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第15話
「マ、ジ、で、信じらんねーだろ!!」
ダンッとテーブルを両手で叩き、美親に訴える伊織に対し、
「What are you angry ?」
素知らぬ顔でカフェラテを飲むダニエル。
「Haaaaaa !?」
ダニエルの態度が伊織の怒りに油を注ぐ。
「落ち着いてイオ!ここお店!!And Dan, you zip」
美親は伊織をなだめながら、ダニエルを窘める。
渋々な表情の伊織と、肩を竦め"僕は悪くないよ"といった表情のダニエル。
二人を見て、美親は思わずため息をついた。
ズボンを着替えた美親が戻ると、ちょうど伊織とダニエルが店から出てきたところだった。
べったりくっ付いてるのに、不機嫌オーラを全面に出してる伊織。
それに対してダニエルは、ご機嫌すぎて鼻歌混じり。
美親は不審に思いながら二人に声をかけると、伊織が怒りに震えながら、
『テメぇの旦那はトンデモねーことしてくれた!』
と、おおよそその美しい顔に似つかわしくない言葉遣いで、美親を睨んできたのだ。
自分に全く関係のない怒りをぶつけたきた伊織に、困惑した美親はとりあえず話を聞こうと、二人を連れてコーヒーショップに入ったのだった。
「ごめんね、イオ。ダンが変なことして」
一部始終を聞いて、美親は伊織に謝った。
勢いでついカッとなった伊織だったが、何も悪くない美親に謝られバツが悪そうな顔をした。
「いや……、チカは悪くないのに、ごめん……」
伊織はそっぽ向いてだが、美親に謝った。
「ううん、いいよ。気にしないで。それより……Dan, why did you do that ?」
伊織に優しく微笑んだ美親だったが、ダニエル対しては厳しい顔をした。
すると、ダニエルは驚いた表情で、
「Why? That's obvious !! So, he still loves ICCHAN !!」
外国人特有のジェスチャーをした。
ダニエルの言葉に、伊織は呆れる。
「Dan, he has already a new partner. Do you have forgot ?」
「I don't have forgot. But I felt for him that !! 」
美親は、納得いってない二人の顔を交互に見て、"ハーッ"とため息をついた。
「埒があきそうにないのは分かった。で、イオはさっきトーゴを見てどう思ったの?」
「えっ?」
「確かに、ダンの行動はイオの気持ちを無視した行動だったけど、イオは今だにトーゴのことが好きなんでしょ?"諦めれない"って、一昨日言ったよね?」
「……」
美親の言葉に、伊織は目線を逸らし黙る。
「イオ。トーゴは、あの先輩 じゃない」
美親は、コヒーを一口飲んで続けた。
「まして、イオのお母さんじゃない」
美親のひと言に、伊織が目線を上げた。
「イオが、"トーゴのこと好き"って言っても、どっかに行ったりしない。もうイオは小さな子どもじゃないんだよ。ちゃんと向き合えるでしょ。トーゴにも、自分の気持ちにも」
グッと力の入った表情で伊織を見る美親。
「ICCHAN, trust me. He loves absolutely you !」
ダニエルも、先ほどとは表情を一転させ伊織を勇気づける。
そんな真剣な二人を見て、伊織の瞳がじわりと潤う。
「……二人とも……」
ぐしゃりと笑う伊織。
「天邪鬼が……、俺が、本当のこと言っても信じてもらえるかな?」
「大丈夫、きっとトーゴは信じる!ダンが言ったでしょ!トーゴは絶対イオのこと好きって!!」
伊織がダニエルの方を見ると、親指を立てて笑っていた。
「……ありがと」
涙を隠すようにプイッと横を向いて言った伊織に、美親とダンは顔を見合わせ優しく笑った。
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