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幸せが集う場所 24
前書き
今日は出掛けていて更新が遅くなりました。
内容も短くて、盛り上がりに欠けているかも😅
ちなみにバレンタインに月影寺を訪れる話は『重なる月』の15スター特典『リューは流?』とリンクしています。https://estar.jp/extra_novels/26080718
他のサイトでごめんなさい。
一緒に読んでいただけると、更に楽しくなる仕掛けです!
それでは本編です。
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「兄さん?」
兄さんは畳の匂いを嗅いで懐かしそうに微笑んだ後、すぅっと眠りに落ちてしまった。
「寝ちゃったのか……あっという間だったな」
今日、二人に会って感じたこと。
宗吾さんもだが、兄さんも相当疲れが溜っているように見えた。
芽生坊の病気でかなり心を痛めたはずだ。兄さんは親しい家族と悲しく辛い別れを経験しているから、本当に心配だったろうな。入院中は強がっていたが、生きた心地がしなかったのでは?
俺には兄さんの苦しみが手に取るように伝わってきた。
芽生坊、無事に退院出来て本当に良かった。
兄さんをこれ以上悲しませないでくれて、ありがとう。
今日は芽生坊と水族館で楽しく過ごせて、兄さん、ずっと嬉しそうだった。
「ジュンくん、お兄ちゃん、ねちゃったみたいだね」
「そうだな。少しこのまま寝かせてやろう」
「うん……でも……さむくないのかな? お兄ちゃんはね、いつもボクがねちゃうと、おふとんかけてくれるんだよ。ふかふかきもちいいよ」
芽生坊が心配そうに俺を見上げる。
「あ、そうか! 芽生坊、よく気付いたな。こんな所で転た寝したら風邪引いちゃうよな。さっきの小坊主くんに何かかけるものを借りてくるから、二人ともいい子に待っていられるか」
「うん! わかった」
「いっくんも大丈夫か」
「あい! めーくんといっしょにいるね」
いっくんと芽生くんがギュッと抱き合って笑ってくれた。
「ねー! めーくん」
「うん! いっくん!」
ううう、本当に可愛い二人だ。
「すぐに戻るから、芽生坊、いっくんをよろしくな」
「はい!」
少し心配だが、俺は二人を残して小坊主くんを探しに行った。
ところが広すぎるお寺……長い廊下だ。
オレ、迷子になりそうだ。
「おーい、小坊主くん、どこだー?」
****
ジュンくんが、いっくんをお願いって言ってた。
よし! ボクはいっくんのお兄ちゃんだからがんばるよ!
「いっくん、もうねむくない?」
「うん、だいじょーぶ」
「じゃあ、何してあそぼうか」
「……う、ん……」
「どうしたの? 何でもはなして」
「あ、あのね……めーくん……あのね……あのね」
いっくんがモジモジしているよ。
「どうしたの?」
「う……ん、あのね」
やっぱりもじもじだ。
こんな時、ボクだったら……
「もしかして、おしっこ?」
「しょうなの! も……もれそうなの。どーちよ?」
「えー!」
ボクの方も、どうしょう!
ジュンくんはここから出ちゃだめだって言っていたけど、たたみをよごしたら大変だよ。お兄ちゃんは気持ち良さそうに眠っているから、起こすのかわいそう!
ここは、ボクがなんとかしないと。
「ああん……もうがまんできないよぅ」
いっくんがズボンをおさえて、泣きそうだよ。
「おいで! おトイレをさがそう」
「うん! いくー!」
いっくんの手をひいて長い廊下をパタパタ、パタパタ走ったよ。
トイレどこかな?
前に来たことあるから……
たぶん、こっち? ちがった。じゃあ……あっちかな?
「あったー! いっくん、まにあう?」
「はやく! はやく!」
いっくんがズボンをおろすの手伝って、パンツをおろすのも手伝って……
「あー まにあったよぅ」
「いっくん、じょうず、じょうず」
「よかったぁ~ めーくん、かっこいい。めーくん、しゅごい」
いっくんがパチパチよろこんでくれたので、うれしくてニコニコになったよ。
「パパたちがシンパイするからもどろうね!」
「うん!」
でも、どこから来たのか分からなくなっちゃった。
「……こっちかな?」
「うーん、こっち?」
「そうかも」
「あれれ……こっち?」
「うーん、あっちかも」
こまったなぁ、マイゴになっちゃったかも。
『迷子になってしまったら、動かないですぐにお店の人に知らせるんだよ』って、いつもパパとお兄ちゃんが言っていたよ。
ここはお店じゃないから……こまったな。
だれか、いないかな?
ボクがしってるオトナの人!
耳をすますと、小さな声がしたよ。
なんだかとってもしわせそうな声だよ。
「めーくん、どうちよ?」
「いっくん、あっちから声がするよ」
「いっくん、いってみる!」
明るいお部屋を見つけると、いっくんは走り出した。
「だれか、そこに、いるんでしゅか」
「‼‼」
「わぁ♡ あざらししゃん!」
この声は……
……あざらししゃん?
「いっくん、中にだれかいたの?」
「えっと、えっとね……めーくん、ここって、すいぞくかん?」
「え?」
「だってね、おふろに、あざらししゃんがいたんでしゅ。すごいでしゅ!」
「ほんと?」
ボクものぞいたら、すいさんとリューくんが、おふろになかよくつかっていたよ。
なーんだ、さっきの話し声は、二人だったんだね。
よかった!
知ってる大人の人みーつけた!
これで、もう安心だよ!
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