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HAPPY HOLIDAYS 25

 暖かい日差しがずっと降り注いでいる、明るい夢を見たわ。  私は両手で二人の息子を抱きしめ草原に座り、潤くんにもたれていた。  私の周りは明るい日だまりなのに、空を見上げると夜空が広がり美しい星が瞬いているの。    この光景は、まるで幼い頃に歌った童謡のよう。 『きらきらひかる おそらのほしよ まばたきしては みんなをみてる』                         ※武鹿悦子・訳詞  お空の星になった彼……  いっくんには『お空のパパ』と呼ばせているし、潤くんの手前なんとなく口に出しづらかったけれども……今日なら呼べそう。  美樹くん……  そこから私を見ている?  今の私を見てくれているの?  あなたの息子の姿。    潤くん、そして槙のことも……  きっと全部見えているわよね。  美樹くん、ごめんなさい。そしてありがとう。  私を生かしてくれて――  私だけ幸せになっていいのか迷うこともあったけれども、潤くんと一歩を踏み出せて良かったと思っているわ。  全部、美樹くんの残してくれた言葉のおかげよ。   …… すみれには、僕の分まで幸せになって欲しい。 樹にも愛で満ちた人生を…… ……  あなたの分まで幸せになっていいのか、そんなのおこがましいと思っていたけれども、あなたが安心して安らかに眠れるために、必要なことだったのね。  そして私が生きていくためにも。 …… すみれ、幸せそうだね。 幸せになってくれてありがとう。 いつまでも見守っている。 空の星になって。 ……  美樹くん……  はっと目が覚めると、潤くんが覗いていた。 「あ……私……今……何か言った?」  口に出してしまった。彼の名前…… 「ごめんなさい」 「どうして謝る?」 「だって……なんだか悪い気がして」 「彼がいなかったら、いっくんに会えなかったよ」 「うっ……」 「ええっと、泣かすつもりじゃ……彼……みきさんって言うんだな。どんな漢字?」 「あのね……美しい樹でミキと……」 「やっぱり……オレたちと縁がある名前だな。ますます彼のことが好きになったよ」 「潤くん、そんな風に言ってくれて……ありがとう」  潤くんにふわりと抱きつくと、心がぽかぽかになった。 「いっくんは?」 「オレの手伝いをしてから槙の添い寝をして、さっき寝ちゃったよ」 「初日の出のために、早起きしたものね」  振り向くと、いっくんが槙の手を握ってすやすやと眠っていた。  清らかな天使のようないっくんの寝顔。  何度あなたに励まされたことか。  いっくんがいたから生きてこられた。  いっくんがいたから潤くんと出会えた。 「いい夢を見ているんだろうな。美樹さんに報告に行っているのかもな」 「そうね、幸せに暮らしているって……」 **** 「瑞樹、元気になってよかったな」 「はい、疲れがたまっていたようで……熱が出たようです」 「ここはそれだけ瑞樹が寛げる場所だってことだな」 「はい……ここは僕のお父さんとお母さんの家なので」  そう答えると、宗吾さんにギュッと抱きしめられた。  やっぱり落ち着く……  宗吾さんの腕の中は、とても落ち着く。 「今日は一緒に遊べそうか。お父さんもお母さんも瑞樹と遊びたがっていたぞ」 「はい、遊びたいです」 「なんだか俺たち、ここでは子供みたいだな」 「あの……宗吾さん聞いてください。僕の両親はまだまだ元気一杯です。なので……ここにいる間は甘えてもいいのでは?」  自分からこんな台詞を言う時が来るなんて―― 「そうだな。瑞樹、オレにも父さんが出来て嬉しいよ」  宗吾さんにもお父さんと呼べる人が出来た。  確かにそうだ。 「瑞樹と出会って、瑞樹を通して、心の広い優しい人ばかりと出会っている。 君のおかげだ。全部、君の……」  いびきが聞こえるのをいいことに、またキスをされてしまった。  お父さんが近くにいるのでドキドキして、鼓動が早くなる。  そんな僕を見て、宗吾さんがふっと余裕の笑みを見せる。 「瑞樹は分かりやすくて可愛いな。こんなにドキドキして……もっとして欲しい?」 「も、もう――」  そこに階段を上がってくる足音が。 「あ……お母さんだ」 「おっと」  慌てて離れると、ノック音がした。 「瑞樹、勇大さんを見なかった?」 「あ……お母さん、中に入って」 「お邪魔じゃない?」 「お邪魔だなんて」  扉が開いた時、大切なことを思い出して、宗吾さんと叫んでしまった。 「お母さん、足下に気をつけて!」 「お母さん、踏まないで」 「えぇ? きゃー 勇大さんってば、なんてお邪魔虫!」 「え? さっちゃん! あれ? なんで床に? うーむ、宗吾くんに負けたのか」 「え? いやいや負けたのは俺ですって、何度たたき起こされたことか」 「くすっ、ははっ」 「あ、瑞樹が笑った」 「みーくんが笑った」 「あのね、しってるー? お兄ちゃんが笑うと、幸せが来るんだよ」 「芽生くん、いつから起きていたの?」 「えへへ」  ほらね、また笑顔が溢れてくるよ。  幸せは幸せを呼ぶんだね。

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