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~Epilogue~
side:・・・
「あぁ、やっと見つけた。こんな所にいたのか。…向こうに行かなくていいのかよ」
早咲きの桜の木に寄りかかって、講堂の入口前で黒崎との再会を喜ぶ天原を眺めているところにかけられた馴染みのある声。
振り向いた先に立っていたのは、卒業証書の入った筒で手の平を叩きながら歩み寄ってくる友人の姿。
本性の男らしさを微塵も感じさせないその甘い容姿は、桜と妙に似合っている。
「アイツとは今夜会う事になってるだろ」
「そうだけどさ…、いいのか?お前の気持ちを告げなくても…」
「………何の話だ?」
「…お前がいいならいいけどね、俺は」
そう呟くように言った友人は、何も言わず隣に並び立って同じように講堂前の騒動を眺めている。
その顔は優しい笑顔に溢れている半面、どこか寂しそうに見えた。
「お前は天原の所に行かないのか?」
「今夜会う事になってるだろ」
さっきの俺の言葉を真似た返答に、クッと喉奥で笑いを噛み殺す。
「大学に行ったら、猫ッ被りはやめるのか?」
「あぁ…。背も伸びてきた事だし、そろそろ似合わなくなってきてるしな」
「まったくだ」
言いながらチラリと横に視線を流すと、肩を竦めて笑う姿があった。
暫くお互いに黙ったまま、離れた所にいる友人たちの姿を眺める。
不意に、横に立つ相手が言葉を発した。
「しょうがないから、あいつらが医師の手助けが必要になった時の為に、早く医師免許をとって経験値を増やしておくか」
目を伏せて口元に笑みを湛えたまま呟いたその言葉に、顎を引くだけの頷きを返す。
「それなら俺は、あいつらが困った時に助けてやれるように、国際弁護士の資格を早く取れるように頑張るしかないな」
俺の言葉に、顔を上げた相手はニヤリとした笑みを向けてきた。
お互いにフッと笑い合い、そして視線をまた講堂へ向ける。
その時、人混みの中から、黒崎に腕を引っ張られて走り出した天原の姿が見えた。
顔には溢れる程の笑顔。この二年弱の間で見た笑顔の中で、いちばん幸せそうに見える。
アイツが幸せであるなら、それでいい。俺のこの想いは、告げる必要のないものだ。
断ち切るように一瞬だけ目を閉じたあと、隣に立つ友人に視線を戻した。
「…って事で、感傷に浸るのはお終いだ。俺達も帰るぞ、宮本」
「あぁ、今夜が楽しみだな。要」
既に猫を被る事をやめている素の言動に思わず笑いをこぼし、桜の花弁が舞い散る中、ゆっくりと足を踏み出した。
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月城学園本編、これにて完結でございます!
お付き合い下さった皆様、本当にありがとうございました!
この後の事ですが、途中で書ききれなかったエピソードを番外編としてアップしていきます
その後、未来編の番外編をいくつかアップし、スピンオフへと繋がります
スピンオフでは、大人になった深が登場致します
できれば読んで頂きたいです!とある人物のお話です
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