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7《綺麗なひと》

「あれ?ルードは?」 洗いものを片づけてアキラが戻って来る。 「帰った」 短く答えるヨシ。 「そっか…」 少し残念な気持ちを抱いて呟くアキラ。 2人の会話も気になったが… 「……」 「怒ってんのか?」 口数の減っているヨシに、まさかと思いながらも聞いてみるアキラ。 「べーつにィ、お前ならあのくらい誰とでもしそうだもんな」 「んだと、んなわけねーだろ、ルードから仕掛けてきたんだよ」 「どーだか尻軽」 「……っ」 「そう思われなくねぇなら軽々と奪われんじゃねぇよばーか」 アキラの頭を撫でるように触れ、そう付け足す。 「バカじゃない」 むすっとしたままアキラは言い返す。 「じゃぁなんだ、BOUSでもすぐやられてたくせに」 BOUSとはお互い在籍していたBLAV会社だ。アキラは受専門で誰でもヤれる奴とウワサされるほど… 「仕方ねぇだろ…力で来られたら太刀打ちできねぇんだから…好きでヤられてたワケじゃない」 俯いて少し悔しそうな表情を見せ言い返すアキラ… 「……」 言葉に詰まるヨシ… 「お前にだってそうだよ」 「む…」 「好きでヤられてたわけじゃ…」 「分かってる、抱けば気があるかないかくらい分からぁ…」 あの頃は確実に嫌われてた… みなまで言わせずヨシが割り込んで言う。 「つか、BOUSん時なんでオレ、目の敵みたいになってたんだ?」 「…それは…、お前が…綺麗すぎたから」 ぽそっと答えるヨシ。 「は?んなん生まれつきなんだから…」 「ちげーよ、その綺麗じゃねぇ、顔も身体も傷ひとつついてなかったろ」 「……」 「ケガしてなかっただろ…みずきだっていつも顔とか殴られた跡つくってたし…オレもガキの頃はケガしない日はなかった、なのにお前は傷一つなくて、キレイなままで…無性に腹立って…傷付けてやりたい衝動にかられた…」 殴られた痛みなんかひとつも知らないようなキレイなお前に腹が立って、殴られる苦しみを味あわせたかった。

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