なら思っていたかもしれないけど、今ならその気持ちが少しはわかる。 同性から見ても格好良いと思えるような人物が、この学校にはたくさんいるんだ。これはもうしょうがない。 憧れ…とでもいうのだろうか。 そんなに人気のあるという生徒会長が一体どんな人物なのか、物凄く楽しみだ。期待が膨らむ。 その時、前方の列に座っている生徒の間から歓声が湧き起こった。 「来たみたいだよ、生徒会が」 こっちに話しかけながらも、薫の視線は前方を向いたまま固定されている。 それにつられて、壇上にあがる階段付近へ視線を向けると、数人の生徒が視界に入ってきた。彼らが噂の生徒会か。 横からの姿を見た限りだと、全員長身でスタイルが良い。 ゴシック調の制服が、まるで彼らの為に誂えられたかのように似合っている。 そして、生徒会役員の5人が全て壇上にあがり、生徒の並ぶ講堂を見渡すように立ち並んだ。 ………え…? 「……真藤……。ちょっと聞いていい?」 「ん?」 「あの一番先頭にいる人、…ダレデスカ…」 「誰って…生徒会長の事か?」 「……嘘、だろ…?」 隣に座っている真藤から返ってきた答えに、もはや茫然自失。 俺の意識と視線は、その生徒会長に釘付けとなった。 「では、生徒会長。挨拶をお願いします」 議長からマイクを向けられ、他の生徒会役員よりも一歩前に出た会長が会釈と共に挨拶をはじめる。 「一年生とは入学式以来初めて顔を合わせますね。生徒会長の鷹宮京介(たかみやきょうすけ)です」 それと同時に湧き起こる歓声と拍手。 確かに凄い人気だ。外見はともかく、中身はあんなに変わった人なのに…。 そう、生徒会長として壇上に立っていたのは、編入初日に秋を訪ねて来た変人…、もとい、鷹宮さんだった。 もしかして、この前秋が『生徒会とは関わらないように』と言っていたのは、鷹宮さんの事も含まれて…、というより、鷹宮さんには近づくな…という事だったんだろうな。うん、納得した。 疲れ果ててしまった先日のやりとりを思い出して、溜息が出てしまう。 あの人が生徒会長って…大丈夫か…? この学園の行く末に不安を抱きながら壇上の鷹宮さんを見ると、 …え…。 なぜかその本人と思いっきり視線が絡み合ってしまった。ような気がする。 結構な距離があるこの状態で視線が合うなんて、ありえないよな。…うん、ありえないありえない。 気のせいだと視線を外そうとした時、今度は嫌味なほど様になっているウインクを返されてしまった。 気のせいじゃなかったらしい。どれだけ目がいいんだよあの人。っていうか、なんで俺に? そして俺が脱力している間に、周囲では恐ろしい光景が繰り広げられていた。 「今の僕に!?」 「違うだろ!俺だよっ」 「何言ってんの?お前ら生徒会長と話した事もないくせに!」 罪作りですね、鷹宮さん…。 修羅場と化している一般生徒達とは裏腹に、壇上にいる鷹宮さん本人は優雅に微笑んでいる。 それはまさしく『台風の目』 そこだけ晴天で、周りは嵐に吹きすさんでいるという…。

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