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賑やかな日々 8 (瑞樹誕生日special)

「ふぁぁ……」 「芽生くん。眠いの?」 「うん……ねたいなぁ」 「じゃあ一緒に寝ようか」 芽生くんは首を横に振った。 「ううん。今日はだいじょうぶ。あのベッドでひとりでねむってみたいの」 「そっか。じゃあお布団を掛けてあげるね」 「うん!」  芽生くんにふわりと布団をかけてあげると、芽生くんが小さな手を差し出してきた。 「お兄ちゃん……」 「眠るまで傍にいるよ」 「わぁい、今日たのしかったね」 「うん、芽生くん、いっぱいお祝いしてくれてありがとう」 「……らいねんも、そのつぎもいっしょにいてくれる?」 「もちろんだよ」 「よかったぁ」  僕の方こそ、お願いするよ。  僕と来年も再来年も、一緒にいて欲しい。  こんなに愛しい存在から離れることなんて、考えられないよ。 「すぅ……すぅ」  暫く手を握っていると、可愛い寝息が聞こえてきた。  出会った日より、一回りも二回りも大きくなった身体だけれども、僕の中ではいつだって……『僕の天使』だよ。  こんなに可愛くて優しい子に出会えたのは、きっと天国の両親と夏樹が僕に与えてくれた奇跡。  君は、僕に何でもない毎日こそ幸せだと、教えてくれる存在だ。 「瑞樹、芽生は寝たか」 「はい、日中興奮していた分、ぐっすりですね。あの……僕たちも寝ますか」 「お? 君からの積極的な誘い、嬉しいな」 「い、いえ。そういうつもりでは」 「いいから、こっちにおいで」  宗吾さんは一番窓際のベッドに座っていた。 「はい」  僕も横に座ると、すぐに腰を抱かれ、深いキスをされた。 「瑞樹、何度でも言うよ。HappyBirthday」 「宗吾さん、今日はサプライズを沢山ありがとうございます」  腰を抱く手にギュッと力が入った。   誘われているのだ。 「あ、あの……でも芽生くんがいるのに」 「ぐっすり眠っているだろう?」 「でも……」 「瑞樹、抱きたい」  ストレートに求められ、カッと顔が熱くなった。  素直になろう、僕も…… 「僕も宗吾さんが欲しいです」 「よく言えたな」  ギシッとベッドを揺らして、二人で横になった。 宗吾さんの手が、すぐに僕の寝間着の裾を捲って、太股と腰骨を手のひらで撫でてくる。 「足、もっと開いて……」 「あ……」  足の間にも手を這わされ、内股を揉まれる。  まだ始まりの軽い愛撫なのに、僕の身体が期待に跳ねていた。 「ん……」  声を出せない、芽生くんが傍にいるという緊張が、感度を上げているようだ。  内股をまさぐられているうちに、僕の下半身も硬くなってきた。  布越し、下着越しの愛撫にじれったくなってしまう。  もっと、もっと僕に触れて欲しい。 「宗吾さん……もっと」 「今日の瑞樹は素直で可愛いな。やる気をありがとう」   下着を一気に下げられ、勃起したもの掴まれて優しく揺らされた。 「いい塩梅だな」 「え……っ」  いきなり宗吾さんが、そこを咥えたので戦慄いてしまった。  慌てて口を塞ぐ。 「そんなことしないで……駄目」  口でされるのは恥ずかしい。でも気持ちいい。  もっと、もっと――  今日の僕は淫らだ。  自分でそっと胸元に手を這わして、硬く尖った乳首に触れてみた。 「あっ」  こんな風に自分を慰めたことはないので、強い刺激に過敏に反応し、下半身が嵩を増した。 「瑞樹、おい、一人で弄るな。俺がやる」  胸元を弄っていた手を掴まれ、耳の横で固定された。  裸の下腹部を摺り合わされ、今度は乳首を口に含まれた。 「んんっ……ん」  下着はもう剥ぎ取られ、パジャマのボタンも気付けば全部外されて、全裸に近い状態になっていた。 「今日の瑞樹は積極的で可愛いな」 「お……お酒のせいです」 「そうだな。今度は俺に酔う番だ」  誕生日だし、ホテルだし……いつもと違うシチュエーションに煽られているのは自覚していた。  胸板に丁寧な口づけをされる。  それはあまりに甘美で、まるで祝福の口づけみたいだと思った。 「君の身体を大切にしたい」 「……はい」  泣けてくる。  