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花びら雪舞う、北の故郷 46

「瑞樹、もう我慢出来ない、瑞樹不足だ」 「え……あの、でも……芽生くんが」 「ぐっすり眠っているよ」 「でも、僕……今日は汚れています。崖から落ちたし……スキーで、うっすら汗も」 「じゃあ、一緒に風呂に入ろう」 「う……」  宗吾さんの必死の眼差しに負けて、僕は脱衣場に移動した。 「芽生くんが起きてしまわないか、心配です」 「大丈夫だよ」 「……ですが」 「瑞樹、静かに……時間がないんだ」  顎を掬われ、キスをされる。  角度を変えて、何度も何度も…… 「瑞樹、脱いで」 「はい」  宗吾さんの視線を浴びながら、セーターを脱ぎ、タートルシャツも脱いで、肌着姿になっていくのは、恥ずかしかった。 「宗吾さん……ここは明るくて……困ります」 「よく見せてくれ」 「……」 「君の身体に傷がないか、この目で確かめないと落ち着かないんだ」  やはり心配をかけてしまった。  無理もない。  崖から落下したのだ。  骨折どころか打撲もしていないなんて、自分でも信じられない。 「分かりました」  潔くインナーも脱ぎ捨て、ズボンと一緒に下着も下に落として、一糸まとわぬ姿となった。  全裸になって、宗吾さんのことを真っ直ぐ見つめた。  宗吾さんは真剣に僕の身体を確認して、ほっと安堵の溜め息を漏らした。 「信じられないな。本当に傷一つないんだな。よかった、本当に良かったよ」  ガバッと抱きしめられる。  セーターが素肌に当たってチクチクする。  やっぱり僕だけ全裸なんて、恥ずかし過ぎる。 「あの……擽ったいです。宗吾さんも早く脱いで下さい」 「おう!」  僕の無事を確かたせいか、宗吾さんに変なスイッチが入ってしまったようだ。  ババッとすごい早業で、着ている物を全て脱ぎ捨て、僕に襲いかかってくる! (この言い方はナイよなぁ) 「あっ、ちょっと待ってください! お風呂に……お風呂でしましょう」 (あー この言い方。煽ったのは絶対に僕だ)   「分かった。風呂でスル!」  ふたりで風呂場になだれ込む。  暖かいシャワーをスコールのように浴びながら、キス、キス、キスの嵐。そのまま抱きかかえられるように湯船に沈む。  浮き輪のようにプカプカと浮いている心地なのは、宗吾さんに抱っこされたままだから。 「そ……宗吾さん、僕、芽生くんじゃありませんよ?」 「知ってるよ。瑞樹だ」 「あの……下ろしてください」 「抱きしめているんだよ」 「あ……あぁ……っ。そんな触り方っ」  お風呂場の明るい照明の下て、胸元を撫でるように触られる。宗吾さんの指の動き、1本1本が丸見えで、照れ臭い。  そして、むずむずと気持ちがいい。 「瑞樹、明日はバレンタインだよな」 「……? そうですけど」 「風呂場なら汚れてもいいよな」 「?」  チョコ練乳なら抹殺されたはずだ。  意味が分からなくて首を傾げると、宗吾さんが一度脱衣場に戻り、小瓶を持ってきた。 「なんです? それ」 「熊田さんからのプチギフトで『森のくまさんの蜂蜜』を貰ったのさ」 「‼」 (いつの間に‼︎) 「俺へのお土産だそうだ! くまさん気が利くな) (いや、こんなことに使うために渡したんじゃないですよ~ でも宗吾さんは昨日は兄さんに潰され、今日はすごく心配かけた。それに明日はバレンタインだし、ここは僕が一肌脱ぐしかないのか) 「いいですよ……好きなところに塗っても」 「いいのか、俺の言うがままに?」 「くすっ、なんでも言うこと聞きますよ」    キラリン――  星が瞬くように、宗吾さんの瞳が輝いた。  僕は相当宗吾さんに甘い、蜂蜜より甘い。  身体の力を抜くと、宗吾さんが首を横に振った。 「あの?」 「今日は瑞樹が食べて欲しいところに、自分で塗ってみろ」 「ええ!」  そんなこと……したことがない。 