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心の秋映え 27
「瑞樹、嬉しいよ」
「あ、あの、宗吾さん……芽生くんが起きてしまわないか、心配なので……」
僕も抱かれたいと宣言はしたが、同じ部屋に芽生くんが寝ているので『節度を持って、ほどほどに……』と、宗吾さんに言ったつもりだったのに。
「わかった。じゃあここでしよう!」
「え? 洗面所で……ですか」
「あぁすぐ隣には風呂もあるし、鍵もかけられるしな」
「で、ですが」
「なぁ瑞樹、俺たち少し羽目を外してみないか」
「え、えっと、どういう意味です?」
「せっかく旅行に来ているんだし」
宗吾さんが、熱い目で懇願してくる。
うっ……参ったな、僕はこの目に弱いんだ!
「う……もう、今度は何がしたいんですか……付き合いますよ」
「ありがとう! 実は、これだ」
「え? ええっ!」
彼が持っていたのは、『北海道ミルクたっぷり使用』と書かれた練乳のチューブだった。
「いっ、いつの間に……それ」
入手したんですか!!!
「いやぁ、実はさっきビッフェ会場で会計していたら、レジの横の土産物コーナーで売っていてな。タイムリーだろう?」
「な、何に使うんですか。ま、まさか!」
危険を察知した!
思わず下半身の大切な部位を押さえて、大きく一歩下がってしまった。
ところが、あわてふためく僕の様子を見た宗吾さんは、意外そうな顔をして豪快に笑った。
えっ……えっと、違うのか。
あ? ぁぁぁ……もしかして、また僕、やってしまった?
「はははっ! おいおい、みーずき。きみは最近、本気で突っ走てんなぁ。ある意味俺よりスゴイぞ」
ヤラレタ……
がっくしと床に項垂れてしゃがみ込むと、宗吾さんが僕を抱きあげて洗面所の台に座らせてくれた。
「まぁ落ち着けよ」
「あ、あの……何を」
「ははっこっちだよ。車の中でちゃーんと予告したつもりだったが」
「えっ!」
「君もその気かと」
浴衣の袷から手を入れられ、今度は家族風呂での戯れな触り方でなく、本気モードで胸の粒をキュッと摘まみ上げられると、躰がキュンっと跳ねてしまった。
「ここにさ、コレ塗ってもいいか」
「う……」
そうか……宗吾さんが見た夢の話だ。
『いやぁ……実はさ瑞樹の胸をちゅうちゅう吸っていたら、甘いミルクが迸る夢だったんだ』
車の中で確かに聞いたけれども……まさか本気で?
「あ……」
「ありがとうな」
チュッとなだめるようにキスを仕掛けられ、僕は結局彼の願いを叶えてあげたくなってしまった。これっていつもの駄目駄目なパターンだ!
「もう……今日だけですよ。いいですか。東京に戻ったら絶対に絶対に!しませんよ。旅行中だから特別なんです」
「あぁ今日だけだ。いい子にする!」
いい子って、絶対にそんなことするのは、悪い子だと思いますが!
僕も何故か期待し出していた。
そんなものを塗られたら、どんな風に感じるのか……
浴衣の袷に、手を掛けられた。
「いいか」
「……はい」
一気に左右に肩を露わにされて、乳首に練乳をたらりと垂らされた。
とろりとした白いクリームをまとった僕の乳首はツンと立ち上がって、期待に満ちて震えているようで恥ずかしい。
「へぇ苺ミルク見たいだな。ピンクとホワイトって、色っぽいな」
「もう、口に出さないで……下さい」
恥ずかしい、恥ずかしい……
恥ずかしいから、いっそ……もう早く舐めて欲しい。
だって舐めてもらわないと、いつまでもベトベトで浴衣を着られない。
「卑猥だな……今の君の姿、すごく、いい」
「もう、早く……」
耐えきれずに……宗吾さんの頭を自ら掻き抱いて、胸に摺り寄せてしまった。自分でも信じられない程、積極的になっていた。
「いいね。そういう瑞樹もソソラレルよ」
ぺろっと宗吾さんの熱い舌先を胸の先端に感じ、そのまま乳首に巻き付くように舌を絡められた。
「美味しいな……ここ、最高だ」
今度はペロペロと……まるで子猫のように、宗吾さんが僕の胸を舐め出した。
擽ったい、でも気持良くて……変になる。
「あ、んんっ……」
甘い練乳、ミルクの香りが上気した胸元から立ち込め、クラクラしてしまう。
「なぁもう少し足しても?」
宗吾さんはずるい……いちいちそんな風に聞くなんて。
僕がこうなってしまうと断れないのを知っているのに……
期待と不安でコクンと頷けば、腰に手を当てられ胸をグイっと反らされ、そこに練乳クリームを、たっぷりと垂らされた。
わわっ! 今、絶対に視覚的に、すごいことになっている!!
客観的に洗面所で繰り広げられているとんでもない情事を想像して、羞恥に震えてしまった。
きっと僕……躰も顔も耳も……全部、真っ赤だ。
「はぁ……ン……んっ」
今度は勢いよく、ちゅうちゅうと音を立てて吸われた。
なんだかこれって、本当に乳が出ている気分になってしまう。
「あぁぁっ……」
猛烈に変な気分だ。
胸を吸われるのが、こんなに心地良いなんて。
世の中のお母さんは、こんな風に赤ちゃんに授乳するのか。まさか男の僕が胸を吸われて、こんな気持ちになるなんて。
芽生くんの赤ん坊のような寝顔と練乳のミルクの香りのせいなのか。
「最高に美味しい。君のここ……」
尖った先端をカリっと指先で引っかかれ、コリコリに硬くなった部分を、唇で細かく吸い上げられる。
胸だけの愛撫で、僕の中心はしっかり勃ちあがっていた。
宗吾さんがそれを見過ごすはずなく、今度はそこに指を絡められ、上下に扱かれた。
「んっ──駄目……駄目ですって! で、出ちゃいます」
「いいよ、出して」
ちらっと見下ろせば……浴衣の裾は大きく太腿まで捲られ、宗吾さんの大きな手のひらが忙しなく出入りしている。
上半身は裸で胸には白いクリームを纏い、とんでもない痴態だと思いつつ、僕も宗吾さんが欲しくなっていた。
「もっと……ぅ……もうっ」
「何をして欲しい?」
「い、言えません」
「言わないと、ずっとこのままだぞ」
「……ぅ、意地悪です」
太腿を擦られ、揉み込まれ、際どい部分まで来るくせに……肝心な部分には触れてもらえず、じれったさが募る。
旅は僕の心だけでなく、躰も伸び伸びと解放してくれるようで、とうとう自分から言ってしまった。
「そ、宗吾さんので……つ……突いて……」
自分の口から出たとは思えない台詞に驚いた。普段なら……東京のマンションで抱かれる時には絶対に言えない言葉を吐いていた。
「あー今日の瑞樹、最高に可愛いな。甘えて、そんなに俺を欲しがってくれて……大好きだよ」
宗吾さんにギュッと抱きしめられると心から嬉しくなり、彼が好きな気持ちが溢れ出してきた。
「宗吾さん……大好きです。僕……旅行が楽しくて……一緒に楽しい時間を過ごせるのが嬉しくて、何だか欲張りになってしまいました」
「あぁ俺もだ。そろそろ君の中に入ってもいいか」
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