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憩いのダブルデート 1
初めにご挨拶をさせてくださいね。
今日から菅野&こもりんと宗吾&瑞樹のダブルデート編です。最近少しシリアス展開が多かったので、数日間は娯楽的要素の高い内容になります。たまには軽いBLのノリもいいかなと。もういい加減菅野くんをどうにかしてあげないとですよね!
しっかり色気を伝授する予定ですので乞うご期待。始終コメディタッチですので、気楽に読んで下さいね。
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3月下旬の日曜日
今日は菅野と小森君とダブルデートの約束をしている。
芽生くんは宗吾さんのお母さんとお気に入りの戦隊ものの映画を観に行く約束をしていたので、久しぶりに二人きりで出掛けることになった。
「お兄ちゃん、パパー いってきます」
「じゃあ、宗吾、瑞樹くん、行ってくるわ」
「母さん、駅まで送らなくて大丈夫か」
「憲吾が車で送ってくれるのよ。芽生と楽しんでくるわね」
「兄さんが? そうか。ありがとう。よろしく頼むよ」
芽生くんを見送ると、マンションには僕たち二人だけになった。
いつも芽生くんが一緒なので、不思議な感じがする。
「えっと、じゃあ朝ご飯の片付けしちゃいますね」
「手伝うよ」
「ありがとうございます」
宗吾さんが朝食の食器を下げてくれるので、僕が洗う。
宗吾さんは作る人で、僕は片付ける人。
この方式がしっくりくる。
「それにしても、芽生はずいぶん張り切って、おばあちゃんと出掛けたな」
「そうですね。お母さんも嬉しそうでしたね」
「おばあちゃん孝行だよなぁ。孫とデートで母さんもウキウキだったな。で、俺もウキウキさ」
宗吾さんが背後に回り、僕の腰に手を回してキュッと抱きしめてきた。
「あっ」
その手が僕の胸元を探ってきたので、危うくマグカップを落としそうになった。
手が泡だらけで抵抗できないのをいいことに、宗吾さんが楽しそうに僕の乳首を指先で掘り出していく。
「あ……だ、駄目ですっ」
「今日は二人きりだ。父親はお休みしてもいいだろ? な、みーくん?」
「そ、その呼び方、ずるいです」
「くまさんには沢山呼ばせていたのに?」
「別なんです……宗吾さんにそう呼ばれるのは特別……あっ、あっ」
まずい。あと1時間ほどで出掛けるのに……僕の下半身が疼き感じだしていた。
宗吾さんが僕の手を洗い、タオルで拭いてくれる。
「おっと濡れちゃうな」
「も、もう時間が……」
「キッチンで君にこんなこと出来るなんて、興奮してきたよ」
「興奮しなくていいですよ」
「するに決まっているだろ。君だって」
「あぁっ」
下半身を探られ、恥ずかしくなった。
僕だって……男だから気持ちよくなったら、即、反応する。
宗吾さんはそれを知っている。
「んっ……」
くるりと身体を反転させられる。
「あ……」
キッチンカウンターに押しつけられるように体重をかけられ、熱心な口づけを受けることになった。
「気持ちいいか」
「……はい、とても……」
頭がぼーっとして、宗吾さんの広い背中に手を回して縋り付いた。
宗吾さんは、そのまま僕の首筋に舌を這わしてくる。
「あ、駄目……駄目です、そこは」
「ここ、すごく弱いんだよな。すごく感じて可愛い」
「も、もう――」
「跡はつけないように気をつけるから」
根負けしてしまう。
宗吾さんが好きだから許してしまう。
気が付けば、シャツのボタンを外されていた。
下着をまくられて、摩擦で立ち上がった乳首を唇で挟まれ、パクッと含まれる。
そのままジュッと音を立てながら吸引されると、腰がぷるぷると小さく震えた。
「あぁ……」
「朝からそんな顔をするなんて、みーくんは淫らだな」
「宗吾さんがするからです。宗吾さんが……そうくんが、あっああ」
同時に下半身も大きく揉み込まれた。
「そうくんと……呼んでくれ」
「……んっ、そうくん……、そうくん」
カチャ、カチャとベルトを外され、下着を下げられる。
「ん……っ、んん」
「ここで、挿れてもいいのか」
「……はい」
こんな場所で、こんな行為するなんて。
再び背を向けて、身体をキッチンカウンターに預ける。
クチュクチュとオリーブオイルで解されて……
「昨日もしたから……ここまだ柔らかいな」
「も、もう――」
情熱的な宗吾さんに押し流されるように、身体の中に熱いものを受け入れていた。
「んっ……」
「くっ」
その後は……お互いにはっと我に返って、慌ててシャワーを浴びて、家を飛び出した。
「遅刻しそうだな」
「もう、宗吾さんのせいです」
「はは、ごめんな。久しぶりの恋人同士の朝に燃えてしまった」
「しっ! 静かにして下さい」
結局、僕も恋人同士の朝に満足して、甘く微笑んでしまう。
電車はレジャーに行く乗客で混み合っていたので、宗吾さんとの距離が近い。
微かに鼻腔に届くのは、同じシャンプーとボディソープの香り。
「瑞樹の髪、まだ少し湿っているな」
「誰のせいですか」
「怒らないでくれよ」
「くすっ、怒ってはいませんよ」
「よかった、今日は恋人らしくラブラブでいような」
「はい。あの、僕……ダブルデートなんて不慣れなので、ちゃんと務まるでしょうか」
「瑞樹は何もしなくていい。そのままで充分だ」
「?」
宗吾さんが朗らかに笑うので、釣られて僕も微笑んでしまった。
うーん、朝からあんなことしたせいか、気が大きくなっているのかも?
「おーい! こっち、こっち」
「菅野! 待たせてごめん」
待ち合わせ場所は、宗吾さんと芽生くんと初めて行った、都心の遊園地だった。
「こんにちは~」
小森くん、相変わらずちょこんとして可愛いな。
私服だと、まだ少年のようだ。
紺のチノパンに、淡いベージュのパーカーを着ていた。
ところで菅野の顔は、どうしてあんなに赤いのだろう?
「葉山、ちょっといいか」
「?」
いきなり菅野に柱の影に連れていかれた。
「葉山~ ありがとうな。こもりんに色気を授けてくれる気、満々で来てくれて!」
「え?」
朝から宗吾さんとあんなことをしたから、何かが漏れ出しているのか。
僕の方が気まずくて、真っ赤になってしまう。
そこに小森くんがとことこやってきて、ニコッと笑う。
「葉山さん、今日は僕に『色気伝授』を宜しくお願いします。すぅー はぁぁー 流石です! 色気の師匠は、とっても甘い匂いですねぇ」
「!!」
何かヘンなフェロモンでも出ているのかと真っ青になってしまう。
「この匂いは……まるで……そうだ、アレですね!」
「今日は……れ、練乳はつかってないから‼」
墓穴だ――
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