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アフタースキーを楽しもう 9

 陸さんと話しているうちに、無性に瑞樹に会いたくなってしまった。すると瑞樹も同じ気持ちだったのか、俺が部屋に入るなり駆け寄って、抱きついてくれた。  すっと背伸びした君の腰に手を回し、ぎゅっと互いの胸板を合わせるように抱きしめると、瑞樹の鼓動がいつもより速く聞こえた。 「今日は随分ドキドキしているんだな」 「その……空さんがこれから初めてを迎えると思うと、僕も一緒に緊張して」 「俺もだ。陸さんは、クールに見えるが、内面は切羽詰まっていて、苦しかったようだ」 「そうだったのですね。なんだか懐かしいですね……僕たちの初めての日を思い出します。あの日は僕もとても緊張して……」 「俺もだ。興奮していた」 「あ……はい。僕も……」  おいおい、まるでこのまま抱いて欲しいと強請るような瞳に、理性が吹っ飛んでしまうぞ。煽る唇は、もう塞ごう。 「ふあっ……っ」  右手で瑞樹の腰を強く抱きしめたまま、左手で顎を掬って唇をぴたりと重ねる。 「あ……っ、あの……」  少し困惑した様子で目をパチパチしている。瑞樹がチラチラと玄関を見るのは、芽生たちが戻って来ないか、冷や冷やしているからだろう。 「大丈夫だ。玄関には鍵をかけたし。さっき北野さんの家を覗いたら、芽生はブロックでお城を作って夢中になって遊んでいたぞ」 「そうなんですか。でも……潤は?」 「潤はお城専属の『ガーデナー』になっていたよ」 「くすっ、じゃあ宗吾さんは?」 「君専属の……『料理人』になっている」  どうして突然、料理人だと思ったのか。きっとさっきまでBBQの焼き係だったからだな。 「料理人ですか……くすっ、はい。僕はいつもあなたに料理され食べられてしまうので、確かに……あっ、僕……また、何を期待して……うう……恥ずかしいです」  そこまで言っておきながら、頬を染め照れまくる君が、やっぱり好きだ。清純な部分と、俺に合わせてノリが良い部分の両方を持っているんだよな。  瑞樹は純度の高い透き通った水のように、俺に馴染みがいい男だ。 「煽ってくれて、ありがとう」 「だ、駄目ですって……今日は」 「あてられたんだ。陸さんのやる気にさ」 「な、何を言って? もう――あっ!」    さっきまで瑞樹が腰掛けていた丸太のベッドに押し倒した。時間がないのは頭で理解している。それでも……君を抱きたくなってしまう。 「ん……あっ」  唇から耳を甘噛みし、そのまま首筋、鎖骨、着ていたセーターの裾から手を潜らせ、しなやかな背中を大きく撫で回した。  素肌が心地良く……更に上へ、肩甲骨に沿って丁寧に指を這わせた。  ここに触れると……今の君は、前向きに生きているから、羽なんてついてないのに、どこかに儚げに飛んでいきそうだった過去に想いを馳せてしまう。    家族が亡くなってから……寂しくて逝きたいと思ったこともあったのでは……だがもう二度とそんな寂しい気持ちには、させない。君を地上に繋ぎ止めるのが、俺の役目だ。  今度は下半身へ手を潜り込ませた。ズボンのベルトを緩め、ウェストからカタチのよい小ぶりなヒップを撫で回し、割れ目の奥に指を這わせた。 「ん……っ、宗吾さん、ほ……本当に……ここでスルんですか」 「駄目か。一度だけ繋がりたい。俺たちも……陸さんと空さんのように旅先で思い出の一夜を」  訴えるように告げると、瑞樹は甘く微笑み……俺を両手で迎えてくれた。 「僕はさっき……空さんとカモミールのハーブティーを飲みました」 「ん? どういう意味だ?」 「だから……とてもリラックスしています」 「成程……それなら嬉しいよ。今日の瑞樹は本能に素直なんだな」 「はい……」 「何をして欲しい? 素直に言ってくれ」 「……宗吾さん、いつものアレ……持って来ましたか」 「アレ?」 「ラベンダーの……その……あのローションです。あれをたっぷり使って欲しいです」 「えっ‼」  まさか……まさかの展開だ。あれとは……瑞樹の好きな小説の主人公がラベンダーの香りのローションを愛用していたと聞いて、わざわざ英国から取り寄せた物で、俺たちが身体を重ねる時の必須アイテムになっていた。 「あの……もしかして今日は持っていないのですか。いつも大事そうに持ち歩いているのに」(うわわ……お見通しだったのか!) 「すまん、初夜を迎える陸さんに、さっきあげてしまったんだ」 「え? あの、一体……陸さんと何の話を? 心を解して励ましてきたのでは?」 「もちろん励ましたさ。ついでに初夜の心得も伝授してきた。相手を解すやり方を事細かくレクチャーしてきた」    素直に答えると、瑞樹がはにかんだ。 「も、もう――くすっ、宗吾さんらしいです」 「しかし困ったな。せっかく君がその気になってくれたのに、潤滑剤がないと傷つけてしまう」    窄まりに指をあてがいトントンと刺激すると、瑞樹の下半身がぷるぷると震えた。 「や……っ、駄目」 「やっぱり取り返してくるよ。君が苦しそうだ」 「だから駄目ですって」 「ん? どっちだ? 少し分けてもらうだけだぞ」 「そんな無粋なことは、絶対にしないで下さい‼」 「だが……俺も君も辛い」 「う……」  目で訴えると、俺に甘い(俗にヘンタイ化しているとも言う)瑞樹がしぶしぶと鞄の中から瓶を取りだした。 「何だ?」 「昨日の……れ、練乳クリームの残りですっ! 今日は……ここを食べていいので、それで我慢して下さい」 「瑞樹! いいのか!」  瑞樹が恥ずかしそうに、自分の胸を手で示した。  おぉ! これは……まさかの練乳ドリームだ。  食べきったと思った練乳が、まだ少し残っていたなんて奇跡だ!(大袈裟か)  瑞樹の着ているセーターを大急ぎで脱がし、上半身を裸に剥いた。瓶の底から練乳をたっぷり掬い取り、指の腹を使って君のツンと尖った乳首を潰すように塗って擦ってやると……次第に……君の股間のモノも緩やかに立ち上がり、嵩を増し白い蜜を垂らし出した。 「ん……触り方が卑猥です……あっ!……んんっ」  今度は乳輪ごと口に含み、練乳を味わうように、ちゅっちゅっと吸い上げて、下半身はお互いのものを重ねて手で包み込んで、上下に扱いた。 「あっ! ん……んんっ」 「いいな……旨いよ」  ミルクの甘い濃厚は味に、瑞樹自身の花のような香りが混ざって官能的だ。そこにお互いのものを擦り合わせることによって生じる摩擦。これは溜らない。 「もう胸だけでイケそうだな。瑞樹は」 「イヤ……言わないでくださいっ。はぁっ――、宗吾さん、宗吾さん」  甘く乱れた瑞樹が、何度も何度も俺を呼ぶ。  いつもより幼く、ぐずぐずになって俺に揺さぶられていく君に煽られ、挿入を伴わなくても最高に気持ち良くなった。 「一緒に出せそうか」 「は……はい!……あっ……うっ……っ」 「くっ!」

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