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最終章~それぞれの旅立ち~4
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葬儀の時の事を思い返しても、まだ現実味がわかない。
記憶や感情が、どこか麻痺してしまったような妙な感覚。
心の中の虚無感を深い溜息と共に吐き出して、またパソコンに向きなおった。
【宮原の事は一生忘れない。忘れられない。アイツには、感謝してもし足りないくらい助けられたから…。…今度、秋が日本に戻ってきたら、一緒に墓参りに行こう。約束だからな。…それじゃ、おやすみ】
最後の文字を入力して、送信ボタンをクリックする。
送信完了の画面に移り変わった事を確認してから、静かにパソコンを閉じた。
光源であるディスプレイが閉ざされた事により、部屋の中に暗闇が戻る。
ギュッと固く目を閉じると、目尻に残っていた雫がゆっくりと頬を伝い落ちた。
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