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学園生活18

†  †  †  † 宮原との図書室の件から数日が経った昼休み。 あれから特に問題が起きることもなく、ようやく平和な日常を取り戻しつつある現在。 いつものように、真藤と薫と一緒に食堂に来ていた。 ここのメニューは本当に毎日どれも美味しくて、食べ盛りの高校生男子にしてみれば、授業の間のこれが唯一の楽しみと言ってもいいくらいだ。 それなのに、俺の毎食の楽しみを邪魔する輩が一匹。 「あ~~っ!深君また野菜ばっかり~」 「…薫…。毎日毎日毎日毎日、よくも飽きずに同じ事が言えるな…」 さすがに聞き飽きたよ。 それとも何か?こう毎日言い聞かせて洗脳でもする気か? 本当にそうとしか思えなくなってきた今日この頃。 うんざりしている俺とは裏腹に、薫はこれを言う事が自分の使命だとばかりに瞳を燃え立たせている。 その時、 「野菜ばっかり食べてる天原より、満遍なく色々と食べてる宮本の方が体が小さいっていうのも…複雑だな…」 パスタをフォークにからめながら何気なく真藤が呟いた。 思わず食事の手を止めて隣に座っている真藤を見ると、その口元に薄っすらと笑みが浮かんでいるのがわかる。 絶対にワザとだ。 勇気というか無謀というか…。 なかば尊敬しながらその姿を眺めたけれど、案の定、向かい側からブリザードのような凍えたオーラが漂ってきてしまえば、そんなのんきな事は思っていられない。 正面にいる薫が、ハンバーグ用のナイフを手にキラリと光らせてニコニコ微笑んでいる。 …怖っ。 スーっと視線を逸らして関係ない振りをしながら、とりあえずコーヒーを飲む。 自分のトレーを持って何処かに避難したほうがいいかもしれない…と密かに考えている俺の耳に、突然それは聞こえてきた。 何やらざわざわとした声。 食堂の入り口付近からだ。 真藤と薫も、そのざわめきに気をとられて一時休戦し、入り口付近に視線を送る。 二人につられて同じように視線を向けた瞬間…。 「ゴホッ」 飲んでいたコーヒーが気管に入って思いっきり咽た。 …いつもは生徒会室で食べてるって聞いてたのに…。 食堂に姿を現したのは、普段はもっぱら生徒会室で食事をとっているという生徒会役員ご一行様だった。 誰か1人ならともかく、全員揃っているというのが、またざわめきの原因にもなっているのだろう。 一気に浮き足立つ食堂内とは裏腹に、俺は俯いて忍者モードに突入。 目立たないように…、見つからないように…。目が合ったら最後だ。気配を消すんだ。 「こんにちは、深君」 「…………はい、…こんにちは……」 …やっぱり偽忍者はダメか…。 願いも虚しく、真横に立った聞き覚えのある声の持ち主に普通に挨拶をされてしまった。 諦めて顔を上げると、麗しき鷹宮生徒会長様がニコニコと笑顔で立っている。その背後には生徒会役員の皆様も勢ぞろい。 俺を嫉妬の炎で焼き尽くすつもりかよ…。 周囲から寄せられる恨みがましい視線がビシビシと体中に突き刺さる。 おまけに、俺は珍獣か何かか?と言いたいくらいに、鷹宮さん以外の生徒会役員から興味津々の眼差しで凝視される始末。いろんな視線が痛い。 「な…んですか?」 「ん?何が?」 「いえ、話しかけられたので何かあるのかと思って」 「声が聞きたかっただけだよ」 「…はぁ…、そうですか」 早く話を済ませて早くこの状況から抜け出したい。 そんな俺の思いは全く伝わっていないのか、相変わらずマイペースな鷹宮さんに毒気を抜かれる。 そんなどうでもいい会話をしている俺達とは裏腹に、気付くと何故か周りの役員達が驚いたような表情を浮かべていた。 なんだ…? 穴があくほど見つめられたり驚かれたり…、意味がわからない。 生徒会役員の人達を眺めてそんな疑問をもった時、その中の一人が鷹宮さんの肩に手を置いて隣に並んだ。 僅かにタレ目がちの瞳に吊り上った眉と、無造作に散らされたブラウンの髪。 鷹宮さんと負けず劣らずの高身長と華やかな雰囲気で、強い存在感を放っている。 その甘い眼差しで鷹宮さんと俺を交互に眺め、楽しそうに口を開いた。 「京介の知り合い?こういう反応、今までに無い珍しいタイプだな」 その言い方と声色には、自分の方が上だという思い、そしてその立場に慣れきった者特有の傲慢さが見え隠れしている。 初対面にも関わらず不躾な態度に腹が立ってきた。 自然と目付きも剣呑となってしまう。

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