「……『みーくん』呼び、俺の特権だったと思ったのになぁ」 「宗吾さんってば、まさか妬いて?」 「なぁ、塗ってみてくれよ」 「わ、わかりました」  蜂蜜を指に垂らし、クローバーの蜂蜜を、そっと唇に塗ってみた。  どことなく草原を思わせる優しい味。  やわらかな甘み。 「君はキスが好きだもんな」 「……はい」  薄く唇を開くと、そっとキスされた。  キスで宗吾さんの吐息を感じるのが、好きだ。  息吹を感じたくて。  貪るように唇を吸われ、胸元が切なくなった。 「次はどこがいい? どこを食べて欲しい?」 「あ……胸を……胸が……いいです」  ツンと尖り始めた胸の飾りの先に、蜂蜜をちょんと塗ってみると、すぐに舌先で舐め取られた。 「あっ、あぁ――」  物足りない。もっと食べて欲しくなる。   「もっとか」 「……はい」  今度は指の腹でたっぷり掬って、ベトベトになる程、自分の乳首に塗りたくってしまった。  こんなこと……普段なら絶対にしない。 「いいな、煽られる」  腰を両手でホールドされ、胸を反らされる。  胸を突き出すような姿勢で、貪欲に貪られた。 「んんっ――」  溜まらない、気持ちいい。 「あ……そうくん、もっと、もっと食べてください」 「ここだけでいいのか」  湯船の縁に座らされ、足を大きく開かれる。  胸の刺激だけで立ち上がったものが露わになってしまう。  閉じようにも内股を押さえられているので、無理だった。 「や……いやです。こんなのは……恥ずかしい」 「ここを、どうして欲しい?」 「意地悪ですね……あぁ、もう……っ」  僕は蜂蜜の残りを全て、己の屹立に塗りたくってしまった。 「いいね。積極的な瑞樹もいい。今日の君、格好良かったよ。くまさんを導いていたな」 「ん……食べて下さい。早く――もっと」  チュパチュパと音が立つほど舐められて、後ろの蕾に指を入れられ、かき回された。 「あっ、あー」  声、押さえないと!  あまりの気持ち良さに、スパークしてしまう。 「駄目、もう駄目です」 「挿れていいか」 「欲しい……欲しいです」  腰を抱えられ、バックで受け入れた。  奥を突かれる度に信じられない程気持ちよくなった。バスルームのタイルの壁に押しつけられた身体はひんやりと心地良く、激しく悶えてしまった。 「今日の瑞樹、エロっ」 「言わないでくださいっ、恥ずかしい……でも、止まらない」  僕は風呂場に反響する声に煽られながら、宗吾さんに貫かれた。  深く深く……奥まで彼を迎え入れ……命の温もりを胎内に感じ、ドクドクとと脈打つものを愛した。 「好き……好きです。宗吾さん」 「俺もだ、瑞樹――Happy Valentine!」 「あ……チョコじゃなくてごめんなさい」 「最高だよ。積極的な瑞樹をもらえるなんて」  風呂場の小窓の向こうには、冷たい雪が降っている。  窓にあたれば、瞬時に溶けてしまう。  それほどまでに、ここは熱気に包まれていた。   あとがき(宣伝を含みます。不要な方は飛ばしてくださいね) **** お話の中はValentine、リアルではHappy Whitedayでしたね。 今日は、瑞樹サービスデー=宗吾さんご褒美回でしたね♡ そろそろ函館旅行もお終いです。 次は春のお話になります。 引き続き、お楽しみいただければ嬉しいです。 本日、発行記念として同人誌に購入者限定の特典を加えました。 書き下ろしWEB未公開SSを、無料でダウンロード出来ます。 https://shiawaseyasan.booth.pm/ 同人誌の中の高校生になった芽生が英国留学する話の後日談で、瑞樹と高校生になった芽生がメインのお話です。芽生の成長を感じられる物語になりました。 お迎え下さった読者さま、ありがとうございます。     

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