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monologue

月城学園での最終学年となる高等部三年。 秋と鷹宮さん、そして夏川先輩もいない日常は、始まってみればどこか物足りない…刺激の少ない時間となった。 それでも日々の流れは止まらず、まるで通り抜ける風のようにあっという間に過ぎていく。 生徒会長としての責務や進学の事も考えると、そう悠長な事も言っていられない。 おまけに、邪魔者がいなくなったとばかりに宮原がちょっかいをかけてくる。 「いい加減にしろ!」と怒っても、実際はそんな宮原の存在にかなり助けられていたのも事実だ。 あまりに俺の周りに出没するせいか、気づけば何故か薫と宮原が仲良くなっていた事は予想外だった。 そして時は流れ、俺達三年生が卒業を目前に控えた2月のある日。それは起きた。 一生忘れる事は出来ない。今まで生きてきた中で、いちばん哀しい出来事。 夢であればいいと、時間を戻してくれと、それまで信じてもいなかった神様に向かって馬鹿みたいに願ったのは、たぶん、後にも先にも、この時だけだったと思う。 過ぎ去っていく一分一秒が、本当はとても大切なものだったと、この時に気付かされたんだ…。

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