心も体も大切に丁寧に扱ってくれる人の存在に。 「あ、あ……っ」  尖った乳首を吸い上げられ、乳輪ごと口に含まれ舐められると、僕の身体はさらに過敏に震え出し、すすり泣くような声をあげて、宗吾さんにしがみついてしまう。  いよいよだ。両足を大きく広げられた。 「瑞樹……もう挿入して大丈夫か」 「はい……欲しいです。宗吾さんの……」 「可愛いお強請りだ。見せてくれ、ちゃんと」  両足を広げたまま、宗吾さんに指で蕾の襞を広げられ、羞恥で倒れそうになった。 「そんなにじっくり見ないで下さい」 「綺麗だよ。全部綺麗だ」  ぬるっとした感覚に挿入されたのが、分かった。  太くて大きなものが、僕をずしりと貫いて行く。 「ア……っ」  宗吾さんも額にうっすら汗をかいていた。  僕の頬にかかる髪を優しくどけて、髪を指で梳いてくる。 「ん……っ」  宗吾さんにこうされるのが好きだ。  とても落ち着くから。 「動かしていいか」 「……はい」  雄々しく勃起したものが、くちゅりと音を立てて、僕の中を出入りする。 「ん……んっ」 「あ、ああっ」  深々と入り込んでは、内襞を擦られる。隙間なく埋められると、じわりと胸が熱くなって泣いてしまった。 「うっ……」 「どうした? 痛いのか」 「違うんです。繋がっているのが嬉しくて」 「くぅ、可愛いことを」  些細な摩擦にすら腰が跳ねる。  今日の僕、とても淫らだ。 「清楚な瑞樹も、俺に抱かれて淫らになっていく瑞樹も愛おしいよ」 「宗吾さん……僕を丸ごと愛してくれてありがとうございます。こうやって抱いてもらうと生きている実感が湧きます」 「もっと実感させるよ」  腰を前後左右に揺すって、僕を翻弄してくる。 「あ……あっ」  下腹部だけでない。尖った胸も両方を同時に舐められたり摘ままれたりして、快楽の渦に飲まれていく。  その後は、僕のものにも触れてきた。 「君と一緒にイキたい」 「あ……っ」  後孔を責められるのと同時に、手で性器を擦られ、絶頂が近づいてくる。 「もう……駄目、イク……っ」 「よし」  僕が精を放つのと同時に、宗吾さんのものも最奥で弾けた。 「ア……っ」 「瑞樹、可愛いよ」  余韻に浸りながら、熱いキスを受けた。 「あ……もう駄目です。芽生くんが起きてしまうかも」 「大丈夫さ、パジャマを着ているから」 「これを着ていると?」  もう片袖も通していない状態に、苦笑してしまった。 「もっともっと、永遠に抱きたいが……君の負担と、芽生が起きるかもしれない危険に諦めるよ」 「宗吾さん……これからも……何度でも……」  抱いて下さい。  その言葉は恥ずかしくて言えなかったが、宗吾さんには伝わったようで、ふっと甘い笑みを浮かべて、額にキスをされた。 「瑞樹、何度でも言うよ。愛している。生まれてきてくれてありがとう」    その後は、お互い軽くシャワーを浴びて、それぞれのベッドで眠ることにした。 「瑞樹、一緒に寝ないのか」 「夜中に芽生くんが起きるかもしれないので」 「……ありがとう。息子をそこまで愛してくれて」 「大好きです。二人とも」  案の定、真夜中、僕のベッドにぬくもりがやってきた。 「おにいちゃん、こわいゆめみたよ」 「大丈夫、大丈夫だよ。僕がいるから」  芽生くんを腕の中に抱きしめてあげると、すぐに落ち着いた寝息を立てだした。宗吾さんも結局バタンキューで眠ってしまい、気持ち良さそうな寝息が隣のベッドから聞こえている。  両親と夏樹を失い、ぽっかりと空いてしまった部分に、今は愛が満ちている。  愛し愛され、生きている。    26歳の春に宗吾さんと出会い、27歳で同居を始め、28歳で幸せな復讐をした僕は、今日で29歳になった。  この先の人生も、宗吾さんと芽生くんと歩んでいきたい。  一日一日を、彼らと大切に生きていこう。  今日は僕だけの記念日。  家族と恋人……  優しい愛が、更に深まる一日だった。                        瑞樹誕生日special・了

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